慢性活動性EBウイルス感染症の実態解明と診断法確立に関する研究

文献情報

文献番号
200936149A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性活動性EBウイルス感染症の実態解明と診断法確立に関する研究
課題番号
H21-難治・一般-094
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 成悦(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 母児感染研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学医学部)
  • 清水 則夫(東京医科歯科大学難治疾患研究所)
  • 新井 文子(東京医科歯科大学医学部)
  • 木村 宏(名古屋大学医学部)
  • 脇口 宏(高知大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
CAEBVの患者発生状況と治療実態の把握、小児症例と成人症例の比較を含む臨床像の解析、新規EBV感染細胞同定法のCAEBV診断への応用、CAEBVモデルマウスの開発を通じて、CAEBVの実態解明を進展させ、正確な診断にもとづく適切な治療を可能とすることを目的とした。
研究方法
1. アンケート調査票を郵送し、患者発生数と治療実態を調査した。
2. 小児例と成人例の比較は、東京医科歯科大学の症例と文献より抽出した症例によった。
3. EBVがコードするRNAと細胞表面マーカーをフローサイトメトリーにより同時に検出する方法を確立しCAEBV診断に応用した。
4. 免疫不全NOGマウスの静脈内にCAEBV患者末梢血単核細胞を注入し、異種移植モデルを作成した。
結果と考察
1. 全国の医療機関へのアンケート調査により、CAEBV患者発生状況を調査した。
2. 新規患者と文献から抽出した症例の解析により、CAEBV成人症例では小児例と比較して、CHOP療法および大量Cytarabine療法の効果が低く副作用が強いこと、T細胞型が多く予後が不良であることが示された。
3. EBV感染T/NK細胞の生存にCD137分子が関わることが示された。
4. CAEBVの病勢の指標としてEBV遺伝子発現を迅速に解析するためのmRNA定量法を開発した。
5. EBVがコードする小分子RNAと細胞表面マーカー分子をフローサイトメトリーで同時に検出する高感度特異的EBV感染細胞同定法を確立し、CAEBV診断に応用することに成功した。
6. CAEBV患者末梢血単核細胞をNOGマウスに移植することにより、CAEBVの主要病態を再現する異種移植モデルの作成に成功した。
結論
1. 我が国の年間CAEBV患者発生数は約100人と推測された。
2. CAEBV成人症例では小児例と比較して、CHOP療法および大量Cytarabine療法の効果が低く副作用が強いこと、T細胞型が多く予後も不良であることが示された。
3. EBV感染T/NK細胞の生存にCD137分子が関わることが示された。
4. CAEBVの病勢判定に応用することを目的として、EBV mRNA定量法を開発した。
5. 新しい高感度特異的EBV感染細胞同定法を確立し、CAEBV診断に応用することに成功した。
6. CAEBVのモデルマウスを作成し、その主要病態を再現することに成功した。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200936149C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1. 慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)の患者発生数を年間約100と推計した。2. CAEBV成人症例では小児例と比較して、CHOP療法及び大量Cytarabine療法の効果が低く副作用が強いこと、予後が不良であることが示された。3. EBV遺伝子発現を迅速に解析するためのmRNA定量法を開発した。4. 新規高感度特異的EBV感染細胞同定法を確立し、CAEBV診断への応用に成功した。5. CAEBVの主要病態を再現する異種移植モデルの作成に成功した。
臨床的観点からの成果
CAEBV成人例が、治療への反応や副作用、予後において異なることが示されたことは、今後のCAEBV治療の改良に直結する成果である。すでに、CHOP療法や大量Cytarabine療法に代わるものとしてL-aspを用いた治療法の探索的臨床試験を開始している。新しい高感度EBV感染細胞同定法はすでにCAEBVその他のEBV関連疾患の診断に利用されており、従来の方法より迅速・簡便な診断が可能となっている。CAEBVモデルマウスは治療薬候補の評価に利用され始めている。
ガイドライン等の開発
該当なし。
その他行政的観点からの成果
我が国における年間のCAEBV患者発生数が推定されたことにより、政策医療における対策を構築する際の基盤情報が与えられた。
その他のインパクト
患者及び家族に対してCAEBVを分かりやすく説明するためのパンフレットを作成した。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
11件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
9件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
2016-06-20