標準的な生殖医療の知識啓発と情報提供のためのシステム構築に関する研究

文献情報

文献番号
202327003A
報告書区分
総括
研究課題名
標準的な生殖医療の知識啓発と情報提供のためのシステム構築に関する研究
課題番号
21DA1003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
苛原 稔(国立大学法人徳島大学 大学院医歯薬学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 大須賀 穣(国立大学法人 東京大学 医学部附属病院)
  • 高橋 俊文(福島県立医科大学 ふくしま子ども女性医療支援センター)
  • 福原 慎一郎(大阪大学 医学系研究科 泌尿器科)
  • 村上 貴美子(医療法人蔵本ウイメンズクリニック 看護部)
  • 森岡 久尚(徳島大学 医学部)
  • 岩佐 武(徳島大学 大学院医歯薬学研究部)
  • 寺田 幸弘(秋田大学医学系研究科機能展開医学系産婦人科学講座)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
17,309,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
世界最高峰の生殖医療レベルに達している不妊治療の発展の成果を広く国民に享受してもらうためには、発展に即した正しい知識を患者に適切、かつ全国あまねく行き届かせること、加えて不妊治療に関して患者の立場に立った情報提供を目指し、本研究では、①不妊治療の最新かつ正確な知識啓発と情報提供が円滑にできるシステムを構築し、②そのための適切な資材を作成し、③患者側と医療施設が共有して治療に生かせる記録形態を確立し、結果として不妊治療の適切な展開に寄与し医療行政に貢献することを目的とした。
研究方法
研究の最終年として、各研究分担者において得た結果に基づいて成果物作成の検討を行った。また、2回の班会議を開催して、それぞれの計画立案や進捗把握の情報を共有しながら研究を進めた。加えて、苛原が中心となって各種団体との意見交換等を密に行った。また、本年度から新たな研究項目として、本邦の生殖医療に基づく配偶子や胚管理に関する提言を行うこととなり、「本邦の配偶子、胚管理に関する関連4学会による統一提言作成班」を設置して具体的な検討を開始した。
①一般向けの情報提供資材の作成
大須賀を中心に、日本生殖医学会の不妊・不育に関する「生殖医療ガイドライン」と「不育症管理に関する提言2021」の内容に基づき、一般向けの情報提供資材「患者さんのための生殖医療ガイドライン」を作成し、関係方面に意見を求め若干の修正を経たのち、東京大学産婦人科のホームページからダウンロードできるように設定した。
②不妊患者記録形式の検討
高橋、福原、村上を中心に、不妊患者の治療記録冊子作成を目的にアンケート調査に基づき、記録小冊子案(コンセプションノートと命名)を作成し、関係方面に意見を求め修正したのち、小冊子を印刷し、関連の団体や検診現場に送付した。
③不妊治療の情報提供に関する研究
森岡を中心に、不妊治療の情報提供について不妊患者、医療従事者、一般人を対象としたアンケート調査により、インターネットを用いた情報提供が適切であることがわかった。
④生殖医療の知識啓発と情報提供システムの構築
苛原、岩佐を中心に、多様な患者説明資材の在り方検討し、ホームページへの情報アップや動画作成した。これらは日本産科婦人科学会のHPで公開している。
⑤本邦の配偶子・胚管理の在り方の提案
寺田を中心に、本邦の生殖医療に基づく配偶子や胚管理に関する提言を行うこととなり、「本邦の配偶子、胚管理に関する統一提言」作成し、行政に提言した。
結果と考察
①一般向けの情報提供資材の作成
「患者さんのための生殖医療ガイドライン」について各方面から意見から寄せられた意見は概ね良好であった。特に、患者への説明や患者自身の情報収集に有用との意見が多かった。
②不妊患者記録形式の検討
コンセプションノートに対する各方面から意見は概ねの作製を進めた。。
③不妊治療の情報提供に関する研究
不妊治療に関する不妊患者や医療従事者、一般人を対象としたアンケート調査を実施し、情報提供システムとしてインターネットを利用する必要があることが明らかとなった。
④生殖医療の知識啓発と情報提供システムの構築
不妊治療の最新かつ正確な知識啓発と情報提供が円滑にできるシステムとして、インターネット配信を想定し、不妊治療で重要な着床前診断(PGT-A)の説明資料をモデルして、日本産科婦人科学会とタイアップしながら説明文書や動画案を作成した。作成物は日本産科婦人科学会のホームページで公開されている。
⑤本邦の配偶子・胚管理の在り方の提案
本邦の配偶子、胚管理に関する関連4学会(日本産科婦人科学会、日本生殖医学会、日本卵子学会および日本臨床エンブリオロジスト学会)による統一提言を作成し、行政に提案した。
結論
本年度は研究の最終年として成果作製の最終作成などの事業を行い、以下の結論を得た。
そのために、積極的に必要な各種学会・団体との意見交換等を実施し、意見を求め、必要に応じて修正を行った。
1.不妊治療の最新かつ正確な知識啓発と情報提供が迅速円滑にできるシステムとして紙媒体とともにITを利用したシステム構築が有用であると判断された。
2.患者の啓発のための適切な資材として「患者さんのための生殖医療ガイドライン」を作成し、概ね肯定的な意見を得た。
3.患者側と医療施設が共有して治療に生かせる記録形態として「コンセプションノート」を作成し、医療関係者や患者から概ね肯定的な意見を得た。
4.実臨床の現場でARTにおける胚培養、胚保管、そして胚培養士に関連する統一的な提言を作成し、関連4学会及び行政サイドに答申した。

公開日・更新日

公開日
2024-08-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-08-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202327003B
報告書区分
総合
研究課題名
標準的な生殖医療の知識啓発と情報提供のためのシステム構築に関する研究
課題番号
21DA1003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
苛原 稔(国立大学法人徳島大学 大学院医歯薬学研究部)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-09-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202327003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
特になし
臨床的観点からの成果
特になし
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
本研究により関連する4学会が国家による班研究で「胚培養士」とはどのような存在なのかを討議立案し各学会での承認を得るまでに至った。2023年11月17日の第565回中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)の資料として活用され、「胚培養士」が本邦で初めて定義されたことは今後の生殖補助技術の健全な発展に極めて重要なスタートラインとなる。
その他のインパクト
啓発のためのホームページ:https://www.tokushima-rml.clin.med.tokushima-u.ac.jp
患者さんのための生殖医療ガイドライン:https://www.gynecology-htu.jp/reproduction/
生殖医療実施施設にアンケート調査を行い、実地臨床での運用と関連学会等のヒアリングを行い、患者と医療機関がともに共有する治療記録媒体「CONCEPTION NOTE-不妊治療におけるカップルの検査や治療の記録-」を完成した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
4件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
審議会資料1件
その他成果(普及・啓発活動)
2件
ホームページ2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2024-06-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
202327003Z