DHEAT 及び IHEAT 等の役割の検討と連携体制の再構築に向けた研究

文献情報

文献番号
202326003A
報告書区分
総括
研究課題名
DHEAT 及び IHEAT 等の役割の検討と連携体制の再構築に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22LA1002
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
市川 学(芝浦工業大学 システム理工学部)
研究分担者(所属機関)
  • 冨尾 淳(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
  • 原田 奈穂子(防衛医科大学校 医学教育学部 看護学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
6,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、 当初、DHEAT と IHEAT、さらには行政支援リーダーなどの役割・機能の整理を行うとともに、関係する活動要領や事業、情報システム及び研修に関して整理を行い、新しい防災・防疫における保健機能支援の枠組みを提案する予定であった。しかし、IHEAT が制度化されたことに伴い、本研究では、災害時の本庁に設置される保健医療福祉調整本部における DHEAT の役割及び各保健所に応援に入る DHEAT の役割、そのほか、災害時の保健を支える情報システム周りの整理と訓練のあり方について、整理することに研究全体の目的を変更する。
研究方法
本研究は、 1) DHEAT・IHEAT・行政支援リーダーなどの役割・機能の整理 2) DHEAT 研修(縦に連動する)の企画と実施 3)事務局要項の策定 4)防災・防疫下における情報システムの検討 の 4 つの項目を行う。
結果と考察
1)DHEAT・IHEAT・行政支援リーダーなどの役割・機能の整理
各役割・機能の整理と統合に向け、令和4 年12月までに終了した各研修・訓練に参加 した(DHEAT 研修、IHEAT 研修、行政支援リー ダー研修、スーパーバイザー研修)。これら から得られた知見を踏まえ、整理表を作成した。
2)DHEAT 研修(縦に連動する)の企画と実施
DHEAT 研修や統括 DHEAT の在り方、DHEAT 事務局の在り方を検討するために、令和 4 年度大規模地震時医療活動訓練と令和 4 年度九州・沖縄ブロック DMAT 実働訓練において検討 を行った。想定被災県の保健医療福祉に関連 する支援団体の参集や各団体の動きについて 聞き取りを行った。
また、事務局の在り方を検討するために、保健所災害対応研究 (DHEAT 基礎編) 、 DHEAT 標準研修、統括 DHEAT 研修の各研修を分析した。研修の目的とカリキュラムからは、共通して平時における研修や人材育成の実施が可能となる状態を目的とする点で一致することがわかった。
その結果、災害時に DHEAT が関わる様々な保健医療福祉に関する支援チームは、派遣やその調整、平時からの県との協定についてなど様々な問題があることが分かった。カリキュラムの中で災害時実務を重点的に学ぶ一方、目標で掲げられている平時における研修企画や人材育成の実施については、カリキュラム上では 1~2 セッションにとどまっているこ
ともわかった。
3)事務局要項の策定 DHEAT研修や統括DHEATの在り方、DHEAT
事務局の在り方を検討するために、令和 4 年 度大規模地震時医療活動訓練と令和 4 年度九 州・沖縄ブロック DMAT 実働訓練において検討を行った。DHEAT 事務局としても発災直後からの活動を想定し被災県との DHEAT 派遣調整 を実施してもらった。保健師の応援派遣につ いての調整も行ったが、実際の派遣期間や人 数の見積もりなどの大まかな方針なども今後、 事務局だけでなく統括 DHEAT の教育内容に組 み込んでいく必要があることが示唆された。
DHEAT 事務局の要項策定を進める予定であったが、令和 6 年 1月 1 日に発生した能登半島地震の際、石川県庁保健医療福祉調整本部の実態を見学および調査する機会があった。この経験を通じて、DHEAT 事務局が果たすべき役割の整理を行った。
4)防災・防疫下における情報システムの検討
D24H(災害時保健医療福祉活動支援システム) を中心として、EMIS、PEACE、くものいと、など各システムの比較整理 を行なった。
さらに、保健所現状報告を読み解く内容からは、活動の継続と安全性の確保に重点を置き、活動場所の確保、応援体制、リエゾンの活用などが主要な議題となることがわかった。また、倒壊の危険性がある保健所での作業禁止、業務条件の確認、活動継続のための要員確保など、具体的な対応策についても議論点とされた。これらの対策により、保健医療福祉調整本部としての活動が円滑に進行し、地域の保健サービスが中断されないようにすることが目指されることがわかった。
結論
IHEAT が法定化されたことや、研究期間の終盤で災害が発生したことにより、当初の計画より研究目的を大きく変更せざるを得なかった。しかし、研究成果の取りまとめ時期に能登半島地震が発生し、DHEAT が現場で活動する事態となったことで、保健医療福祉調整本部への調査や聞き取りを行う機会を得ることができた。これにより、今後の DHEAT 活動に役立つ知見を得ることができた。
今後は、能登半島地震で得られた教訓を踏まえ、平時からの備えとして DHEAT の各種研修において、他組織との連携、調整および情報共有が進められていくことが期待される。

