文献情報
文献番号
200936175A
報告書区分
総括
研究課題名
非もやもや病小児閉塞性脳血管障害の実態把握と治療指針に関する研究
課題番号
H21-難治・一般-120
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
宮本 享(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 冨永 悌二(東北大学 医学研究科)
- 中川原 譲二(中村記念病院)
- 宝金 清博(北海道大学 医学研究科)
- 永田 泉(長崎大学 医歯薬学総合研究科)
- 高橋 淳(京都大学 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
小児閉塞性脳血管障害は、本邦においてはもやもや病がその大半を占めるが、その初発症状および検査所見がもやもや病に類似しながらも同疾患診断基準を満たさず、同疾患とは明らかに異なるものが存在することが知られている。長期的な臨床経過も異なり、違った対応が必要であるが、治療指針は確立されておらず、またこのような病態の疫学データも存在しない。本研究は、本邦における「非もやもや病小児閉塞性脳血管障害」の実態を把握し、治療指針を確立することを目的とする。
研究方法
非もやもや病小児閉塞性脳血管障害について、悉皆性の高い疫学研究と全国脳外科・小児科施設へのアンケート調査を行う。
具体的には(1)もやもや病診療基幹施設長を分担研究者とし、当該施設の疫学テータを収集(2)全国脳神経外科、小児科施設へのアンケート調査を行う。
平成21年度は(1)を行い、非もやもや病小児閉塞性脳血管障害データベースを作成する。
具体的には(1)もやもや病診療基幹施設長を分担研究者とし、当該施設の疫学テータを収集(2)全国脳神経外科、小児科施設へのアンケート調査を行う。
平成21年度は(1)を行い、非もやもや病小児閉塞性脳血管障害データベースを作成する。
結果と考察
「1998年4月以降に入院治療を受けた小児閉塞性脳血管障害患者」は218例。明らかな心原性脳塞栓症や他疾患確定診断がなされているもの(高安動脈炎やFMDなど)を除外すると212例。このうち「もやもや病、片側性もやもや病、類もやもや病」と診断されない「非もやもや小児閉塞性脳血管障害」は24例(全体の11.3%、男:女=1.6:1、平均年齢10.0歳)であった。75%が完成梗塞(うち穿通枝領域梗塞61%)で発症、責任血管が検出された22例中両側病変は2例のみ、他はすべて片側病変。部位はICA:4, ICA-M1:5, M1:8, M2-4:1,その他4。もやもや血管の描出は全例なし。
20人(83.3%)は保存的に治療され、外科治療介入を行ったのは4例のみであった(bypass3、頭蓋内stent1)。初回発作により種々の神経学的脱落症状の後遺が発生したが、内科治療のみの例でも観察期間中の再発作は確認されなかった。
初回発作を厳重な管理・治療でしのぎきれば中長期予後は比較的良好である可能性が示唆された。これは小児虚血型もやもや病の多くが進行性であり積極的なバイパス手術が勧められるのとは対照的である。
20人(83.3%)は保存的に治療され、外科治療介入を行ったのは4例のみであった(bypass3、頭蓋内stent1)。初回発作により種々の神経学的脱落症状の後遺が発生したが、内科治療のみの例でも観察期間中の再発作は確認されなかった。
初回発作を厳重な管理・治療でしのぎきれば中長期予後は比較的良好である可能性が示唆された。これは小児虚血型もやもや病の多くが進行性であり積極的なバイパス手術が勧められるのとは対照的である。
結論
もやもや病と類似していても、狭窄病変の進行は希であり、臨床経過が大きく異なる。外科治療の適応には慎重を要する。平成22年度は全国調査を予定している。
公開日・更新日
公開日
2010-05-31
更新日
-