地域特性に応じた発達障害児の就学から就労を見据えた多領域連携による支援体制整備に向けた研究

文献情報

文献番号
202327025A
報告書区分
総括
研究課題名
地域特性に応じた発達障害児の就学から就労を見据えた多領域連携による支援体制整備に向けた研究
課題番号
23DA1601
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
本田 秀夫(信州大学 学術研究院医学系)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 真理子(山梨英和大学 人間文化学部)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
6,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、地域特性に応じた発達障害児の就学から就労を見据えたライフステージにおける多領域連携支援体制の標準的な流れを示すこと、および各自治体が個々の事例に対して多領域連携支援体制のケアパスを作成するための手引きを作成することである。
研究方法
 医療、母子保健、児童福祉、教育(初等教育、中等教育、高等教育)、障害福祉の領域に分け、現行の発達障害者支援法、障害者総合福祉法、特別支援教育に関連する法律等の法制度について文献を調査し、各領域における発達障害児支援施策の現状と課題について整理した。
結果と考察
1.発達障害のある子どもへの地域医療のシステム・モデルの検討
 発達障害児者の診療経験豊富な医師および発達障害障害地域支援マネジャーの経験者または現任者の意見収集を行い、医療の連携のあり方等について検討した。また、国立障害者リハビリテーションセンター発達障害情報・支援センターが提供するポータルサイト「発達障害ナビポータル」のコンテンツとして当事者・家族向け情報検索ツール「ココみて(KOKOMITE)」を追加し、検索ツールへの情報掲載に許可をいただいた機関を掲載することとした(令和6年3月末時点:887件)。収集した医療機関の情報は「地域精神保健医療福祉資源分析データベース(ReMHRAD)」にも掲載した。
2.発達障害の地域支援に係る母子保健システムに関する調査研究
 令和4年度に実施した全国市町村母子保健主管課及び担当部署(1,724市町村)を対象とした質問紙調査(643市町村から回答:回収率37.3%)の結果を用いて、人口規模により自治体を4グループに分けて、乳幼児健診の実施状況及び母子保健分野と教育分野の情報連携について分析した。
3.発達障害の支援サービス機能の簡易実用評価のマニュアル作成
 令和4~5年度厚生労働科学研究費補助金による「基礎自治体における就学前の発達障害児に対する地域支援体制の実態調査」を踏まえ、市町村母子保健における相談業務に従事している専門家・児童精神科医・教育関係者により、合議制質的研究方法等を用いて「発達障害の支援サービス機能の簡易実用評価(Quick and Practical Assessment of Support Service functions for individuals with Neurodevelopment disorders:Q-PASS)」を開発し、支援段階に応じて支援サービス機能の分析を行うためのマニュアルの作成を行った。
4.発達障害の支援サービス機能の簡易実用評価-その2:就学から就労・自立前まで-の試案
 就学から就労・自立支援までのQ-PASSを作成した。
5.地域特性に応じた発達障害児の学校教育段階における多領域連携支援体制の標準的な流れ(ケアパス)に関する予備調査研究
 基礎自治体における就学期から高等学校段階までの発達障害児に対する地域支援体制の現状の成果と課題について、14自治体から聞き取り調査を実施した。その際、基礎自治体担当者の許可を得られた場合には、Q-SACCSを活用し整理した。
6.高等教育における発達障害学生支援に関するシステム・モデルの検討
 統計資料、先行研究や書籍等の文献資料、大学等高等教育機関のウェブページの情報から、高等教育における発達障害学生支援に関連のあるものを収集し、整理した。
7.地域特性に応じた発達障害児の就学から就労を見据えた多領域連携による支援体制整備に向けた研究
 文献調査として、就学から就労への移行に触れていた7件の論文及び研究報告書の内容を整理し、就学期から就労期の課題を概観した。さらに、進学や就学期から就労期の支援に関心を向けている3つの自治体を対象にヒアリング調査を行った。
結論
 本研究では、学童期から就労にいたる時期の発達障害児およびその家族に対する地域支援について、すべての基礎自治体で共通に整備されるべきと思われる支援の流れの骨子と、人口規模などの地域特性に応じた柔軟な運用を可能とするシステム・モデルのあり方を示すことを目指している。これにより、発達障害児の支援に関する地域差を軽減するだけでなく、地域ごとの特色を生かした工夫を可能とするシステム・モデルが提示できる。
 また、Q-PASSが乳幼児期から就学前まで完成し、マニュアルも作成できた。就学から就労・自立支援までの試案も作成した。次年度は乳幼児から就労・自立支援までのQ-PASSとマニュアルを完成させる計画を立てている。これが完成すれば、Q-SACCSを併せて用いることで自治体の支援体制およびサービス機能の詳細な分析が可能となる。

公開日・更新日

公開日
2024-08-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-08-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202327025Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
5,462,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,538,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 796,235円
人件費・謝金 1,466,991円
旅費 614,510円
その他 784,306円
間接経費 1,800,000円
合計 5,462,042円

備考

備考
自己資金42円

公開日・更新日

公開日
2024-11-25
更新日
-