文献情報
文献番号
202324047A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤師のキャリア形成促進に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23KC2015
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
山田 清文(名古屋大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 橋田 亨(地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院)
- 渡邊 大記(公益社団法人 日本薬剤師会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
2,550,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、免許取得後における医療機関での実務経験を通して薬剤師としての基盤を習得し、その後の就業先(病院や薬局)でキャリア形成を促進する仕組みについて検討する。令和5年度は以下の調査研究を行った。
1. 医療機関・薬局における卒後研修の実施体制・受入体制等の実態調査
2. 薬剤師を対象としてキャリア形成に関する意識調査
3. 薬剤師不足・偏在の解消に向け、医師の卒後臨床研修(キャリア形成)と医師確保策との関係性の整理
1. 医療機関・薬局における卒後研修の実施体制・受入体制等の実態調査
2. 薬剤師を対象としてキャリア形成に関する意識調査
3. 薬剤師不足・偏在の解消に向け、医師の卒後臨床研修(キャリア形成)と医師確保策との関係性の整理
研究方法
薬局を対象とした「薬局調査」、病院を対象とした「病院調査」、薬局あるいは病院に勤務する薬剤師(それぞれ免許取得から概ね10年以内)を対象とした「薬局薬剤師調査」、「病院薬剤師調査」の4調査について、それぞれWeb上に回答フォームを作成し、令和6年1月~3月にかけてWeb調査を実施した。
医師臨床研修制度における研修医の偏在対策に関する調査では、厚生労働省医師臨床研修制度ホームページを参照し、研修病院の募集定員設定方法、都道府県別募集定員の上限の考え方などを調査した。また、卒後研修プログラムの認定審査の在り方に関する調査では、公益社団法人薬剤師認定制度認証機構の安原眞人代表理事を訪問し、卒後研修プログラムの外部評価の在り方について意見交換した。
医師臨床研修制度における研修医の偏在対策に関する調査では、厚生労働省医師臨床研修制度ホームページを参照し、研修病院の募集定員設定方法、都道府県別募集定員の上限の考え方などを調査した。また、卒後研修プログラムの認定審査の在り方に関する調査では、公益社団法人薬剤師認定制度認証機構の安原眞人代表理事を訪問し、卒後研修プログラムの外部評価の在り方について意見交換した。
結果と考察
薬局調査では1,485施設、薬局薬剤師調査では1,237名の回答を得た。薬局調査では、同一店舗数が20店舗未満とそれ以上で薬剤師の採用動向に差があり、20店舗未満では新卒薬剤師の採用割合が低かった。それに関連して20店舗未満では、新入局者への研修の実施体制が十分に整えられないことが推定された。また、「卒後臨床研修ガイドライン(案)」に基づいた薬局での「在宅訪問」及び「地域連携」の研修の受入に関しては、現状では26%の薬局でしか対応できず研修者数の規模によっては、受入体制が整わない可能性がある。薬剤師調査では、「研修認定薬剤師」の取得率は高いものの、「領域別薬剤師」や「専門薬剤師」等の取得率は低い状況であった。また、病院研修で経験したい内容では、「がん化学療法」、「緩和ケア」、「無菌調製」、などが挙げられ、これらは外来がん化学療法の進展に伴い学習の意欲が高まっていることが背景にあると推定される。
