大規模イベントの公衆衛生・医療に関するリスクアセスメント及び対応の標準化に向けた研究

文献情報

文献番号
202326024A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模イベントの公衆衛生・医療に関するリスクアセスメント及び対応の標準化に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22LA2002
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
冨尾 淳(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 智也(国立感染症研究所 感染症危機管理研究センター)
  • 森村 尚登(帝京大学 医学部救急医学講座)
  • 大西 光雄(国立病院機構 大阪医療センター 救命救急センター)
  • 高橋 晶(筑波大学 医学医療系 災害・地域精神医学)
  • 市村 康典(国立国際医療研究センター 国際医療協力局)
  • 小井土 雄一(独立行政法人国立病院機構本部 DMAT事務局)
  • 竹田 飛鳥(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、大規模イベントへの準備・対応体制の向上を目指して、近年の国内外の大規模イベントの保健医療対応の知見を統合し、大規模イベントの公衆衛生・医療対応に求められる、組織体制やリスクアセスメント、リスクコミュニケーション等を含む準備・対応に関する基本的な枠組の開発を行うことである。
研究方法
1. 東京2020大会における感染症対策について新型コロナウイルス感染省発生以前に行われてきた感染症対策に着目して情報収集・レビューし、時系列でまとめ、リスク・レディネス・ギャップを整理した。
2. 過去のマスギャザリングイベントやハイプロファイルイベントの報告や文献を収集し、これらのイベントが地域救急医療に及ぼす影響、取り組み、課題について検討した。
3. 大阪・関西万博の公衆衛生・医療の準備、対応について、運営組織体制の参考とされている「愛・地球博」の開催当時の状況と現状を比較し、運営準備体制を調査するとともに課題について検討した。
4. 過去の大規模災害等の精神保健医療領域でのリスクマネジメントについての情報を集積し、海外の同領域についての経験を報告書、論文から収集するともに、実際の担当者に聞き取りを行った。
5. 大規模イベント対応に関する国際機関、諸外国の文書等をレビューし、わが国の体制強化に資する情報を収集・整理した。
6. 夏季の大規模イベントの熱中症発生リスクと暑さ対策について公開情報を用いて分析した。
結果と考察
大規模イベントの開催にあたり、日常の救急医療体制の確保、イベントに対する医療体制の構築、不測の事態への対応について準備する必要がある。また、イベント開催時の救急医療体制を構築するためには、自治体等の公衆衛生・医療・救急搬送部門、医療機関、イベント開催者、その他の関連機関・団体が一同に会してリスクアセスメントと対応策を検討する場(プラットフォーム)を平時より準備しておくことが重要である。海外のマスギャザリング開催国の知見から、大規模イベントの効果的なマネジメントの要素として、1)指揮・統制・コミュニケーション(3C)、2)リスクアセスメント、3)オールハザードアプローチに基づいた準備と対応、4)早期警戒、サーベイランスおよび情報マネジメントシステム、5)入国地点、出入国対策、国境を越えた連携、6)リスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメント、7)レガシーの構築と経験の共有が挙げられており、わが国においても、これらの要素を踏まえた準備・対応を行うことが重要である。
結論
現在準備が進められている大阪・関西万博や今後開催されるイベントについても、過去の同様の大会の知見をふまえつつ、開催地の地理的条件や参加者の人口構成、社会インフラ、熱中症やテロ、自然災害、メンタルヘルスへの影響など新たな健康・安全上のハザードや脅威についても視野に入れてアセスメントすることが求められる。

