顔面形態異常を伴う先天性奇形症候群(スミスーマゲニス症候群を含む)の3次元デジタル画像解析の復元データに基づく診断基準の作成と患者数の把握に関する研究

文献情報

文献番号
200936156A
報告書区分
総括
研究課題名
顔面形態異常を伴う先天性奇形症候群(スミスーマゲニス症候群を含む)の3次元デジタル画像解析の復元データに基づく診断基準の作成と患者数の把握に関する研究
課題番号
H21-難治・一般-101
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
奥山 虎之(国立成育医療センター 臨床検査部)
研究分担者(所属機関)
  • 遠藤文夫(熊本大学大学院医学薬学研究部小児科学分野)
  • 三渕浩(熊本大学医学部付属病院新生児学分野)
  • 高田史男(北里大学大学院医療系研究科臨床遺伝医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
スミス-マゲニス症候群(以下SMS症候群)は、17番染色体短腕の微細欠失による染色体異常症であり、多発奇形、精神運動発達遅滞、睡眠障害や自傷行為などを呈する。わが国においては、罹患患者数、治療や療育の実情などは明らかではない。上記の背景から以下の3点を研究目的として検討を加える。
(1)アンケート等を利用した全国調査でわが国におけるSMS症候群患者数を把握する。
(2)SMSの診断基準を作成する。
(3)睡眠障害に対する治療実態を調査する。
研究方法
(1)全国調査によるSMS罹患患者数の推測
全国で染色体異常の診療を行っている201施設 に対してアンケート調査を行った。質問項目は、SMS症候群の診療実績の有無、および診療しているSMS患者の性別と年齢である。
(2)SMS診断基準の作成
SMSの臨床症状および確定診断のための検査法の組み合わせによるわが国で実効性の高い診断基準の作成を試みた。
(3)睡眠障害に対する薬物治療の実態
SMSの特徴的な睡眠障害のメカニズムの解明と治療の進歩の最新情報をPRISMの発信する情報等より入手する。これを日本人患者の治療実態を比較する。
結果と考察
(1)SMS患者数把握のための全国調査
アンケート回収率は57.2%で、その結果、最低37名のSMS日本人患者がいることが判明した。しかし欧米で罹患率から推定すると、この患者数は明らかに少数であり、診断されていない症例が多数存在することが示唆された。
(2)SMS症候群の診断基準作成
特徴的な臨床症状(特徴的な顔貌、睡眠障害、自傷行為、パニック)からSMS症候群を疑い、FISH解析法やCGHマイクロアレイ法により染色体微細構造異常を検出する検査で確定する。
(3)睡眠障害に対する薬物治療の実態
メラトニンとβブロッカーの摂取の組み合わせが睡眠障害に有用である。患者家族会の調査によると、本邦でも4例にメラトニンの投与が行われているが、βブロッカーを併用した症例の報告はなく、その効果についても体系的な検討はなされていない。

結論
本邦のSMS症候群患者数が明らかとなった。欧米の罹患率から考えると、診断されていない症例が多数あることが予想された。また、本邦SMS患者に関して睡眠障害に対する適切な薬物治療がなされていない可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2010-05-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-03-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200936156C

成果

専門的・学術的観点からの成果
スミスーマゲニス症候群(SMS)は、欧米ではその原因究明が進み薬物治療に関する臨床研究も始められている。しかし本邦では、患者数、病態、重症度、睡眠障害の実情など全くこれまで調査されたことはなかった。今回の研究で、SMSの患者の研究・診療に関して、欧米諸国から大きく遅れていることが示され、早急に研究を進める必要があることが示された社会的意義は大きい。特に、睡眠障害に対する薬物治療の有効性・安全性に関する臨床研究の必要性が示されたことにおいて、本研究は意義があったと評価できる。
臨床的観点からの成果
従来、染色体FISH検査のみでしか診断できなかったこの疾患の診断が、CGHアレイという網羅的な方法で診断できるようになったことは、本疾患の診断率の向上に寄与する成果といえる。FISH検査は、特定の疾患を想定して行う検査であるが、CGHアレイは網羅的な検査であるので、臨床診断上、典型的でない症例も今後は容易に診断できることとなった。今後、SMSと診断される症例の増加が予想される。
ガイドライン等の開発
特になし。
その他行政的観点からの成果
特になし。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-