文献情報
文献番号
202326010A
報告書区分
総括
研究課題名
クリーニング業の新業務形態の衛生学的安全性の検討および効果的な衛生管理手法の確立
研究課題名(英字)
-
課題番号
22LA1009
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
林 俊治(北里大学 医学部 微生物学)
研究分担者(所属機関)
- 清 和成(北里大学 医療衛生学部)
- 伊藤 道子(公立小松大学 保健医療学部)
- 中村 正樹(北里大学 医療衛生学部)
- 角田 正史(防衛医科大学校 医学教育部 衛生学公衆衛生学講座)
- 金山 敦宏(防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症疫学・制御研究部門)
- 笹原 鉄平(自治医科大学 臨床感染症学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
7,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
クリーニング業は不特定多数の顧客より衣類の洗濯を依頼される業種である。しかし、これらの衣類に病原微生物が付着している可能性があり、汚染衣類によってクリーニング業の従業員および顧客において感染事故が発生するリスクがある。そこで、クリーニング業の安全を確保するために、「クリーニング業法施行規則」および「クリーニング業における衛生管理要領について」が定められている。
従来のクリーニング業においては、顧客が衣類をクリーニング引き受け店に渡し、クリーニング工場にて洗濯された後、顧客が引き受け店で衣類を受け取るといった業務形態が長年続けられてきた。この中でクリーニング引き受け店は上記の規則や要領に従って安全管理に努めてきた。しかし近年、従来の方法とは異なる衣類の受け渡し方法を用いる業務形態が生まれてきている。本研究の目的は、クリーニング業における新しい業務形態の実態を明らかにし、それらの業務形態の安全性を感染リスクという視点から検証することである。以上の検討結果を基に、クリーニング業における衣類の受け渡し方法が将来的にどうあるべきかについて提言を行う。
従来のクリーニング業においては、顧客が衣類をクリーニング引き受け店に渡し、クリーニング工場にて洗濯された後、顧客が引き受け店で衣類を受け取るといった業務形態が長年続けられてきた。この中でクリーニング引き受け店は上記の規則や要領に従って安全管理に努めてきた。しかし近年、従来の方法とは異なる衣類の受け渡し方法を用いる業務形態が生まれてきている。本研究の目的は、クリーニング業における新しい業務形態の実態を明らかにし、それらの業務形態の安全性を感染リスクという視点から検証することである。以上の検討結果を基に、クリーニング業における衣類の受け渡し方法が将来的にどうあるべきかについて提言を行う。
研究方法
リストアップされたクリーニング業の各業務形態について、昨年に引き続き環境細菌汚染調査を行った。本年度は特に、宅急便を用いた衣類の受け渡し、およびコンビニエンスストアでの衣類の受け渡しにおける、店内の環境汚染調査を行った。
クリーニング業における新しい衣類の受け渡し方法がどの程度利用されているかについて、不特定の一般成人を対象に、インターネットを用いたアンケート調査を行った。
生活衛生関係営業法令通知集(中央法規)を基に、新しい業務形態と現行法との整合性に関する評価を行った。
クリーニング業における新しい衣類の受け渡し方法がどの程度利用されているかについて、不特定の一般成人を対象に、インターネットを用いたアンケート調査を行った。
生活衛生関係営業法令通知集(中央法規)を基に、新しい業務形態と現行法との整合性に関する評価を行った。
結果と考察
クリーニング業における衣類の受け渡し方法は、昨年度の時点でリストアップできている。具体的には、①従来のクリーニング引き受け店における衣類の受け渡し、②クリーニング引き受け店に併設されたロッカーによる衣類の受け渡し、③公共の場に設置されたロッカーによる衣類の受け渡し、④宅急便を用いた衣類の受け渡し、⑤コンビニエンスストアでの衣類の受け渡し、⑥家庭での洗濯を代行する洗濯代行業 である。
