文献情報
文献番号
202327029A
報告書区分
総括
研究課題名
生殖・周産期に係る倫理的・法的・社会的課題(ELSI : Ethical, Legal and Social Issues)の検討のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22DA2002
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
武藤 香織(国立大学法人東京大学 医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
- 倉澤 健太郎(横浜市立大学 附属病院産婦人科)
- 関沢 明彦(昭和大学 医学部産婦人科学講座)
- 山田 崇弘(北海道大学 臨床遺伝子診療部)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
9,043,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医学技術の進歩により出生前検査や胎児超音波検査等で胎児期から早期に先天性疾患が検索されるようになっている。しかし、NIPT以外の出生前検査や胎児超音波検査等で妊娠経過中に先天性疾患が疑われた際の、妊婦及び家族への告知の仕方、情報提供の在り方や意思決定支援については統一された見解はなく、更なる検討が必要と考えられる。そこで、①生殖補助医療の普及・進展を踏まえた生殖・周産期に関するELSI(Ethical, Legal and Social Issues)の課題を明らかにすること、②妊婦や家族への告知の在り方、情報提供の在り方について現状を明らかにすること、③全国的な先天異常についてモニタリングを行い、動向を把握することを目的とする。このうち①は、昨年度中に、胎児超音波検査に関する諸外国のガイドラインより妊婦への配慮事項の洗い出しを行った。本年度は②および③を主な目的とした。
研究方法
3つの分担班に分かれ、以下の検討課題に取り組んだ。
①「出生前検査や胎児超音波検査等により胎児の先天性疾患が見つかった際の産婦人科医療機関における対応に関する実態調査」
妊婦を対象とする調査、全国の産科医療機関に対する調査、出生前コンサルト小児科医に対する調査の3種類のアンケート調査を実施した。
②「妊娠中の超音波検査の受検経験についての量的調査および質的調査」
①の妊婦調査と異なる母集団(一般パネル)へ同様の調査を行い、①の結果を検証した。また、①の妊婦調査結果の背景理解を目的とする質的調査を実施した。
③「我が国の先天異常発生状況の推移とその影響因子に関する研究」
全国規模モニタリングを日本産婦人科医会先天異常モニタリング調査によるデータから収集し横浜市立大学内に設置されている国際先天異常モニタリングセンターでの解析検討を行った。
①「出生前検査や胎児超音波検査等により胎児の先天性疾患が見つかった際の産婦人科医療機関における対応に関する実態調査」
妊婦を対象とする調査、全国の産科医療機関に対する調査、出生前コンサルト小児科医に対する調査の3種類のアンケート調査を実施した。
②「妊娠中の超音波検査の受検経験についての量的調査および質的調査」
①の妊婦調査と異なる母集団(一般パネル)へ同様の調査を行い、①の結果を検証した。また、①の妊婦調査結果の背景理解を目的とする質的調査を実施した。
③「我が国の先天異常発生状況の推移とその影響因子に関する研究」
全国規模モニタリングを日本産婦人科医会先天異常モニタリング調査によるデータから収集し横浜市立大学内に設置されている国際先天異常モニタリングセンターでの解析検討を行った。
結果と考察
①「出生前検査や胎児超音波検査等により胎児の先天性疾患が見つかった際の産婦人科医療機関における対応に関する実態調査」
胎児超音波検査についての認知が高まり、調査対象の妊婦約半数が検査を受けている状況を確認した。また、検査についての説明も90%があったと認識しており、検査自体についての満足度も高く、概ね、適切な体制下で検査が実施されていることが確認できた。胎児超音波検査を受けたくないという意識を持つ妊婦も3~7%おり、知らない権利を確保するための配慮の必要性も明らかになった。
②「妊娠中の超音波検査の受検経験についての量的調査および質的調査」
量的調査の結果は、①の妊婦調査と同様の傾向を示した。ただし、胎児超音波検査への満足度が低い人、胎児の障害を知りたくない人が含まれていた上、胎児超音波検査を受けたくないという回答も若干多めであった。質的調査からは、説明や同意手続きなどの経験が多様であること、とりわけ35歳未満では情報提供がないため相談ができずにいること、受検してよかったと考える背景にはさまざまな不安や検査への期待があることなどが示された。
