出生前検査に関する情報提供体制、遺伝カウンセリング体制、支援体制の構築のための研究

文献情報

文献番号
202327013A
報告書区分
総括
研究課題名
出生前検査に関する情報提供体制、遺伝カウンセリング体制、支援体制の構築のための研究
課題番号
23DA0401
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
三宅 秀彦(お茶の水女子大学 基幹研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 重人(京都大学大学院 医学研究科)
  • 西垣 昌和(京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻)
  • 山田 崇弘(北海道大学病院 臨床遺伝子診療部)
  • 小西 郁生(京都大学 大学院医学研究科)
  • 久具 宏司(東京大学医学部附属病院)
  • 小出 馨子(学校法人 昭和大学 医学部)
  • 佐々木 元子(お茶の水女子大学大学院基幹研究院自然科学系)
  • 澤井 英明(兵庫医科大学 医学部)
  • 鈴森 伸宏(名古屋市立大学 大学院医学研究科 産科婦人科)
  • 浜之上 はるか(横浜市立大学附属病院 遺伝子診療科)
  • 蒔田 芳男(旭川医科大学 医学部 病院遺伝子診療カウンセリング室)
  • 三浦 清徳(長崎大学 医学部・歯学部附属病院)
  • 浦野 真理(東京女子医科大学附属遺伝子医療センター)
  • 片岡 弥恵子(聖路加国際大学大学院 看護学研究科)
  • 金井 誠(信州大学医学部附属病院)
  • 佐々木 規子(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 中込 さと子(信州大学医学部保健学科)
  • 福島 明宗(岩手医科大学 医学部 臨床遺伝学科)
  • 左合 治彦(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター)
  • 佐々木 愛子(国立成育医療研究センター 周産期母性診療センター)
  • 関沢 明彦(昭和大学 医学部 産婦人科学講座)
  • 秦 健一郎(国立成育医療研究センター研究所 周産期病態研究部)
  • 増崎 英明(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科展開医療科学講座(産科婦人科))
  • 山本 俊至(東京女子医科大学 医学部)
  • 吉橋 博史(東京都立小児総合医療センター 臨床遺伝科)
  • 江川 真希子(東京医科歯科大学 血管代謝探索講座)
  • 倉橋 浩樹(藤田医科大学 総合医科学研究所・分子遺伝学)
  • 小林 朋子(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 ゲノム医学普及啓発寄附研究部門)
  • 佐村 修(東京慈恵会医科大学 産科婦人科学講座)
  • 竹内 千仙(東京慈恵会医科大学 遺伝診療部)
  • 三上 幹男(東海大学医学部)
  • 吉田 雅幸(国立大学法人東京医科歯科大学 統合研究機構)
  • 田中 司朗(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻薬剤疫学分野)
  • 白土 なほ子(内野 なほ子)(昭和大学  医学部産婦人科学講座)
  • 遠藤 恵子(山形県立保健医療大学 保健医療学部看護学科)
  • 増澤 祐子(聖路加国際大学 大学院看護学研究科)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
6,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
出生前検査の提供においては、単に検査を提供するだけでなく、出生時の医療への対応、グリーフケアへの対応なども求められるため、産婦人科医を中心に、小児科医や、臨床遺伝の専門家、助産師、看護師、保健師などによる多職種協働体制が必要である。これまで産婦人科専門医を対象とした教育体制の構築を行ってきたが、医師以外の研修体制は未だ整備段階である。その一方で、マイクロアレイや次世代シークエンサーを用いた解像度の高い網羅的検査が利用可能となり、複雑化が進んでいる。そこで、出生前検査の現状調査を把握し、現状に沿った産婦人科医および出生前検査に関連する職種の研修体制の更新、倫理問題の再検討を行うこととした。
研究方法
本研究班は、本研究班の構成員は、医師、看護師、助産師、保健師、認定遺伝カウンセラー、統計学者、科学コミュニケーター、社会学者、など多職種からなっている。さらに、参画する医師の専門領域も、産婦人科だけでなく、小児科、内科、医学教育、医療倫理など様々な領域から構成した。研究にあたっては、下記の4つのサブグループを構成し、各課題への対応について検討を行うこととした:第1グループ(産婦人科医を対象とした教育の検討)、第2グループ(医師以外の関連職種を対象とした教育体制構築)、第3グループ(出生前検査に関するエビデンス集積)、第4グループ(倫理的・社会的課題の検討)。
結果と考察
【第1グループ】産婦人科医を対象とした教育の検討
産婦人科専門医を対象とした学習プログラムの運営・改善を主として実施し、さらに、産婦人科専攻医対象とした教育体制について検討を行った。
2023年12月に開催された第9回日本産科婦人科遺伝診療学会において、座学および演習を担当し、それらの評価を行った。
【第2グループ】医師以外の関連職種を対象とした教育体制構築
出生前検査に関する対応のコンピテンシー、および、教育の時期、対象、方策について検討を行った。この検討のために、助産師,保健師を対象とした教育・実践の現状を把握した。この結果を元に、出生前検査に係る情報提供・遺伝カウンセリングの全体像の中で、医師以外の医療従事者、特に保健師、助産師の役割を設定した。
【第3グループ】出生前検査に関するエビデンス集積
出生前検査のエビデンスについての文献的調査を行い、2023年5月31日に開催された、
令和5年度第1回こども家庭庁科学審議会NIPT等の出生前検査に関する専門委員会で報告を行った。また、従来から実施してきた羊水検査、絨毛検査、および胎児超音波検査による出生前検査について、実施状況を調査した。
【第4グループ】倫理的・社会的課題の検討
胎児を対象とした網羅的解析に関する倫理的課題について、小児科を基本領域とする臨床遺伝専門医に質問紙票調査を行った。この結果から、網羅的方法を用いたNIPTを、ローリスク群を含めて妊婦全体に対して実施することは、検査精度の限界と解釈の困難さという医学的課題があることに加え、社会的にも優生思想の助長や生存可能性のある胎児への危害をもたらす可能性があることが示唆された。
結論
臨床研究としてではあるが、より広い対象を検出するために網羅的手法を用いたNIPTの臨床利用が近づいてきている。その検査対象の広がりを前提において、臨床における対応と教育体制を構築していくことが求められると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2024-09-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202327013Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
3,690,000円
差引額 [(1)-(2)]
4,310,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 191,697円
人件費・謝金 373,023円
旅費 878,388円
その他 400,935円
間接経費 1,846,000円
合計 3,690,043円

備考

備考
実際の研究遂行にあたり、人件費の執行が少なくなったこと、また会議にハイブリッド形式を導入し旅費が大幅に減額されたため、支出が予算より少なくなった。

公開日・更新日

公開日
2024-11-11
更新日
-