文献情報
文献番号
200936178A
報告書区分
総括
研究課題名
アンジェルマン症候群の病態と教育的対応の連携に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-難治・一般-123
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
大橋 博文(埼玉県立小児医療センター 遺伝科)
研究分担者(所属機関)
- 西牧 謙吾(国立特別支援教育総合研究所 教育支援部)
- 加藤 忠明(国立成育医療センター研究所 成育政策科学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
アンジェルマン症候群患児がもつ発達障害の疾患特性に基づいた教育的対応法の情報は殆どない。本症患児の教育状況の実態把握を行いその経験知を収集し、それに基づいた望ましい教育的対応のあり方についての情報を教育現場へ連携させることを本研究の主目的とした。
研究方法
アンジェルマン症候群の特異的症状への教育的対応の情報が得られるようにアンケート内容を作成し“エンジェルの会”の学童期以降の年齢の会員169名に郵送でアンケートを郵送し、担任の教師にアンケートを依頼した。また、より包括的な稀少疾患の医療と教育の連携システムの提言の基礎資料とするために、小児慢性特定疾患(先天代謝異常)の児童の就学状況の実態についての考察も行った。
結果と考察
“エンジェルの会”の学童期以降の会員169名からの有効回答数は98(回答率58%、男61女37、平均年齢13歳)であった。遺伝的検査での診断確定例は75例だった。一方、遺伝学的未確定診断例が23例あった。合併症は、てんかん88、睡眠障害66、斜視53、側彎30、自傷17だった。就寝状況は、同じ布団46、同じ部屋で別の布団47、別の部屋4であり、ショートステイに預けられるが39、預けられないが48だった。自由記載の教師の教育実践を、1)学習の到達目標と指導方法・課題、2)発語への取組、3)危険回避、能力の乏しさや不適切な行為への対応、4)睡眠障害への対応、5)行動特性を上手に用いた指導法、6)摂食指導、7)移動のさせ方、8)知的障害の特異点と隠れた才能、の8領域に分類集計し、特異的症状の理解と対応ための教育支援情報リソースとした。また、小児慢性特定疾患(先天代謝異常)の児童3,181人の就学状況は、通常学級66.1%、特別支援学級4.9%、特別支援学校9.3%、訪問教育1.5%、その他1.5%、不明16.7%であり、知的障害、また歩行障害以上の運動機能障害を伴う場合に特別支援教育の対象になりやすいことが伺われ、疾患特有の症状の理解に基づいた対応のためには施設の整備と教師の人的充実が望まれた。
結論
先天性稀少疾患であるアンジェルマン症候群患児について、学校教育現場での教育の経験知をアンケート調査によって収集した。それを患児の学校教育での支援に活用する情報リソースとした。
公開日・更新日
公開日
2010-05-31
更新日
-