文献情報
文献番号
202327017A
報告書区分
総括
研究課題名
新規疾患の新生児マススクリーニングに求められる実施体制の構築に関する研究
課題番号
23DA0801
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
但馬 剛(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 研究所 マススクリーニング研究室)
研究分担者(所属機関)
- 田島 敏広(自治医科大学 医学部 小児科学)
- 濱崎 考史(大阪公立大学 大学院医学研究科 発達小児医学)
- 知念 安紹(琉球大学 大学院医学研究科 育成医学講座)
- 沼倉 周彦(埼玉医科大学病院 ゲノム医療科/小児科)
- 小林 弘典(島根大学 医学部附属病院 検査部)
- 湯浅 光織(福井大学 学術研究院 医学系部門(附属病院部))
- 中村 公俊(熊本大学 大学院生命科学研究部 小児科学講座)
- 大石 公彦(東京慈恵会医科大学 医学部 小児科学)
- 小須賀 基通(国立成育医療研究センター 遺伝診療センター 遺伝診療科)
- 下澤 伸行(東海国立大学機構岐阜大学 高等研究院)
- 今井 耕輔(防衛医科大学校 医学教育部 医学科)
- 山形 崇倫(自治医科大学 医学部)
- 斎藤 加代子(東京女子医科大学 医学部)
- 竹島 泰弘(兵庫医科大学 医学部 小児科学)
- 木水 友一(大阪母子医療センター 小児神経科)
- 森岡 一朗(日本大学 医学部 小児科学)
- 窪田 満(国立成育医療研究センター 総合診療部)
- 鈴木 光幸(順天堂大学 医学部 小児科)
- 川目 裕(東京慈恵会医科大学 附属病院 遺伝診療部)
- 金子 実基子(東京慈恵会医科大学 附属病院 遺伝診療部)
- 倉澤 健太郎(横浜市立大学 大学院医学研究科 生殖成育病態医学)
- 中込 さと子(信州大学 医学部 保健学科 看護学専攻)
- 篠原 正和(神戸大学 大学院医学研究科 分子疫学分野)
- 此村 恵子(国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター)
- 星野 絵里(国立成育医療研究センター 研究所 政策科学研究部 政策評価研究室)
- 田中 藤樹(国立病院機構北海道医療センター 小児科/小児遺伝代謝センター/臨床研究部)
- 和田 陽一(東北大学 大学院医学系研究科)
- 野口 篤子(秋田大学 大学院医学系研究科 小児科学)
- 入月 浩美(新潟大学 医歯学総合病院 ゲノム医療部 遺伝医療センター)
- 大澤 好充(群馬大学 医学部附属病院 小児科)
- 石毛 美夏(和田 美夏)(日本大学 医学部 小児科学)
- 味原 さや香(埼玉医科大学病院 小児科/ゲノム医療科)
- 中島 葉子(市原 葉子)(藤田医科大学 医学部 小児科学)
- 笹井 英雄(東海国立大学機構岐阜大学 大学院医学系研究科 小児希少難病早期診断・予防医学)
- 李 知子(兵庫医科大学 医学部 小児科学)
- 坊 亮輔(神戸大学 医学部附属病院 小児科)
- 香川 礼子(広島大学病院 小児科)
- 濱田 淳平(愛媛大学 大学院医学系研究科 小児科学)
- 井上 貴仁(福岡大学 筑紫病院 小児科)
- 澤田 浩武(宮崎大学 医学部 看護学科)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
10,170,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
概要版(繰越課題)
①AMED研究開発で策定した対象疾患選定用評価項目リストに沿って、各疾患スクリーニングを評価するための情報収集
各疾患領域の専門学会・研究班等(下掲)との共同実施とする形で調査を立案ないし実施した。
1) ライソゾーム病(LSD), 副腎白質ジストロフィー(ALD):
日本先天代謝異常学会(JSIMD), 厚生労働科学研究「ライソゾーム病、ペルオキシソーム病(副腎白質ジストロフィーを含む)における 早期診断・早期治療を可能とする診療提供体制の確立に関する研究」班(研究代表者:奥山虎之)
JSIMD内に設置したワーキンググループ(13名:うち9名は当研究班員)内で調査を実施した。当研究班分担者も同じ調査票を用いて、各所属自治体の現状を確認するとともに、担当地域ブロック内の近隣自治体の調査への協力者をリストアップした。
2) 原発性免疫不全症(PID):日本免疫不全・自己炎症学会(JSIAD)
各自治体のスクリーニング検査機関を対象とする検査実績の調査および、精査医療機関を対象とする発見症例の臨床情報の調査の計画を策定した(倫理審査承認済み)。
3) 脊髄性筋萎縮症(SMA):
日本小児神経学会(JSCN), 厚生労働省科学研究「神経変性疾患領域における難病の医療水準の向上や患者のQOL向上に資する研究」班(研究代表者:戸田達史)
JSCN内に設置したワーキンググループで診療体制に関する調査計画を策定し、学会員を対象とするウェブアンケートを実施した。
厚労科研戸田班のオンライン患者レジストリーへの登録症例の臨床情報を分析するとともに、国内主要医療機関の関連診療科, 療育施設, 小児神経専門医, 日本精神神経学会代議員を対象に、通院または入院中の患者の所在情報を把握する一次調査を実施した。
4) 先天性サイトメガロウイルス感染症(cCMV):
AMED「母子感染のリスク評価と先天性感染の新たな診断・予防法の開発研究」班(研究開発代表者:森岡一朗)
濾紙尿検体を用いる新生児スクリーニングが2021年から国内各地で自費検査として実施されており、2023年までの3年間で13,115人が受検し、そのうち32人(0.24%)で陽性が確認された。
②スクリーニング検査の精度管理手法の検討
