文献情報
文献番号
202327019A
報告書区分
総括
研究課題名
低出生体重児の中長期的な心身の健康リスクの解明とフォローアップ・支援体制の構築に向けた研究
課題番号
23DA1001
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
河野 由美(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 諫山 哲哉(国立成育医療研究センター 新生児科)
- 盛一 享徳(国立成育医療研究センター 研究所 小児慢性特定疾病情報室)
- 伊藤 善也(日本赤十字北海道看護大学臨床医学領域)
- 長 和俊(北海道大学・大学院医学院)
- 豊島 勝昭(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター 新生児科)
- 平野 慎也(地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 新生児科)
- 落合 正行(九州大学病院 小児科)
- 橋本 圭司(昭和大学 医学部リハビリテーション医学講座)
- 永田 雅子(名古屋大学発達心理精神科学教育研究センター)
- 岩田 幸子(名古屋市立大学 新生児・小児医学分野)
- 中野 有也(昭和大学 医学部)
- 竹内 章人(独立行政法人国立病院機構岡山医療センター(臨床研究部) 成育医療推進室)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
6,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
低出生体重児は、乳幼児期には成長発達の遅れ、神経発達症等のリスクが高いことは多く報告されているが、学童期以降の長期的な心身の健康のリスクについての日本のデータは不足している。極低出生体重児を中心とする成人期までのフォローアップ体制の整備のため、1)低出生体重の成人期までの成長発達、心身の健康状態に関する系統的レビュー、2)全国の極低出生体重児を対象とした中長期的な成長発達、心身の健康上の問題の実態調査、3)全国の医療機関のフォローアップ体制の調査と自治体での支援状況の調査を行い、低出生体重児の中長期的フォローアップの診療ガイドラインを作成し、自治体や一次医療機関向けに保健指導・支援に利用可能な手引きを作成することを目的とした。
研究方法
1)シスステマティックレビュー:低出生体重児の成人期の予後を包括的に把握するため、報告されたシステマティックレビュー論文を対象にしたシステマティックレビュー(=アンブレラレビュー)を行う。2)実態調査:対象は、調査時に小学生3・4年生、中学生1・2年生、高校生2・3年生、成人(22~24歳)となった極低出生体重児で、各年齢群約350人程度を目標とした。調査方法は、研究対象者の同意の取得は電磁的同意とし、同意取得例に郵送で質問紙調査を行う。
3)長期フォローアップ体制の医療機関調査の方法は、日本新生児成育医学会の会員の所属する新生児特定集中治療室または新生児治療回復室病床をもつ施設の代表医師に対し、調査説明文、アンケートを記載した文書を電子メールで送付する。研究分担者が作成する専用のWEBサイトで、調査参加に同意を取得後(電磁的同意)、アンケートに回答する。
3)長期フォローアップ体制の医療機関調査の方法は、日本新生児成育医学会の会員の所属する新生児特定集中治療室または新生児治療回復室病床をもつ施設の代表医師に対し、調査説明文、アンケートを記載した文書を電子メールで送付する。研究分担者が作成する専用のWEBサイトで、調査参加に同意を取得後(電磁的同意)、アンケートに回答する。
結果と考察
1)18歳以上を対象とし、早産・低出生体重児の思春期・成人期での体格、認知機能、神経疾患、精神疾患、生活習慣病等の合併を正期産出生例と比較するための検索式を作成した。MEDLINE、EMBASE、PsycINFO、Cochrane Library、CINAHL、医中誌の各データベースから対象論文の抽出を行い、最終的に約4800編が抽出された。令和6年2月にシステマティックレビューの国際前向き登録であるPROSPEROに本研究の登録申請を行った。
2)実態調査の研究計画書を策定し、研究代表者が多機関共同研究の一括の倫理審査を申請し承認を得た。研究参加の同意確認は電磁的に行うこととし専用のWEBサイトを構築した。各研究機関で対象者を抽出し、同意取得率、回収率等から目標数を確保するために、研究協力者を加えて各年齢群750人以上に調査依頼をすることになった。実際の調査は年度をまたぐと学年が変わるため、令和6年4月から同意確認を開始することとした。心身の健康状態を網羅的に把握するために、国際生活機能分類(ICF)に準じて年齢別・健康と生活についての質問紙を作成した。加えて標準化された尺度を用い、行動発達についてはADHD-RS、ASRS、AQを、健康関連QOLについては、日本語版KINDL、SF36をそれぞれ年齢に応じて選択した。質問紙を回収できた対象の診療録調査のためのファイルを作成した。
3)長期フォローアップ体制の医療機関調査の調査内容を検討し、フォローアップの対象、担当者、フォローアップ期間、地域連携方法、低出生体重児用手帳の活用や就学猶予の経験などから、長期フォローアップの課題を抽出できるよう調査票を作成した。研究代表者の機関で、倫理申請を行った。
2)実態調査の研究計画書を策定し、研究代表者が多機関共同研究の一括の倫理審査を申請し承認を得た。研究参加の同意確認は電磁的に行うこととし専用のWEBサイトを構築した。各研究機関で対象者を抽出し、同意取得率、回収率等から目標数を確保するために、研究協力者を加えて各年齢群750人以上に調査依頼をすることになった。実際の調査は年度をまたぐと学年が変わるため、令和6年4月から同意確認を開始することとした。心身の健康状態を網羅的に把握するために、国際生活機能分類(ICF)に準じて年齢別・健康と生活についての質問紙を作成した。加えて標準化された尺度を用い、行動発達についてはADHD-RS、ASRS、AQを、健康関連QOLについては、日本語版KINDL、SF36をそれぞれ年齢に応じて選択した。質問紙を回収できた対象の診療録調査のためのファイルを作成した。
3)長期フォローアップ体制の医療機関調査の調査内容を検討し、フォローアップの対象、担当者、フォローアップ期間、地域連携方法、低出生体重児用手帳の活用や就学猶予の経験などから、長期フォローアップの課題を抽出できるよう調査票を作成した。研究代表者の機関で、倫理申請を行った。
結論
極低出生体重児を中心とする低出生体重の成人期までの心身の健康リスクの解明のため、アンブレラレビューをすすめ、極低出生体重児を対象とした中長期的な問題の実態調査とフォローアップ体制調査の方法をより質の高い調査が可能となるよう検討し確定した。
公開日・更新日
公開日
2024-06-12
更新日
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