アジア地域における国際共同治験の推進に向けた環境整備に関する研究

文献情報

文献番号
202324046A
報告書区分
総括
研究課題名
アジア地域における国際共同治験の推進に向けた環境整備に関する研究
課題番号
23KC2014
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
頭金 正博(名古屋市立大学大学院薬学研究科 医薬品安全性評価学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 亮介(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 成川 衛(学校法人北里研究所 北里大学 薬学部臨床医学(医薬開発学))
  • 宇山 佳明(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 医療情報活用部)
  • 前田 実花(澤田 実花)(北里大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
14,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、国際規制調和会議(ICH)加盟国(地域)が少なく、また臨床試験に関する知見も非常に少ない東南アジア地域や南アジア地域を主な対象として、国際共同治験の実施例調査により課題を抽出したうえで、臨床試験に関連する指針や臨床試験サイトの体制等調査や対照薬を含む試験デザイン等の調査を行い、それらを踏まえた上でアジア地域での国際共同治験推進のための規制環境及び臨床試験環境に関する提言と留意点文書作成を行うことを目的とした。令和5年度は、日本が参加した国際共同治験において、東南アジアおよび東アジア等の関与について検討した。また、東南アジアで実施されてた治験の臨床試験デザイン、東南アジア地域での薬事規制や臨床試験サイトの体制・設備等について調査した。
研究方法
新薬の承認申請資料等のもとに国際共同治験に関する情報を収集した。さらにClinical Trial.govのデータに基づき東南アジアで実施された国際共同治験の特徴等についてもデータを収集した。
結果と考察
我が国で承認された医薬品の国際共同治験の実態調査から、東アジア地域と比較して国際共同治験における日本と東南アジアとの連携はあまり進んでいないことが示された。したがって、日本は医薬品の国際共同治験において、東南アジアについても焦点を当てて、個々の国々の特徴と、対象疾患や試験デザイン等との関連性を含めて分析することで、医薬品の有効性や安全性における民族差が生じる要因に関する科学的検討を強化しながら、適切な医薬品開発を促進できる可能性が示唆された。
 また、東南アジア地域で実施された国際共同治験の試験デザインの調査から、国際共同治験として実施されている試験では、主な試験デザインは日本、東アジア、東南アジア及び欧米を含めたグローバルで統一されているものの、調査対象医薬品(メトトレキサート)の投与量や投与期間に関しては、国内試験のみがアジア地域を含めた他地域と異なっており、民族的要因の解析を複雑にしていることがわかった。
 東南アジア地域での例としてタイ王国の薬事規制制度等に関する調査を行った。タイはICHのメンバー国ではないが、その治験はGCPに準拠しているのみならず、GCP査察をAPECで推進するなど、MRCTの推進に極めて熱心な国の一つであるといえる。将来的に、国際共同治験の実施において、日本と連携可能な有力な国となる可能性がある。また、タイ、マレーシア、インドネシアの臨床試験サイトの状況について調査したところ、治験に必要となるハード面と治験実施医療機関としての基本的要件は概ね整っているものの、共通の課題として国際共同治験の豊富な経験を有するPIや臨床研究コーディネーターなどの専門的人材の不足が課題として挙げられた。
結論
国際共同治験の実施に関して、我が国と東南アジア地域との連携はあまりすすんでいないことが明らかになった。今後は医薬品の有効性や安全性において民族差が生じる要因のうち、内的要因に加えて、臨床試験デザイン、薬事規制、実施体制等の外的要因を精査することで、医薬品開発における東南アジア地域との連携が促進できる可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2024-06-13
更新日
-

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公開日・更新日

公開日
2024-06-12
更新日
-

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収支報告書

文献番号
202324046Z