文献情報
文献番号
200936151A
報告書区分
総括
研究課題名
Pelizaeus-Merzbacher(PMD)病の診断及び治療法の開発
課題番号
H21-難治・一般-096
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
田上 昭人(国立成育医療センター研究所 薬剤治療研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
日本におけるPelizaeus-Merzbacher disease (PMD)の発症頻度の調査解析およびin vitro PMD病態モデルの構築およびPMDの治療法の開発を行う。
研究方法
1)発症頻度の調査
日本におけるPMD患者の発症頻度について小児慢性特定疾患に登録されている患者について解析を行った。
2)オリゴデンドロサイトの分離・培養法の開発、in vitro病態モデルおよび薬物スクリーニング評価系の構築
ラット大脳よりオリゴデンドロサイト前駆細胞の分離精製を行い培養を行う。PMD患者の大部分の占めるplp1の重複異常型を模倣するin vitro病態モデル系の構築を行いPLP1によるミエリン形成不全を改善する薬物のスクリーニングを行う。
日本におけるPMD患者の発症頻度について小児慢性特定疾患に登録されている患者について解析を行った。
2)オリゴデンドロサイトの分離・培養法の開発、in vitro病態モデルおよび薬物スクリーニング評価系の構築
ラット大脳よりオリゴデンドロサイト前駆細胞の分離精製を行い培養を行う。PMD患者の大部分の占めるplp1の重複異常型を模倣するin vitro病態モデル系の構築を行いPLP1によるミエリン形成不全を改善する薬物のスクリーニングを行う。
結果と考察
1998-2008年の間における小児慢性特定疾患登録患者数は、49人(男46人、女3人)で11年間の間に新規登録された患者数は、27人であった。発症頻度は年間出生数を約110万人とすると、50-60万出生に一人の割合であった。
本研究で用いたオリゴデンドロサイトの分離・培養法により、80-90%の高純度オリゴデンドロサイト前駆細胞およびオリゴデンドロサイトが得られた。得られたオリゴデンドロサイトを用いてPMDのPLP1重複型モデルの作製を行った。その結果PLP1遺伝子をもつウイルスを感染させた細胞では、PLP1を発現しているオリゴデンドロサイトではMBPを発現が抑制されていた。発現を定量的に解析した結果、感染させるウイルス量を増やすに従ってMBP発現細胞の減少とMBP発現量が低下していた。この結果より、PLP1の発現量依存的に、成熟ミエリンの形成が抑制されることよりこの培養系はin vitro PMDモデルとして有用であると考えられた。さらにin vitro PMD (PLP1重複型) モデルで化合物のスクリーニングを行ってみたところ、U0126がPLP1過剰発現によるミエリン形成の抑制を抑制することが明らかとなった。
本研究で用いたオリゴデンドロサイトの分離・培養法により、80-90%の高純度オリゴデンドロサイト前駆細胞およびオリゴデンドロサイトが得られた。得られたオリゴデンドロサイトを用いてPMDのPLP1重複型モデルの作製を行った。その結果PLP1遺伝子をもつウイルスを感染させた細胞では、PLP1を発現しているオリゴデンドロサイトではMBPを発現が抑制されていた。発現を定量的に解析した結果、感染させるウイルス量を増やすに従ってMBP発現細胞の減少とMBP発現量が低下していた。この結果より、PLP1の発現量依存的に、成熟ミエリンの形成が抑制されることよりこの培養系はin vitro PMDモデルとして有用であると考えられた。さらにin vitro PMD (PLP1重複型) モデルで化合物のスクリーニングを行ってみたところ、U0126がPLP1過剰発現によるミエリン形成の抑制を抑制することが明らかとなった。
結論
過剰発現したPLP1が、ミエリン形成不全を引き起こしPMDを発症し、U0126、PD98059はこの活性化されたERKのpathwayを抑制することによりミエリン形成不全を改善しているものと考えられた。
公開日・更新日
公開日
2010-06-07
更新日
-