③「我が国の先天異常発生状況の推移とその影響因子に関する研究」
2022年に対象となった103,291例における調査からは、先天異常児出産頻度は3,473児3.36%であり、心室中隔欠損は2022年も最も多かった。次いで耳瘻孔、ダウン症候群、動脈管開存、心房中隔欠損、口唇・口蓋裂、尿道下裂などが高頻度であった。昨年の調査と比し、若干の順位の入れ替えはあるものの上位の高頻度異常はほぼ同様の傾向であった。また、福島県も含めて特段の変動は見られなかった。
胎児超音波検査についての認知が高まり、調査対象の妊婦約半数が検査を受けている状況を確認した。また、検査についての説明も90%があったと認識しており、検査自体についての満足度も高く、概ね、適切な体制下で検査が実施されていることが確認できた。胎児超音波検査を受けたくないという意識を持つ妊婦も3~7%おり、知らない権利を確保するための配慮の必要性も明らかになった。
②「妊娠中の超音波検査の受検経験についての量的調査および質的調査」
量的調査の結果は、①の妊婦調査と同様の傾向を示した。ただし、胎児超音波検査への満足度が低い人、胎児の障害を知りたくない人が含まれていた上、胎児超音波検査を受けたくないという回答も若干多めであった。質的調査からは、説明や同意手続きなどの経験が多様であること、とりわけ35歳未満では情報提供がないため相談ができずにいること、受検してよかったと考える背景にはさまざまな不安や検査への期待があることなどが示された。
③「我が国の先天異常発生状況の推移とその影響因子に関する研究」
2022年に対象となった103,291例における調査からは、先天異常児出産頻度は3,473児3.36%であり、心室中隔欠損は2022年も最も多かった。次いで耳瘻孔、ダウン症候群、動脈管開存、心房中隔欠損、口唇・口蓋裂、尿道下裂などが高頻度であった。昨年の調査と比し、若干の順位の入れ替えはあるものの上位の高頻度異常はほぼ同様の傾向であった。また、福島県も含めて特段の変動は見られなかった。
結論
①「出生前検査や胎児超音波検査等により胎児の先天性疾患が見つかった際の産婦人科医療機関における対応に関する実態調査」
胎児超音波検査についての認知が高まり、調査対象の妊婦約半数が検査を受けている状況を確認した。また、検査についての説明も90%があったと認識しており、検査自体についての満足度も高く、概ね、適切な体制下で検査が実施されていることが確認できた。胎児超音波検査を受けたくないという意識を持つ妊婦も3~7%おり、知らない権利を確保するための配慮の必要性も明らかになった。
②「妊娠中の超音波検査の受検経験についての量的調査および質的調査」
①の妊婦調査の、調査結果・考察・結論を概ね検証することができた。胎児の状態について知らないでいる権利を守りながら、受検を希望する妊婦に正確な情報を提供できるようなしくみを検討していく必要や、胎児超音波検査を受けるという行動の背景にある、さまざまな不安へのケアが重要であることが示唆された。
③「我が国の先天異常発生状況の推移とその影響因子に関する研究」
2022年の外表奇形等調査においては、例年同様特定の先天異常が特定の地域に多発したという異常変動は認められなかった。
胎児超音波検査についての認知が高まり、調査対象の妊婦約半数が検査を受けている状況を確認した。また、検査についての説明も90%があったと認識しており、検査自体についての満足度も高く、概ね、適切な体制下で検査が実施されていることが確認できた。胎児超音波検査を受けたくないという意識を持つ妊婦も3~7%おり、知らない権利を確保するための配慮の必要性も明らかになった。
②「妊娠中の超音波検査の受検経験についての量的調査および質的調査」
①の妊婦調査の、調査結果・考察・結論を概ね検証することができた。胎児の状態について知らないでいる権利を守りながら、受検を希望する妊婦に正確な情報を提供できるようなしくみを検討していく必要や、胎児超音波検査を受けるという行動の背景にある、さまざまな不安へのケアが重要であることが示唆された。
③「我が国の先天異常発生状況の推移とその影響因子に関する研究」
2022年の外表奇形等調査においては、例年同様特定の先天異常が特定の地域に多発したという異常変動は認められなかった。
公開日・更新日
公開日
2024-09-03
更新日
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