公開日・更新日

公開日
2025-04-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-04-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202326024B
報告書区分
総合
研究課題名
大規模イベントの公衆衛生・医療に関するリスクアセスメント及び対応の標準化に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22LA2002
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
冨尾 淳(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 智也(国立感染症研究所 感染症危機管理研究センター)
  • 森村 尚登(帝京大学 医学部救急医学講座)
  • 小井土 雄一(独立行政法人国立病院機構本部 DMAT事務局)
  • 大西 光雄(国立病院機構 大阪医療センター 救命救急センター)
  • 高橋 晶(筑波大学 医学医療系 災害・地域精神医学)
  • 市村 康典(国立国際医療研究センター 国際医療協力局)
  • 竹田 飛鳥(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
  • 和田 耕治(国際医療福祉大学 大学院医学研究科公衆衛生学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の主な目的は、1)東京2020大会の公衆衛生・医療対応の総括を行うこと、2)大阪・関西万博をはじめとする大規模イベントへの準備・対応体制の向上を目指して、公衆衛生・医療対応に求められる準備・対応に関する基本的な枠組の開発を行うこと、3)化学テロに備えた解毒剤自動注射器の使用可能要員の育成について、研修実施状況やインストラクターの養成状況、インストラクターの技能維持にかかる課題等について現状を把握し体制の検証を行うことである。
研究方法
1. 東京2020大会の公衆衛生・医療対策について公開資料、学術論文等をもとに収集、整理した。また、大会関係救急傷病者、期間中の救急搬送困難事例のデータを分析した。また、新型コロナウイルス感染省(COVID-19)発生以前に行われてきた感染症対策を時系列でまとめ、リスク・レディネス・ギャップを整理した。
2. 過去のマスギャザリングイベント報告や文献を収集し、これらのイベントが地域救急医療に及ぼす影響、取り組み、課題について検討した。
3. 大阪・関西万博の公衆衛生・医療の準備、対応について、運営組織体制の参考とされている「愛・地球博」の開催当時の状況と現状を比較し、運営準備体制を調査するとともに課題について検討した。
4. 過去の大規模災害等の精神保健医療領域でのリスクマネジメントについての情報を集積し、海外の同領域についての経験を報告書、論文から収集するともに、実際の担当者に聞き取りを行った。
5. 大規模イベント対応に関する国際機関、諸外国の文書等をレビューし、わが国の体制強化に資する情報を収集・整理した。
6. 夏季の大規模イベントの熱中症発生リスクと暑さ対策について公開情報を用いて分析した。
結果と考察
東京2020大会では、対処要領が定められ、①治安対策、②サイバーセキュリティ、③災害対策、④感染症対策を軸に計画策定、体制構築が行われた。暑さ対策やバリアフリー対策も重点課題として認識されていた。大会はCOVID-19の感染拡大に伴い緊急事態宣言下で開催されたが、大会期間中および前後の救急医療需要は、過去の同規模の大会に比して、大会に直接関連する熱中症やCOVID-19症例も含めて決して多くなかった。感染流行期に大規模イベントを開催する場合、市民とのリスクコミュニケーションが特に重要となる。
 化学テロ等に備えた解毒剤の自動注射器使用可能要員については、当初の養成研修事業終了後も総務省消防庁、警察庁、海上保安庁において着実に養成されていた。一方で今後の育成にあたっては、研修の実施、常時対応が可能な疑問への対応窓口の整備、実事案発生後の検証などの実現に向けた体制構築が喫緊の課題として認識された。
大規模イベントの開催にあたっては、日常の救急医療体制の確保、イベントに対する医療体制の構築、不測の事態への対応について準備する必要があり、自治体等の公衆衛生・医療・救急搬送部門、医療機関、イベント開催者、その他の関連機関・団体が一同に会してリスクアセスメントと対応策を検討する場(プラットフォーム)を平時から準備することが重要である。海外のマスギャザリング開催国の知見から、大規模イベントの効果的なマネジメントの要素として、①指揮・統制・コミュニケーション(3C)、②リスクアセスメント、③オールハザードアプローチに基づいた準備と対応、④早期警戒、サーベイランスおよび情報マネジメントシステム、⑤入国地点、出入国対策、国境を越えた連携、⑥リスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメント、⑦レガシーの構築と経験の共有、が挙げられており、わが国においても、これらの要素を踏まえた準備・対応を行うことが求められる。
結論
現在準備が進められている大阪・関西万博や今後開催されるイベントについても、過去の同様の大会の知見をふまえつつ、開催地の地理的条件や参加者の人口構成、社会インフラ、熱中症やテロ、自然災害、メンタルヘルスへの影響など新たな健康・安全上のハザードや脅威についても視野に入れてアセスメントすることが求められる。

公開日・更新日

公開日
2025-04-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-04-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202326024C

成果

専門的・学術的観点からの成果
大規模イベントの開催国・自治体に求められる公衆衛生・医療を効果的にマネジメントするための要素の整理を行った。
臨床的観点からの成果
特記すべきことなし。
ガイドライン等の開発
世界保健機関(WHO)及びWHO東地中海事務局の文書をもとに、「大規模イベントのための包括的オールハザードリスクアセスメントツール」日本語版、及び「大規模イベントの保健医療に関する準備・対応の基本的な考え方」を作成した。
その他行政的観点からの成果
化学テロ等に備えた解毒剤の自動注射器使用可能要員の養成の現状と課題について、関係機関にヒアリング調査を実施し、継続的な研修の実施、対応窓口の整備、実事案発生後の検証の実施などの必要性を明らかにした。
その他のインパクト
特記すべきことなし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
6件
その他論文(英文等)
5件
学会発表(国内学会)
39件
学会発表(国際学会等)
6件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
雑誌特集「大規模イベントがやってくる!ー安全な開催に向けた備えと健康な地域社会の構築」(7論文を収載)1件を2024年7月に掲載した。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2024-06-10
更新日
2025-06-04

収支報告書

文献番号
202326024Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,000,000円
(2)補助金確定額
5,779,000円
差引額 [(1)-(2)]
5,221,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,629,623円
人件費・謝金 1,117,346円
旅費 2,095,997円
その他 936,361円
間接経費 0円
合計 5,779,327円

備考

備考
人件費・謝金については、海外資料の翻訳・整理等について、アプリケーションの活用などにより想定よりも低単価、短時間で対応できたため。
その他については、資料翻訳や英文校正、報告書作成等の費用について想定額よりも安価で発注できたため。
外部委託予定であった資料収集と作成業務を研究代表者、研究分担者、研究協力者で実施したため。

公開日・更新日

公開日
2024-12-17
更新日
-