ICH-GCP改定における日本からのステークホルダー参画のための研究

文献情報

文献番号
202324044A
報告書区分
総括
研究課題名
ICH-GCP改定における日本からのステークホルダー参画のための研究
課題番号
23KC2012
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
中村 健一(国立がん研究センター中央病院 国際開発部門)
研究分担者(所属機関)
  • 柴田 大朗(国立研究開発法人 国立がん研究センター 研究支援センター 生物統計部)
  • 後澤 乃扶子(国立研究開発法人 国立がん研究センター 研究支援センター 研究管理部)
  • 沖田 南都子(国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院 臨床研究支援部門 研究企画推進部)
  • 田代 志門(東北大学 大学院文学研究科)
  • 佐藤 典宏(国立大学法人 北海道大学 北海道大学病院 医療・ヘルスサイエンス研究開発機構)
  • 池田 浩治(国立大学法人東北大学 病院臨床研究推進センター)
  • 布施 望(国立研究開発法人国立がん研究センター 東病院)
  • 花岡 英紀(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
  • 清水 忍(名古屋大学医学部附属病院 先端医療・臨床研究支援センター)
  • 山本 洋一(大阪大学医学部附属病院)
  • 戸高 浩司(九州大学病院 ARO次世代医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
5,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品規制調和国際会議(ICH)によって策定されたICH-E6ガイドライン(ICH-GCP)は、医薬品の臨床試験における被験者保護と信頼性確保のためのグローバルスタンダードとして広く受け入れられている。本研究では、国内のアカデミアや被験者など様々な立場におけるICH-GCPに対する意見(改善点、要望事項等)を集約し、日本のステークホルダーの意見をICH-GCP改定に反映させることを目指す。
研究方法
令和5年度は、Annex 2に関する検討が重点的に実施された。研究実施期間中に開催されたstakeholder engagement meetingに際しては、国内ステークホルダーから効率的に意見集約を行うため、規制要件の専門家に加え、各臨床研究中核病院を研究分担者としてアサインし、事前に送られてくるAnnex 2のドラフトを共有した上で、意見を募集し、研究代表者がとりまとめてstakeholder engagement meetingで発言を行った。
結果と考察
ICH-GCPは、principles、Annex 1、Annex 2という3つのパートに分かれている。令和5年度は、長らく検討されていたPrinciplesおよびAnnex 1のガイドライン案並びにAnnex 2のconcept paperがICHから発出された。それを受けて、令和5年7月6日に第1回班会議を開催し、公開されたprinciplesおよびAnnex 1について討議を行った。PrinciplesとAnnex 1については既に多くの意見を研究班からICH-E6(R3)WGへ提出しており、それらの意見が反映されていることを確認した。また、同月28日にPMDA主催の「ICH E6(R3)「医薬品の臨床試験の実施基準」ガイドライン案説明会」が開催され、研究班として当ガイドライン案改定について意見を述べた。具体的には、従来の画一化された文書作成及び管理からの脱却、Proportionalityという考え方が明文化されたこと、それらに伴い、臨床試験はより柔軟になっていくことが期待される旨を述べた。
また、令和5年9月12日にFDAが主催するAnnex 2に向けた公開ウェブカンファレンスが行われた。このウェブカンファレンスは世界中から数千人が参加する大規模なものであった。当研究班の研究代表者が日本からの演者として登壇し、Annex 2の重要トピックとなっている分散型臨床試験(DCT)について、日本で実施されているフルリモート型DCTの取り組みと、規制上の課題について発表およびディスカッションを行った。
令和6年1月下旬~2月中旬には、ICH E6 EWGからAnnex 2のstakeholderからの意見募集(Caucus Review)の依頼があったため、当研究班の研究分担者からも意見を募り、集約した上で日本からのステークホルダーからの意見として提出した。具体的には、(1)分散型臨床試験(Decentralized Clinical Trials; DCT)は、例えば委託可能な業務の範囲など、現地の規制要件も踏まえて実施すべきであること、(2)遠隔地での治験参加者の安全性確保を倫理審査のポイントとして含めるべきこと、(3)治験に参加する医療従事者に対するトレーニングについては、過度にならないよう留意すべきであること、(4)リアルワールドデータ(RWD)の活用の際には選択バイアスが最小化する工夫をすべきであること、(5)リアルワールドエビデンス(RWE)を承認申請の臨床データパッケージに含める際は、他にあわせて利用しようとするデータの充実度によって求められる質のレベルが変わってくること等を提言した。同時期の令和6年2月9日には第2回班会議を開催し、Annex 2 Caucus Reviewを中心にディスカッションを行った。続く同年3月28日には、ICH E6 EWGからStakeholder engagement meeting(web形式)の参加依頼を受け、Caucus Reviewを踏まえたAnnex 2に関する全体的な討議を行った。
結論
日本のアカデミアからの意見を集約し、ICH-E6(R3) WGに対して日本からの提言を行った。ICH-GCP は、医薬品の臨床試験における被験者保護と信頼性の確保のためのグローバルスタンダードであり、日本からの意見を反映させられるよう本研究班の成果の情報発信を行う。

公開日・更新日

公開日
2024-06-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-06-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202324044Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,500,000円
(2)補助金確定額
6,279,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,221,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 2,344,107円
旅費 2,027,110円
その他 178,764円
間接経費 1,730,000円
合計 6,279,981円

備考

備考
差異分は自己資金で支弁

公開日・更新日

公開日
2024-06-12
更新日
-