母子保健情報のデジタル化とデータの利活用を推進するための研究

文献情報

文献番号
202327021A
報告書区分
総括
研究課題名
母子保健情報のデジタル化とデータの利活用を推進するための研究
課題番号
23DA1201
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
梅澤 明弘(国立成育医療研究センター 成育こどもシンクタンク)
研究分担者(所属機関)
  • 森川 和彦(東京都立小児総合医療センター 臨床研究支援センター)
  • 佐藤 雄一郎(東京学芸大学 教育学部)
  • 板倉 敦夫(順天堂大学 大学院医学研究科)
  • 中川 慧(大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学)
  • 永光 信一郎(福岡大学 医学部小児科)
  • 山縣 然太朗(国立大学法人 山梨大学 大学院総合研究部 医学域 社会医学講座)
  • 小林 徹(国立成育医療研究センター データサイエンス部門)
  • 森崎 菜穂(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 社会医学研究部)
  • 竹原 健二(国立研究開発法人国立成育医療研究センター研究所 政策科学研究部)
  • 中井 章人(公益社団法人日本産婦人科医会)
  • 三平 元(千葉大学大学院医学研究院附属法医学教育研究センター)
  • 三上 礼子(国立成育医療研究センター 臨床研究センター)
  • 山本 圭一郎(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 臨床研究センター 臨床研統括部)
  • 中野 孝介(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 臨床研究センター 多施設連携部門 ネットワーク推進ユニット)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
15,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、Information and Communication Technology(ICT)はめざましい発展を遂げてており、様々な社会・経済活動等を逐次的にデジタルデータ化したビッグデータを利活用する事によって新たな社会・経済的価値を創出するデジタルトランスフォーメーション(DX)が様々な分野で花開いている。  本邦では令和4年に「デジタル社会の実現に向けた重点計画(工程表)」が定められ、健康・医療・介護データヘルス改革が推進されている。母子保健領域では厚生労働省が設置した検討会により標準的な電子的記録様式及び最低限電子化すべき情報が示され、現在地方自治体が収集した妊産婦・乳幼児健診情報といった母子保健情報はマイナンバーカードにより管理されて利用者の閲覧や市町村間での情報連携に活用されている。また、近年半数以上の地方自治体は民間業者が作成・運用する母子健康手帳アプリを用いて住民との健診・予防接種情報の共有・利活用を進めており、今後このような既存ビッグデータをどのように利活用していくかも重要な視点である。一方で収集する電子的記録の量・データ形式・標準化②収集デジタル情報の利活用方法③収集デジタル情報の収集方法・管理方法④母子保健情報利活用に関する法的・倫理的課題といった点に複数の解決すべき問題が依然存在している、母子保健分野におけるDX推進のためには、母子保健情報の取得から利活用における各プロセスについて現状の把握を行った上で課題を整理し、実現可能性を踏まえて各種stakeholderと連携・協議し解決策をみいだす必要性がある。
以上を踏まえ、本研究では母子保健情報デジタル化に関連する産官学stakeholderと連携し、収集すべき母子保健情報の検討、母子保健情報利活用の検討、母子保健情報収集方法の検討、法的倫理的課題を利用者ご本人、自治体、民間事業者等のヒアリングや事例収集等を通じて母子保健情報デジタル化とデータ利活用に対する課題を見いだし、実現可能な対応策を提案することを目的とした。
研究方法
令和5年度から開始された本研究班では、同時にこども家庭庁が実施する「母子保健情報デジタル化実証事業」と綿密に連携して調査研究を実施することが求められている。一方で、本年度よりデジタル庁が実施する「医療費助成・予防接種・母子保健にかかる情報連携の実証事業」と連携して調査研究および社会実装をすすめていく方針となった。両実証事業にて構築する情報システム(Public Medical hub【PMH】)を利用することを前提に調査研究を進める方針とし、以下の7課題、1:乳幼児健診にて収集すべき母子保健情報、2:妊婦健診にて収集すべき母子保健情報、3:拡充すべき乳幼児健診の提案、4:母子保健情報利活用におけるStakeholder毎の意見、5:母子保健情報利活用の国際動向、6:母子保健情報収集システム、7:既存情報二次利用に関する法的・倫理的な現状と課題、について今年度は調査し、その結果を両事業と速やかに共有する事でPMH構築に協力することとした。
結果と考察
本年度は3年計画の1年目で、当初計画では母子保健情報デジタル化とその利活用に纏わる課題を整理する方針としていた。しかし同時期に開始されたこども家庭庁・デジタル庁事業が本年度中に電子的母子保健情報収集システムを構築する事となったため、3年計画を前倒しし、特に母子保健情報規格や関連システム等について早急に定めることが求められた。そのため研究班では研究班体制を強化すると共に両事業の打ち合わせに参画し、PMH構築上問題となった各種課題に対して速やかに対応策を提言し解決することで両事業の着実な推進に貢献することができた。
一方、PMHをハブとした母子保健サービス運用や利活用等について解決すべき課題が複数存在する。令和6年度以降はそれらの課題に対してアジャイル的にシステム改修を実施する予定である。研究班として引きつづき母子保健情報デジタル化実証事業に協力し、よりよい母子保健サービスの提供に資する情報システム開発や、得られた情報の利活用体制の整備等に貢献していく予定である。
結論
母子保健情報のデジタル化及びデータ利活用に関する課題を整理し、対応策を提言した。本研究班で提言した対応策はPMHの構築や乳幼児健診の拡充といった母子保健領域で重要な政策課題の社会実装に寄与できた。

公開日・更新日

公開日
2024-08-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-08-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202327021Z