小児神経伝達物質病の診断基準の作成と患者数の実態調査に関する研究

文献情報

文献番号
200936157A
報告書区分
総括
研究課題名
小児神経伝達物質病の診断基準の作成と患者数の実態調査に関する研究
課題番号
H21-難治・一般-102
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
新宅 治夫(大阪市立大学 大学院 医学研究科 発達小児医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 瀬川 昌也(瀬川小児神経クリニック)
  • 加藤 光広(山形大学 医学部 発達生体防御学講座 小児医科学分野)
  • 齋藤 伸治(北海道大学 大学院 医学研究科 小児科学分野)
  • 浜野 晋一郎(埼玉県立小児医療センター 神経科)
  • 久保田 雅也(国立成育医療センター 第一専門診療部 神経内科)
  • 遠山 潤(国立病院機構西新潟中央病院 小児科)
  • 夏目 淳(名古屋大学 大学院医学系研究科 小児科学)
  • 服部 英司(大阪市立大学 大学院 医学研究科 発達小児医学分野)
  • 前垣 義弘(鳥取大学 脳神経 小児科)
  • 松石 豊次郎(久留米大学 医学部 小児科)
  • 井手 秀平(東京都立東部療育センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児神経伝達物質病(PND)はシナップスでの情報伝達を担う神経伝達物質の異常によって起こる遺伝性疾患群である。PNDに含まれる疾患には瀬川病(SD)、チロシン水酸化酵素(TH)欠損症、セピアプテリン還元酵素(SR)欠損症、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症などのドーパミン/セロトニン代謝系の疾患とコハク酸セミアルデヒド脱水素酵素(SSADH)欠損症、GABAトランスポーター欠損症などのGABA代謝系疾患に大きく分けられる。いずれもジストニアなどの不随意運動を主症状とし、小児期に発症する。SDなど、ドーパミン/セロトニン代謝系疾患の一部ではL-dopaが著効することが知られているが、多くは効果的な治療法のない難病である。希少疾患であり、欧州の報告では頻度は100万人に一人とされるが、本邦での実態は不明である。今回の研究では日本での発症率、発症年齢、症候と治療の実態を明らかにする。これをもとに診療指針を作成し、適切な診断と治療の方法を構築する。
研究方法
全国の主要な小児科・神経内科および重症心身症施設、合計1622施設に一次アンケートを行い、過去3年間に受診した小児神経伝達物質病患者数とその内訳について質問した。
全国の施設を北海道、東北、関東、中部・東海、北陸・甲信越、近畿、中国・四国、九州・沖縄の8地区に分類し、各地域の患者数を把握することにより、諸疾患の地域集積性の有無についても検討した。
また、平行して患者の遺伝子解析、血中および髄液中ネオプテリン、ビオプテリン値の測定を行った。
結果と考察
全国の996施設から回答を得られ、117人の瀬川病患者、3人のAADC欠損症患者、4人のSSADH欠損症患者が報告された。瀬川病については関東の1施設に46人と患者の集積があり、センター的機能を果たしていた。他の施設については各施設で患者数は1?6人であった。いずれの疾患についても明らかな地域集積性は認めなかった。遺伝子解析については瀬川病患者のうち7人で変異が判明した。
結論
PNDは希な疾患であり、今後、病名の周知だけでなく、具体的な臨床兆候や鑑別のための検査法を整備し、効率的な診断に結びつけてゆく必要が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2010-06-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200936157C