以上の業務形態の環境細菌汚染調査のうち、昨年度未達成であったものの調査を本年度行った。その結果、特に感染リスクが問題となる業務形態は見つからなかった。ただし、③と⑥については協力業者を確保することができず、細菌汚染調査を行うことができなかった。
衣類の受け渡し方法の利用状況について、インターネットを用いたアンケート調査を行った。その結果、現在でもクリーニング引き受け店で衣類の受け渡しを行っている人が多く、新しい受け渡し方法を用いている人はまだ少数であった。衣類の受け渡しに複数の方法を用いている人もいた。また、洗濯代行業の利用者も少数であるが存在していた。
新しい業務形態と現行法との整合性に関して評価を行った。新しい方法では、指定の袋などに詰めた状態で衣類の受け渡しが行われている。この場合、途中で衣類を確認するという工程がないので、指定洗濯物がクリーニング工場に持ち込まれることがある。これを返却せずに、他の洗濯物と共に洗濯を行えば、現行法に反する行為となる。また、洗濯代行業は家政婦業と考えるべきなのか、クリーニング業と考えるべきなのかが曖昧で、法的な位置づけが不明な業種と言わざるをえない。
以上の業務形態の環境細菌汚染調査のうち、昨年度未達成であったものの調査を本年度行った。その結果、特に感染リスクが問題となる業務形態は見つからなかった。ただし、③と⑥については協力業者を確保することができず、細菌汚染調査を行うことができなかった。
衣類の受け渡し方法の利用状況について、インターネットを用いたアンケート調査を行った。その結果、現在でもクリーニング引き受け店で衣類の受け渡しを行っている人が多く、新しい受け渡し方法を用いている人はまだ少数であった。衣類の受け渡しに複数の方法を用いている人もいた。また、洗濯代行業の利用者も少数であるが存在していた。
新しい業務形態と現行法との整合性に関して評価を行った。新しい方法では、指定の袋などに詰めた状態で衣類の受け渡しが行われている。この場合、途中で衣類を確認するという工程がないので、指定洗濯物がクリーニング工場に持ち込まれることがある。これを返却せずに、他の洗濯物と共に洗濯を行えば、現行法に反する行為となる。また、洗濯代行業は家政婦業と考えるべきなのか、クリーニング業と考えるべきなのかが曖昧で、法的な位置づけが不明な業種と言わざるをえない。
結論
クリーニング業における新しい衣類の受け渡し方法については、ほぼ全貌を把握できたと考えている。これらの新しい方法が実際に利用されている実態はあるが、その利用率はまだ高いとはいえない。今回の環境細菌汚染調査の結果、新しい衣類の受け渡し方法が店内を大きく汚染するといった結果は得られなかった。したがって、緊急に介入する必要のある衣類の受け渡し方法はないと考えている。
懸念材料としては、新しい衣類の受け渡し方法では、指定洗濯物がクリーニング工場に持ち込まれる危険性がある。しかし、広告などを確認する限り、指定洗濯物を扱うことができない旨の情報を顧客に十分伝えているとはいえず、この点の改善を当該業者に求めることになるだろう。
また、クリーニング業の範疇には含まれないかもしれないが、洗濯代行業という業種が現れてきており、その法的な位置づけが曖昧である。この業種の将来的な扱いについては、行政の当該部署に検討を求めることになると思われる。
懸念材料としては、新しい衣類の受け渡し方法では、指定洗濯物がクリーニング工場に持ち込まれる危険性がある。しかし、広告などを確認する限り、指定洗濯物を扱うことができない旨の情報を顧客に十分伝えているとはいえず、この点の改善を当該業者に求めることになるだろう。
また、クリーニング業の範疇には含まれないかもしれないが、洗濯代行業という業種が現れてきており、その法的な位置づけが曖昧である。この業種の将来的な扱いについては、行政の当該部署に検討を求めることになると思われる。
公開日・更新日
公開日
2025-01-20
更新日
-