公開日・更新日

公開日
2025-01-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-01-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202326003B
報告書区分
総合
研究課題名
DHEAT 及び IHEAT 等の役割の検討と連携体制の再構築に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22LA1002
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
市川 学(芝浦工業大学 システム理工学部)
研究分担者(所属機関)
  • 冨尾 淳(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
DHEAT (災害時健康危機管理支援チーム)は、災害発生時に被災地及び被災者の健康危機管理を行う組織の支援を行うことを目的として、平成 28 年度より研修が先行する形で事業が開始された。一方、IHEAT は、令和 3 年度より新型コロナウイルス感染症の拡大とともに、保健所に大きな業務負担が生じたことから、保健所の体制強化のために専門官を派遣する仕組みとして事業が開始された。
感染症流行時だけではなく、災害発生時も保健所の体制を強化する必要性はあり、感染症流行時に保健所の体制を強化する IHEAT を災害発生時にも活用できる枠組みは有用である。そのほか、感染症流行時に肥大化する保健所業務のマネジメントを行える人材である行政支援リーダーも、災害時の保健所業務のマネジメントを行える人材として登用できる可能性がある。
本研究では、 当初、DHEAT と IHEAT、さらには行政支援リーダーなどの役割・機能の整理を行うとともに、関係する活動要領や事業、情報システム及び研修に関して整理を行い、新しい防災・防疫における保健機能支援の枠組みを提案する予定であった。しかし、IHEAT が制度化されたことに伴い、本研究では、災害時の本庁に設置される保健医療福祉調整本部における DHEAT の役割及び各保健所に応援に入る DHEAT の役割、そのほか、災害時の保健を支える情報システム周りの整理と訓練のあり方について、整理することに研究全体の目的を変更する。
具体的には、防災下における行政の保健機能の強化を担うことになる本庁保健医療福祉調整本部及び保健所に応援に入る DHEAT について、その役割や業務を実証実験の中から問題点の把握を行い整理することで、行政支援リーダーの役割を含んだ DHEAT のあるべき姿を提言する。さらに、あるべき姿を育成できるように災害時の保健所と保健医療福祉調整本部が連動するための訓練内容の整理及びその実施手順を作成する。
研究方法
本研究は、 1) DHEAT・IHEAT・行政支援リーダーなどの役割・機能の整理 2) DHEAT 研修(縦に連動する)の企画と実施 3)事務局要項の策定 4)防災・防疫下における情報システムの検討 の 4 つの項目を行う。
結果と考察
1)については、IHEAT の制度化に伴い研究項目から外した。
2)については、DHEAT 研修や統括 DHEAT の在り方、DHEAT
事務局の在り方を検討するために、保健所災害対応研究 (DHEAT 基礎編) 、 DHEAT 標準研修、統括 DHEAT 研修の各研修を分析した。研修の目的とカリキュラムからは、共通して平時における研修や人材育成の実施が可能となる状態を目的とする点で一致することがわかった。
その結果、災害時に DHEAT が関わる様々な保健医療福祉に関する支援チームは、派遣やその調整、平時からの県との協定についてなど様々な問題があることが分かった。カリキュラムの中で災害時実務を重点的に学ぶ一方、目標で掲げられている平時における研修企画や人材育成の実施については、カリキュラム上では 1~2 セッションにとどまっているこ
ともわかった。
3)については、DHEAT 事務局の要項策定を進める予定であったが、令和 6 年 1月 1 日に発生した能登半島地震の際、石川県庁保健医療福祉調整本部の実態を見学および調査する機会があった。この経験を通じて、DHEAT 事務局が果たすべき役割の整理を行った。
4)については、保健所現状報告を読み解く内容からは、活
動の継続と安全性の確保に重点を置き、活動場所の確保、応援体制、リエゾンの活用などが主要な議題となることがわかった。また、倒壊の危険性がある保健所での作業禁止、業務条件の確認、活動継続のための要員確保など、具体的な対応策についても議論点とされた。これらの対策により、保健医療福祉調整本部としての活動が円滑に進行し、地域の保健サービスが中断されないようにすることが目指されることがわかった。
結論
IHEAT が法定化されたことや、研究期間の終盤で災害が発生したことにより、当初の計画より研究目的を大きく変更せざるを得なかった。しかし、研究成果の取りまとめ時期に能登半島地震が発生し、DHEAT が現場で活動する事態となったことで、保健医療福祉調整本部への調査や聞き取りを行う機会を得ることができた。これにより、今後の DHEAT 活動に役立つ知見を得ることができた。
今後は、能登半島地震で得られた教訓を踏まえ、平時からの備えとして DHEAT の各種研修において、他組織との連携、調整および情報共有が進められていくことが期待される。

公開日・更新日

公開日
2025-01-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

総合研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2025-01-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202326003C

収支報告書

文献番号
202326003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,360,000円
(2)補助金確定額
6,673,000円
差引額 [(1)-(2)]
687,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,155,657円
人件費・謝金 121,485円
旅費 3,081,001円
その他 1,252,943円
間接経費 1,160,000円
合計 6,771,086円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
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更新日
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