文献情報
文献番号
200936173A
報告書区分
総括
研究課題名
乳児ランゲルハンス細胞組織球症の病態解明と診療研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-難治・一般-118
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
森本 哲(自治医科大学 とちぎ子ども医療センター(小児科))
研究分担者(所属機関)
- 藤本 純一郎(国立成育医療センター研究所)
- 石井 榮一(愛媛大学医学部小児医学)
- 今村 俊彦(京都府立医科大学小児発達医学)
- 塩田 曜子(国立成育医療センター固形腫瘍科)
- 福田 冬季子(自治医科大学とちぎ子ども医療センター(小児科))
- 吉川 一郎(自治医科大学とちぎ子ども医療センター(小児整形外科))
- 五味 玲(自治医科大学とちぎ子ども医療センター(小児脳外科学))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)は主として乳児期に発症する病因不明の希少疾患である。皮膚や骨、頭蓋内病変など症状は多彩で、約10%が急速に進行し致命的となる。診断は組織の病理像によるが、小児科以外の診療科を初診することが多い、本疾患の認知度が低い、組織診断が難しいため、しばしば診断が遅れる。確定診断が得られても標準化治療がない、頻回に再燃し長期の経過をたどる、成長・発達障害、中枢神経変性症などの非可逆的な後遺症を残すことも大きな問題である。このような乳児LCHの治療成績向上を目的とする。
研究方法
(1) 全国規模での症例集積、中央病理診断、患者検体の保管とデータベース化。
(2) ホームページや公開講座による医師・市民への啓発。
(3) 新規治療開発を目指した骨免疫学的解析からの病態解明。
(4) 病型に基づいた治療指針の作成。
(5) 長期フォローアップ基準の作成。
(2) ホームページや公開講座による医師・市民への啓発。
(3) 新規治療開発を目指した骨免疫学的解析からの病態解明。
(4) 病型に基づいた治療指針の作成。
(5) 長期フォローアップ基準の作成。
結果と考察
(1) JPLSGの患者登録システムを利用した新規症例の登録、中央診断、検体保存のシステムを確立し「乳児LCH病理診断ガイドライン」を作製した。これにより、日本の乳児LCHのほとんどの症例が登録されると考えられる。
(2) ホームページや講演会、LCH患者会における疾患の解説、LCH学術集会の開催、小児科専門誌に総説発表を行った。今後、最新の正しい情報を特に小児科以外の診療科の医師に発信することが重要である。
(3) 診断時の患者血清を収集しサイトカインなどの液性因子を網羅的に測定した。多臓器型LCH、特にリスク臓器浸潤のある例では種々の炎症性サイトカイン・ケモカインが有意に高値であった。これらが破骨細胞の活性化や病勢の進行に関与していると考えられた。
(4) ①造血細胞移植療法の調査、②単一病変例の実態調査、③多発骨病変の解析、④ビスフォスフォネート療法の調査、⑤2CdA療法の調査、⑥臨床研究JLSG-02の中間解析を行った。これらを基に「乳児LCH治療ガイドライン」と臨床研究プロトコールを作製した。
(5) 「乳児LCHフォローアップガイドライン」を作製しJLSG96/02臨床研究に登録された症例の晩期障害調査を行った。晩期障害は発症から年が経るにつれて頻度が上昇した。より長期に詳細に経過観察することの重要性がさらに明らかとなった。
(2) ホームページや講演会、LCH患者会における疾患の解説、LCH学術集会の開催、小児科専門誌に総説発表を行った。今後、最新の正しい情報を特に小児科以外の診療科の医師に発信することが重要である。
(3) 診断時の患者血清を収集しサイトカインなどの液性因子を網羅的に測定した。多臓器型LCH、特にリスク臓器浸潤のある例では種々の炎症性サイトカイン・ケモカインが有意に高値であった。これらが破骨細胞の活性化や病勢の進行に関与していると考えられた。
(4) ①造血細胞移植療法の調査、②単一病変例の実態調査、③多発骨病変の解析、④ビスフォスフォネート療法の調査、⑤2CdA療法の調査、⑥臨床研究JLSG-02の中間解析を行った。これらを基に「乳児LCH治療ガイドライン」と臨床研究プロトコールを作製した。
(5) 「乳児LCHフォローアップガイドライン」を作製しJLSG96/02臨床研究に登録された症例の晩期障害調査を行った。晩期障害は発症から年が経るにつれて頻度が上昇した。より長期に詳細に経過観察することの重要性がさらに明らかとなった。
結論
症例登録、中央診断のシステムが確立され、この希少疾患についての啓発が進み、破骨細胞抑制薬のLCH治療への導入ための基礎データが得られ、現時点での適切な治療指針と標準的治療の基となる臨床研究が完成し、晩期障害のフォローアップ基準が確立した。
公開日・更新日
公開日
2010-05-26
更新日
-