CBRNEテロリズム等に係る健康危機管理体制の国際動向の把握及び国内体制強化に向けた研究

文献情報

文献番号
202326013A
報告書区分
総括
研究課題名
CBRNEテロリズム等に係る健康危機管理体制の国際動向の把握及び国内体制強化に向けた研究
課題番号
22LA1012
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
若井 聡智(独立行政法人国立病院機構本部 DMAT事務局)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 久禎(独立行政法人国立病院機構本部 DMAT事務局)
  • 明石 真言(東京医療保健大学 東が丘・立川看護学部看護学科/大学院看護学研究科)
  • 江川 孝(福岡大学 薬学部)
  • 大西 光雄(国立病院機構 大阪医療センター 救命救急センター)
  • 木下 学(防衛医科大学校免疫微生物学)
  • 齋藤 智也(国立感染症研究所 感染症危機管理研究センター)
  • 高橋 礼子(愛知医科大学 災害医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
3,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
世界健康安全保障行動グループ会合(GHSAG)を含む、国内外のネットワークを通じて国内外の最新の科学的・政策的知見を集約し、各国の政策・実事例の分析を行うと共に、諸外国・GHSAG等で先進的に検討されている各種ガイドライン・対応マニュアル等を踏まえ、本邦でも活用可能な資料として整理を行う。その結果を厚生労働省に提示し、本邦でのCBRNEテロに対する健康危機管理体制強化に向けた提案することを目的とする。
更に、平成31年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(健康安全・危機管理対策総合研究事業)2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等に向けた包括的なCBRNEテロ対応能力構築のための研究(研究代表者:小井土雄一)内の「CBRNEテロ発生時の傷病者対応アウトリーチツール作成に関する研究(高橋礼子 研究分担者)」で作成した『CBRNEテロ対策医療・救護支援ツール(MED-ACT)』の改訂を行い、最新のCBRNEテロ対応知見を集約すると共に、一般医療従事者向けにその知見を継続的に発信していく。
研究方法
<CBRNEテロ対策医療・救護支援ツール(MED-ACT)の改訂に関する研究>
CBRNEテロに関する国内外の最新の科学的・政策的知見の情報収集・分析から抽出された課題・改善点を踏まえ、MED-ACTの各分野掲載資料のブラッシュアップを行うと共に、MED-ACT改訂版についてユーザーによるモニター評価等を行い、利便性・有用性の評価と最適化を図る。
<CBRNE テロリズム等に係る健康危機管理体制の国際動向の把握及び国内体制強化に向けた研究>
GHSAGを通じて、参加国におけるCBRNEテロに関する科学的・政策的知見の状況を把握する。
CBRNEテロに関する国内外の最新の学術研究・法整備・政策・指針・ガイドライン、関連する技術の開発の動向等の国際的な情報を収集・分析する。特にCBRNE分野において先進的な学術研究を行っている国際軍事医学関連会議等には極力現地での参加をし、WEB参加だけでは得にくい、より詳細かつ機微に近い動向・知見を得る場として活用を図る。
結果と考察
<CBRNEテロ対策医療・救護支援ツール(MED-ACT)の改訂に関する研究>
今年度は、銃創・爆傷患者診療指針(Ver.2)の新規掲載を行ったが、他の資料においても今後改訂等が行われる可能性はあるため、各分担研究者より最新の状況を引き続き確認すると共に、既存の掲載資料以外にも一般公開可能なマニュアル・ガイドライン・対応指針等が無いかについても確認を行う。但し、MED-ACTを掲載しているH-CRISIS(国立保健医療科学院所管)が、デジタル庁発足に伴い、予算を前年度6月までに申請することが必要になったため、今後の新規資料掲載については前年度6月までに掲載時の仕様含めて調整することとなった。(このため、令和6年度の新規資料掲載は困難であり、令和7年度以降に持ち越される)
<CBRNE テロリズム等に係る健康危機管理体制の国際動向の把握及び国内体制強化に向けた研究>
GHSAGからの最新情報を含む、CBRNEテロ災害・マスギャザリングに関する公衆衛生及び医療における対策について、国内外からの情報を集約し、国内外のネットワークから本邦における予防・検知・対応の能力の課題と改善点を明らかにし、その対策として、本邦で実施しておくべき病院前・医療機関、医療者の備えを提案し、アウトリーチツールの効果的な改訂にも繋げていく。さらに、事態対処事案における医療と法執行機関との連携ネットワークモデル策定とその検証を通して、武力攻撃(予測)事態を見据えた国民保護での本邦での標準的な医療対応を確立し、我が国の健康危機管理体制の強化に繋げる。これら最新の知見の集約や体制の構築は、厚生労働省の健康危機管理の情報基盤となり、その機能強化につながるものと考える。
結論
 今年度の研究では、海外におけるCBRNEテロ対策・対応に関する情報収集・整理を実施したことに加え、ALL HAZARDアプローチとして本邦で実施しておくべき病院前・医療機関の備え、医療者への研修、MED-ACTを活用した情報発信の重要性を報告した。また、本邦では現時点で大きな問題となっていないオピオイドに関する海外での対応も報告した。さらに、国際的に大きな紛争が発生しており、ウクライナ戦争の詳細な事実は明らかになっていないものの、武力攻撃事態を想定した国民保護訓練を通して、住民避難の際の要配慮者の搬送における課題を明らかにし、解決策を提案した。NBC専門家会合でも、国民保護に関して協議し、我が国でも紛争を見据えて備えておくことの重要性も確認した。さらには、武力攻撃事態に対して、本邦での標準的な医療対応を可能とするためにも、「事態対処事案関係機関連携モデル(仮称)」の策定が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2024-10-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-10-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202326013Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,400,000円
(2)補助金確定額
4,326,000円
差引額 [(1)-(2)]
74,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 85,756円
人件費・謝金 48,600円
旅費 2,992,055円
その他 200,010円
間接経費 1,000,000円
合計 4,326,421円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-10-15
更新日
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