難治性内耳疾患の遺伝子バンク構築

文献情報

文献番号
200936145A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性内耳疾患の遺伝子バンク構築
課題番号
H21-難治・一般-090
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
宇佐美 真一(国立大学法人信州大学 医学部耳鼻咽喉科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 工 穣(国立大学法人信州大学 医学部耳鼻咽喉科学講座 )
  • 小川 郁(慶應大学 医学部耳鼻咽喉科学講座 )
  • 渡辺 行雄(国立大学法人富山大学 医学部耳鼻咽喉科学講座 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
突発性難聴、特発性両側性感音難聴、メニエール病、遅発性内リンパ水腫は特定疾患(難病)に含まれ、患者のQOLを著しく低下させるため疾患の克服が期待されている。これらの疾患に関して、従来から種々のアプローチで研究されているにもかかわらず、未だ発症メカニズムは不明である。本研究では、突発性難聴、特発性両側性感音難聴、メニエール病、遅発性内リンパ水腫に加え、急性低音障害型感音難聴および良性発作性頭位めまいを対象に、原因の特定や発症メカニズムのために必要不可欠な遺伝子バンクを構築することを目的に研究を行っている。
研究方法
本年度は、急性高度難聴に関する調査研究班および前庭機能異常に関する調査研究班と連携して、試料および臨床情報の収集を行う体制で研究を推進した。多施設共同研究であるため、試料収集に先立ち研究打合会を実施し、調査する患者の選定基準および、調査する臨床情報項目を統一した。調査項目としては、患者基本情報、問診調査項目、治療内容、聴力検査の結果、前庭機能検査など各疾患の特徴に併せて項目の選定を行った。
また、構築されたDNAバンクは、疾患に関連する遺伝子の解析や発症メカニズムの研究、また薬剤効果に関する研究などへの利用が想定されるため、貴重な検体を可能な限り多くの研究機関に分与分与するために全ゲノム増幅キットを用いてDNAの増幅後に分与する必要があるため、キットの選定およびデータベースの構築を行った。
結果と考察
本年度は、急性高度難聴に関する調査研究班および前庭機能異常に関する調査研究班と連携して、DNA試料収集のための基盤体制となる臨床調査項目の決定を行うとともに、試料収集システムの開発、DNAの品質チェック手法の確立、全ゲノム増幅キットの選定、データベースの構築を行い、DNAバンクを構築するための基盤を整備することができた。また、実際に症例の収集を開始し、250症例を超える試料を収集することができた。
結論
本年度の取り組みで、特定疾患(難病)に含まれている希少な疾患である、突発性難聴、特発性両側性感音難聴、メニエール病、遅発性内リンパ水腫を効率的に収集する枠組みを構築することができた。次年度以降も継続して収集を行うことで、国際的にみても最も充実したバンクを構築することが可能であり、疾患のメカニズム解明や治療法開発につながることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200936145C

成果

専門的・学術的観点からの成果
突発性難聴、特発性両側性感音難聴、メニエール病、遅発性内リンパ水腫は特定疾患(難病)に含まれ、患者のQOLを著しく低下させるため疾患の克服が期待されている。これらの疾患に関して、従来から種々のアプローチで研究されているにもかかわらず、未だ発症メカニズムは不明である。
 本研究では、原因の特定・発症メカニズムの推定・適切な治療法を開発するために必要な基礎研究の推進に必要不可欠な遺伝子バンク構築の基盤整備を行った。今後、これら疾患の解析が発展することが期待される。
臨床的観点からの成果
本研究の目的は、従来から種々のアプローチで研究されているにもかかわらず、未だ発症メカニズムが未解明の突発性難聴、特発性両側性感音難聴、メニエール病、遅発性内リンパ水腫の発症メカニズムの推定および薬剤効果の解明などを研究する際の基盤情報となるDNAの収集およびバンクの構築である。将来的に疾病の易罹患性に関与する遺伝子や薬剤効果と相関する遺伝的要因の探索といった検討が行われることで、疾患の易罹患性の予測や環境要因のコントロールによる予防、あるいは治療薬剤選択の参考となることが期待される。
ガイドライン等の開発
本研究は遺伝子バンクの構築を目的に実施された事業であるため、本研究の成果として、直接ガイドライン等が策定される性格のものではない。しかしながら、本研究は急性高度難聴に関する調査研究班および前庭機能異常に関する調査研究班と連携して実施されており、各研究班において診断基準を策定する際の参考情報として、今後のガイドライン策定などに反映することが期待される。
その他行政的観点からの成果
本研究の発展により、従来から種々のアプローチで研究されているにもかかわらず、未だ発症メカニズムが未解明の突発性難聴、特発性両側性感音難聴、メニエール病、遅発性内リンパ水腫の発症メカニズムの推定および薬剤効果の解明などの研究基盤が整備できた。将来的に疾病の易罹患性に関与する遺伝子や薬剤効果と相関する遺伝的要因の探索といった検討が行われることで、疾患の易罹患性の予測や環境要因のコントロールによる予防、あるいは治療薬剤選択の参考となることが期待される。
その他のインパクト
本研究はDNAバンクを構築することを目的とした研究であるため、本研究と直接関連した論文発表、学会発表等は出て来ない性格の研究である。今後、構築されたDNAバンクを用いた個別の研究プロジェクトにより、多くの成果が期待できる。現在までに提案されている具体的なプロジェクトとしては、各疾患の関連遺伝子の同定、薬剤効果に関与する遺伝子の同定などがあり、今後多くの研究の基盤となることが期待される。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Miyagawa M, Fukuoka H, Tsukada K et al.
Endolymphatic hydrops and therapeutic effects are visualized in 'atypical' Meniere's disease.
Acta Otolaryngol , 1326-1329  (2009)
原著論文2
Fukuoka H, Tsukada K, Miyagawa M et al.
Semi-quantitative evaluation of endolymphatic hydrops by bilateral intratympanic gadolinium- based contrast agent (GBCA) administration with MRI for Meniere's disease.
Acta Otolaryngol  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-