早期の社会実装に対する要請が高まっているPID・SMAのスクリーニングに使用される定量PCR検査の精度管理手法確立を目標として、日本マススクリーニング学会(JSNS)技術部会内にワーキンググループを設置。重症複合免疫不全症(SCID)・B細胞欠損症(BCD)・SMAの各指標および内在性DNA(RNaseP)の各配列を組み込んだプラスミドを設計し、これらを添加した白血球除去血液をスクリーニング検査用濾紙に滴下することで、外部精度管理に使用可能な血液濾紙検体を作製した。
③遺伝カウンセリング体制に関する検討:予備的調査
各地域での遺伝カウンセリング体制の実態調査を行うための準備として、拡大NBSが実施されている37都道府県で、自治体・大学・公的医療機関などがウェブサイトで公開している情報を調査した。
遺伝性疾患であることの記載:6/37, 遺伝形式の説明:2/37, 「遺伝カウンセリング」に関する記載:0/37, パンフレット掲載:16/37, 動画掲載:7/37
遺伝性疾患であることに触れている少数のウェブサイトでも記載の内容は様々で、図による遺伝形式の説明は全く見られず、理解の促進に役立つと評価できるサイトはないのが現状であった。
④対象疾患の経済性評価:予備的調査
小児疾患や希少疾患の経済性評価に伴う技術的課題を明らかにするため、先行研究論文の体系的レビューを実施した。SCID・SMAスクリーニングの医療経済評価研究については多数の報告があり、分析モデルも複数構築されていた。cCMVについては、我が国の医療環境での評価が報告されており、費用対効果に優れると結論されていた。その他の候補疾患に関する報告数は限られており、用いられた疫学データのエビデンスや研究報告としての質は疾患により様々であった。
各疾患領域の専門学会・研究班等(下掲)との共同実施とする形で調査を立案ないし実施した。
1) ライソゾーム病(LSD), 副腎白質ジストロフィー(ALD):
日本先天代謝異常学会(JSIMD), 厚生労働科学研究「ライソゾーム病、ペルオキシソーム病(副腎白質ジストロフィーを含む)における 早期診断・早期治療を可能とする診療提供体制の確立に関する研究」班(研究代表者:奥山虎之)
JSIMD内に設置したワーキンググループ(13名:うち9名は当研究班員)内で調査を実施した。当研究班分担者も同じ調査票を用いて、各所属自治体の現状を確認するとともに、担当地域ブロック内の近隣自治体の調査への協力者をリストアップした。
2) 原発性免疫不全症(PID):日本免疫不全・自己炎症学会(JSIAD)
各自治体のスクリーニング検査機関を対象とする検査実績の調査および、精査医療機関を対象とする発見症例の臨床情報の調査の計画を策定した(倫理審査承認済み)。
3) 脊髄性筋萎縮症(SMA):
日本小児神経学会(JSCN), 厚生労働省科学研究「神経変性疾患領域における難病の医療水準の向上や患者のQOL向上に資する研究」班(研究代表者:戸田達史)
JSCN内に設置したワーキンググループで診療体制に関する調査計画を策定し、学会員を対象とするウェブアンケートを実施した。
厚労科研戸田班のオンライン患者レジストリーへの登録症例の臨床情報を分析するとともに、国内主要医療機関の関連診療科, 療育施設, 小児神経専門医, 日本精神神経学会代議員を対象に、通院または入院中の患者の所在情報を把握する一次調査を実施した。
4) 先天性サイトメガロウイルス感染症(cCMV):
AMED「母子感染のリスク評価と先天性感染の新たな診断・予防法の開発研究」班(研究開発代表者:森岡一朗)
濾紙尿検体を用いる新生児スクリーニングが2021年から国内各地で自費検査として実施されており、2023年までの3年間で13,115人が受検し、そのうち32人(0.24%)で陽性が確認された。
②スクリーニング検査の精度管理手法の検討
早期の社会実装に対する要請が高まっているPID・SMAのスクリーニングに使用される定量PCR検査の精度管理手法確立を目標として、日本マススクリーニング学会(JSNS)技術部会内にワーキンググループを設置。重症複合免疫不全症(SCID)・B細胞欠損症(BCD)・SMAの各指標および内在性DNA(RNaseP)の各配列を組み込んだプラスミドを設計し、これらを添加した白血球除去血液をスクリーニング検査用濾紙に滴下することで、外部精度管理に使用可能な血液濾紙検体を作製した。
③遺伝カウンセリング体制に関する検討:予備的調査
各地域での遺伝カウンセリング体制の実態調査を行うための準備として、拡大NBSが実施されている37都道府県で、自治体・大学・公的医療機関などがウェブサイトで公開している情報を調査した。
遺伝性疾患であることの記載:6/37, 遺伝形式の説明:2/37, 「遺伝カウンセリング」に関する記載:0/37, パンフレット掲載:16/37, 動画掲載:7/37
遺伝性疾患であることに触れている少数のウェブサイトでも記載の内容は様々で、図による遺伝形式の説明は全く見られず、理解の促進に役立つと評価できるサイトはないのが現状であった。
④対象疾患の経済性評価:予備的調査
小児疾患や希少疾患の経済性評価に伴う技術的課題を明らかにするため、先行研究論文の体系的レビューを実施した。SCID・SMAスクリーニングの医療経済評価研究については多数の報告があり、分析モデルも複数構築されていた。cCMVについては、我が国の医療環境での評価が報告されており、費用対効果に優れると結論されていた。その他の候補疾患に関する報告数は限られており、用いられた疫学データのエビデンスや研究報告としての質は疾患により様々であった。
公開日・更新日
公開日
2024-08-05
更新日
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