病院調査では90 施設、病院薬剤師調査では576 名からの 回答を得た。卒後研修への取組みの重要性は多くの施設で認識されていた。若手薬剤師のキャリアパスは多様であり、それを支えるプログラムの必要性が認められた。卒後研修の体制整備については、人材確保や研修費用の公的助成等の課題を解決することで、受け入れ可能とする施設が各地に存在することが明らかとなった。全国規模の卒後研修体制構築に向けては令和6年3月に公表された「薬剤師臨床研修ガイドライン」に基づく、具体的な進展が期待される。
医師臨床研修制度では研修医の偏在を是正するため、都道府県別の募集定員上限を設けるなどの措置を講じている。
これを参考にして、研修薬剤師の都道府県別募集定員の上限の考え方を纏めた。具体的には、(A)都道府県の人口分布、(B)都道府県別の薬剤師養成(国家試験合格者)割合、(C)大学別の薬剤師養成(国家試験合格者)割合から算出した研修薬剤師分配人数のうち、最も多いものを基礎分配人数とした。そして、基礎分配人数を薬剤師の偏在指標で除したものを都道府県別の研修薬剤師募集定員の上限とする案である。研修薬剤師の募集定員は都道府県毎の研修施設の数に大きく依存することから、先ずは薬剤師臨床研修ガイドラインの要件を満たす研修施設の認定を進めることが重要と思われる。さらに、薬剤師の卒後研修プログラムの質保証のための認定審査の在り方と第三者評価機関について、以下4つの可能性を検討した。(1) 卒後臨床研修評価機構のような公的認証を担当する専門の審査機関を設ける、(2) 米国のレジデント制度の認定審査体制のように、日本病院薬剤師会あるいは日本薬剤師会に卒後研修プログラムの認定審査を担当する委員会を設ける、(3) 薬剤師レジデント制度の相互チェックで実績のある日本レジデント制度研究会が認定審査を担当する、(4) 薬剤師認定制度認証機構に卒後研修プログラムの認定審査体制を整備して第三者評価を担当する。今後、候補として挙げた組織・団体の意向も考慮しつつ、公的認証の在り方と担当機関について慎重に検討する必要がある。
病院調査では90 施設、病院薬剤師調査では576 名からの 回答を得た。卒後研修への取組みの重要性は多くの施設で認識されていた。若手薬剤師のキャリアパスは多様であり、それを支えるプログラムの必要性が認められた。卒後研修の体制整備については、人材確保や研修費用の公的助成等の課題を解決することで、受け入れ可能とする施設が各地に存在することが明らかとなった。全国規模の卒後研修体制構築に向けては令和6年3月に公表された「薬剤師臨床研修ガイドライン」に基づく、具体的な進展が期待される。
医師臨床研修制度では研修医の偏在を是正するため、都道府県別の募集定員上限を設けるなどの措置を講じている。
これを参考にして、研修薬剤師の都道府県別募集定員の上限の考え方を纏めた。具体的には、(A)都道府県の人口分布、(B)都道府県別の薬剤師養成(国家試験合格者)割合、(C)大学別の薬剤師養成(国家試験合格者)割合から算出した研修薬剤師分配人数のうち、最も多いものを基礎分配人数とした。そして、基礎分配人数を薬剤師の偏在指標で除したものを都道府県別の研修薬剤師募集定員の上限とする案である。研修薬剤師の募集定員は都道府県毎の研修施設の数に大きく依存することから、先ずは薬剤師臨床研修ガイドラインの要件を満たす研修施設の認定を進めることが重要と思われる。さらに、薬剤師の卒後研修プログラムの質保証のための認定審査の在り方と第三者評価機関について、以下4つの可能性を検討した。(1) 卒後臨床研修評価機構のような公的認証を担当する専門の審査機関を設ける、(2) 米国のレジデント制度の認定審査体制のように、日本病院薬剤師会あるいは日本薬剤師会に卒後研修プログラムの認定審査を担当する委員会を設ける、(3) 薬剤師レジデント制度の相互チェックで実績のある日本レジデント制度研究会が認定審査を担当する、(4) 薬剤師認定制度認証機構に卒後研修プログラムの認定審査体制を整備して第三者評価を担当する。今後、候補として挙げた組織・団体の意向も考慮しつつ、公的認証の在り方と担当機関について慎重に検討する必要がある。
結論
本年度の研究結果を踏まえ、キャリア形成を促進する具体的な仕組みについて、さらに検討する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2025-04-11
更新日
-