先天性副腎低形成症の成因解析と新たな治療法の検討

文献情報

文献番号
200936140A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性副腎低形成症の成因解析と新たな治療法の検討
課題番号
H21-難治・一般-085
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
田島 敏広(北海道大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 清水 力(北海道大学病院)
  • 永井 聡(北海道大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先天性副腎疾患はいくつかの成因によって発症する。その成因は徐々に解明されてきているが、未だ未解明な部分がある。またいくつかの副腎疾患では子宮内発育不全、成長の障害を生じるため、将来のメタボリックシンドロームの予備軍となりえる。これらの分子遺伝学的原因を解明し、新たな治療に結びつけてゆくこと、メタボリックシンドロームの予防対策を行うことは子供たちの福祉・保健を充実することである。
研究方法
北海道大学病院小児科、内科にて治療中の患者、両親、罹患同胞のインフォームドコンセントを得て生体試料の収集を行う。採取された検体は北海道大学大学院医学研究科小児科学分野第1研究室でリンパ球よりDNA抽出を行い、EBウイルスによるセルライン化し保管する。同時に先天性副腎低形成の成因の一つとして報告されているAd4BPはその遺伝子のイントロン4にFetal adrenal enhancer (FAdE)が存在し、この領域にはAd4BP結合配列が存在する。この領域の欠損・異常はヒトで胎児副腎の発生の異常を起こす可能性がある。FISH法あるいはPCR-ダイレクトシークエンス法にて異常の有無の検討を行う。またテロメア構造の維持に必要なPIP1蛋白をコードするACD遺伝子の解析を行う。さらに最近テロメア異常疾患をおこす成因として報告されているNOP10, POT1などの候補遺伝子について解析を行う。
結果と考察
 成因が同定できていない原因不明の副腎疾患について8検体を収集した。1例についてセルライン化を行った。このうち成長障害、子宮内発育不全を伴う例は3例であった。全例でAd4BPのイントロン、5’上流領域、ACD, NOP10, POT1の解析を行ったが、遺伝子変異を認めなかった。当初コルチゾールの低値から副腎低形成と疑われていた症例は、ミネラルコルチコイド受容体異常であった。
結論
1. ACD遺伝子異常による副腎低形成症は認めなかった。
2. 副腎低形成症、子宮内発育不全、著しい成長障害を伴う疾患の存在が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2010-06-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200936140C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 今回原因不明と考えられた副腎皮質ホルモンの欠乏症、あるいは低形成症の症例について8 例のみの収集であり、収集数が十分ではなかった。しかし副腎低形成に子宮内発育不全、重症な成長障害を伴う新たな病態の可能性が示唆された。
臨床的観点からの成果
副腎低形成に子宮内発育不全、重症な成長障害を伴う疾患概念を確立した。
ガイドライン等の開発
副腎低形成に子宮内発育不全、重症な成長障害を伴う疾患の特徴を明らかにし、今後診断ガイドラインを作成する。
その他行政的観点からの成果
今後これらの疾患に対しての成長ホルモン適応について検討し、適応拡大を行ってゆく。
その他のインパクト
なし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-