文献情報
文献番号
202326022A
報告書区分
総括
研究課題名
新型コロナウイルス感染症を踏まえたデュアルユース性が懸念される公衆衛生研究の国際動向及び倫理規範・監督体制確立のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21LA2006
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
三成 寿作(京都大学 iPS細胞研究所)
研究分担者(所属機関)
- 木賀 大介(早稲田大学 先進理工学部)
- 花木 賢一(国立感染症研究所 安全管理研究センター)
- 河原 直人(九州大学病院 ARO次世代医療センター)
- 川本 思心(北海道大学 大学院理学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
8,310,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
新型コロナウイルス感染症に関する動向を踏まえつつ、倫理的・規範的・制度的観点からゲノム関連技術のデュアルユース性の取り扱いに資するガバナンスのあり方を検討・提示する。具体的には、(1)国内外の動向調査、(2)政策提言、(3)専門的人材の拡充とネットワーク形成、(4)多様な人々への情報発信という4つのミッションを実施する。
研究方法
(1)国内外の動向調査に関しては、これまでの知見を統合しながら新たな知を創出するために、学術論文の執筆・公表に注力した。(2)政策提言に関しては、これまでに行った情報収集や分析、議論から得られた知見に基づき、提言(案)を作成した。(3)専門的人材の拡充とネットワーク形成に関しては、積極的に、学会や研究会におけるセッションの企画・開催に取り組んだ。このような機会を通じて、提言(案)の改善を図った。(4)多様な人々への情報発信に関しては、本研究課題に関する資料・文献、ウェブサイト等について調査・整理を継続するとともに、得られた知見の共有手段として独自のウェブサイトの構築を進めた。
結果と考察
吉澤が中心となり、学術論文「Limiting open science? Three approaches to bottom-up governance of dual-use research of concern」(Yoshizawa et al, 2023)を執筆・公表するに至った。特に国内では、感染症研究領域におけるオープンサイエンスのあり方について批判的に見直すような学術論文の公表はあまり例を見ないため、本論文の学術的新規性は低くはないものと推察される。
花木が制作した学習教材は、国立感染症研究所で視聴されたのみならず、AMEDにも提供を行った。今後も、そのコンテンツの継続的な検討、また将来的な改良を要するとはいえ、これまで国内において存在していない中、制作後すぐに様々な研究機関等において活用され、フィードバックが得られ始めていることについてはある一定度の意義が認められる。
また、学会・研究会でのセッションの企画および一般向けの企画・イベントを開催する取り組みをさらに拡充した中で、感染症研究に携わる研究者の健康・安全管理のあり方や、デュアルユース性を伴う研究に対する予見可能性、予見が困難な場合における対応策といった論点の重要性について再認識しただけでなく、科学技術の新たな発見や開発にあたって、なぜ過度の社会的な期待や懸念がすぐに鼓舞・形成されるのかといった、より根本的な論点も浮き彫りになった。デュアルユース性を扱う企画の継続的発展をどのように進めていくべきかについては課題として残された。
花木が制作した学習教材は、国立感染症研究所で視聴されたのみならず、AMEDにも提供を行った。今後も、そのコンテンツの継続的な検討、また将来的な改良を要するとはいえ、これまで国内において存在していない中、制作後すぐに様々な研究機関等において活用され、フィードバックが得られ始めていることについてはある一定度の意義が認められる。
また、学会・研究会でのセッションの企画および一般向けの企画・イベントを開催する取り組みをさらに拡充した中で、感染症研究に携わる研究者の健康・安全管理のあり方や、デュアルユース性を伴う研究に対する予見可能性、予見が困難な場合における対応策といった論点の重要性について再認識しただけでなく、科学技術の新たな発見や開発にあたって、なぜ過度の社会的な期待や懸念がすぐに鼓舞・形成されるのかといった、より根本的な論点も浮き彫りになった。デュアルユース性を扱う企画の継続的発展をどのように進めていくべきかについては課題として残された。
結論
本研究活動を通じて、少なくとも5つの取り組みが重要であるものとして見受けられた。第一に、自然科学系の研究者が感染症研究におけるデュアルユースについて意識・認識を深められるように継続して働きかけていくこと、第二に、デュアルユース性が懸念される、もしくは、懸念された段階で、相談・助言・対応が図れる部署・組織を、それぞれの環境や状況に応じて設置していくこと、第三に、リスクの高い研究を実施する際のモニタリング・監督体制(個別の研究機関や研究資金配分機関、ジャーナル、プレプリント・サーバーにおける取り組みを包含する)を整備していくこと、第四に、多様なアプローチ(高校や大学等での授業・講義のモデル化、科学館やサイエンスアゴラ等における企画・展示を含む)を用いながら、学生や一般の人々に対してデュアルユースの見方や考え方について教育・啓発を行っていくこと、最後に、危険な研究や悪意のある研究に対する規制(透明性や追跡可能性の確保や、場合によっては罰則規定を含む)を明確化していくことである。
公開日・更新日
公開日
2024-10-31
更新日
-