文献情報
文献番号
200936138A
報告書区分
総括
研究課題名
線条体黒質変性症を主体とするパーキンソン症候群のバイオリソースバンク構築に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-難治・一般-083
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
村田 美穂(国立精神・神経センター 病院)
研究分担者(所属機関)
- 小川雅文(国立精神・神経センター 病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
線条体黒質変性症(striatonigraldegeneration:SND)は多系統萎縮症(MSA)の1型(MSA-P)として分類される神経変性疾患で、有病率は10万人あたり1-3人程度とパーキンソン病(PD)の1/50-100程度であるが、特に病初期にはパーキンソン病、進行性核上性麻痺との鑑別が困難であることが知られている。
本研究は革新的な治療法、早期診断法の確立をめざし、SND(MSA-P)のバイオリソースバンクの構築を目的とする。初期には診断困難例が少なくないことから、類似症状を示す確定診断前の症例(パーキンソン症候群)も含めてバンクを構築し、長期に経過観察して確定診断を得ることで、診断確定例の病初期サンプルという貴重な検体をも収集すること、さらにその中から、確定診断にいたるまでの自然経過を明らかにすることを目的とした。
本研究は革新的な治療法、早期診断法の確立をめざし、SND(MSA-P)のバイオリソースバンクの構築を目的とする。初期には診断困難例が少なくないことから、類似症状を示す確定診断前の症例(パーキンソン症候群)も含めてバンクを構築し、長期に経過観察して確定診断を得ることで、診断確定例の病初期サンプルという貴重な検体をも収集すること、さらにその中から、確定診断にいたるまでの自然経過を明らかにすることを目的とした。
研究方法
SND 臨床診断確定例とともに、診断未確定例も含めて臨床症状、血清、脳脊髄液、DNA, B細胞リンパ芽球細胞株等のバイオリソースを蓄積し、経過観察により診断を確実にすることで、診断困難な発症初期のバイオリソースを蓄積することを特徴としたバイオリソースバンクの構築を行った。
結果と考察
臨床情報シート作成、匿名化、試料保管システム構築、資料処理手順作成を行い、確定診断例及び未確定診断例各10例について試料を収集し、未確定例については、その後も臨床情報収集を継続した。本バイオリソースバンクは早期診断マーカーの探索、病態解明に極めて重要と考えられた。
このように希少疾患のバイオリソース収集には広く国民全体の協力が不可欠であり、本研究の一環として、バイオリソースの重要性を知らしめるために2回の公開講座を開催した。
さらに本研究のリソース収集のなかで、SNDに特徴的なMRI所見出現時期を検討した。SND診断確定例24例のうち、被殻の特徴的MRI所見が発症3年以内に出現するのは約半数のみで、12.5%は発症6年後以降出現し、発症9年目に始めて出現する例もあることを明らかにした。
このように希少疾患のバイオリソース収集には広く国民全体の協力が不可欠であり、本研究の一環として、バイオリソースの重要性を知らしめるために2回の公開講座を開催した。
さらに本研究のリソース収集のなかで、SNDに特徴的なMRI所見出現時期を検討した。SND診断確定例24例のうち、被殻の特徴的MRI所見が発症3年以内に出現するのは約半数のみで、12.5%は発症6年後以降出現し、発症9年目に始めて出現する例もあることを明らかにした。
結論
今年度は臨床情報、保管等手順を作成しバイオリソースバンク構築の基盤整備を主に行った。今後これを用いてさらに試料収集を進める。SNDの特徴的MRI病変出現が発症9年目である症例も存在することが明らかになり、病因・病態解析のなかで診断未確定例の収集が極めて重要であることが示唆された。
公開日・更新日
公開日
2010-05-31
更新日
-