廃棄物による環境汚染のオンサイト修復技術に関する研究

文献情報

文献番号
199700685A
報告書区分
総括
研究課題名
廃棄物による環境汚染のオンサイト修復技術に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
山村 勝美(財団法人廃棄物研究財団)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 健康地球研究計画推進研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
平成11(1999)年度
研究費
27,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、廃棄物の不法投棄・不適正保管等により土壌、地下水等に環境汚染が生ずるとともに、場合によっては、周辺に居住する住民の生活環境保全上の支障のおそれが生じている事例も散見されるに至っている。また、これに伴いそれらの原状回復の重要性が強まっている状況にある。
原状回復に対して、実際の現場では、一般に汚染範囲の特定等を含む汚染状況の把握が困難な場合が多いことに加え、地形・地質・地下水の流向流速・土地利用等の条件が極めて複雑であるとともに、対策に急を要するため、汚染物質を「現場封じ込め」により場内にとどめているケースも多い現状にある。
不法投棄現場を含む周辺環境の長期的な安全性の確保等を考慮するにあたり、早期に汚染診断修復システムを確立させ、その中の調査技術の充実、原状回復修復技術のオンサイトでの適用性を検討する必要がある。
本研究は、平成4年度から平成8年度に実施した「汚染修復技術の開発研究」の調査研究結果を踏まえ、汚染状況調査手法、修復技術の選定、措置後のモニタリング手法等からなる汚染診断修復システムを確立させ、修復技術の適用性をオンサイトで実証・研究し、廃棄物による環境汚染についてオンサイトでの修復技術の開発・研究を行うものである。
研究方法
廃棄物関係の学識経験者による委員会及び企業各社からなるワーキンググループを設置して調査研究を実施した。
本年度は、汚染診断修復システムの作成を行った。また、オンサイト修復技術の検討にあたり、日本全国に48ヵ所存在する遮断型最終処分場について、廃止を前提としたオンサイトでの埋立物無害化の実施可能性について検討するため、既存資料の整理、現地調査を行い、状況把握及び埋立物の無害化検討を行った。
結果と考察
(1) 遮断型最終処分場の埋立物無害化方策の検討
日本全国に存在する48ヵ所の遮断型最終処分場のうち、処分場の使用状況を確認し、供用中または埋立完了した現場について、既存資料の整理、現地調査及び事業者からのヒアリング調査を行い、現況を把握し埋立物の無害化について、特に現場での処理を考慮し、無害化方策の検討を行った。
(2) 汚染判断修復システムの作成
平成4年度から平成8年度に実施した「汚染修復技術の開発研究」の調査研究結果を踏まえ、汚染状況調査手法、リスク評価方法、修復方法の選定、修復の実施、措置後のモニタリング手法等からなる汚染診断修復システムを作成した。
結論
(1) 遮断型最終処分場の埋立物無害化方策の検討
本調査の対象とした遮断型最終処分場のほとんどでは廃棄物を金属缶、プラスチック製袋等容器に詰めて埋立処分している。また、廃蛍光灯、廃乾電池等の原物が混合していたり、事業者側で安全のため既にコンクリート固化したものとして廃棄している状況であった。廃棄物の均一性は数施設を除き、ほとんどない状況であった。
このため、原位置(槽内)での無害化技術として選定した不溶化法が適用すると考えられる施設は、主として汚泥、焼却灰、ばいじんのみを埋立処分している施設に限定されるものとなる。
一方、多種多様な廃棄物が混合され埋立処分されている遮断型処分場に関しては、仮設的に槽から取り出し、敷地内あるいは近隣で廃棄物を分類・分別し、不溶化法、固化法の無害化処理を実施した後、改めて遮断槽の内部に入れ戻す方策を検討しなければならない。
(2) 汚染判断修復システムの作成
汚染状況調査手法については、「汚染修復技術の開発研究」の調査研究結果より、既存資料による調査、現地踏査による調査、現地調査(簡易・詳細)による現状把握事項及び方法とともに、その調査ステップで確認された汚染状況により対策事項を提言するシステムとした。
リスク評価については、調査結果が環境基準を超えているか否かという点のみでなく、衛生的見地、防災安全性の見地からも評価を行うシステムとした。
修復方法の選定については、費用対効果、時間対効果といった評価軸にしたがい、調査結果に基づき修復方法の効果を評価するための数値シミュレーション解析を示した。
また、措置後のモニタリング手法については、修復期間中及び処理実施後のモニタリング対象及び手法をシステム中に統合した。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-

研究報告書(紙媒体)