医薬品製造業者等における品質問題事案の発生予防及び品質の継続的な維持向上に向けた調査研究

文献情報

文献番号
202324040A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品製造業者等における品質問題事案の発生予防及び品質の継続的な維持向上に向けた調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23KC2008
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
蛭田 修(学校法人 銀杏学園 熊本保健科学大学 品質保証・精度管理学共同研究講座)
研究分担者(所属機関)
  • 櫻井 信豪(東京理科大学 薬学部薬学科)
  • 小林 江梨子(城西国際大学 薬学部医療薬学科社会薬学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
1,780,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品製造業者等における品質問題事案の根本的な改善を図り、業界や行政の発生予防に向けた取組に資するため、必要なガイドラインや通知案等を提言し、業界への周知を通して、医薬品等の製造業者等の適切な体制構築に寄与する。
研究方法
事例収集やアンケート調査等を通して国内外の実態を把握し課題を明らかにするとともに、聞き取りや文献調査等により海外における運用状況の調査を実施した。また産学官が連携し、製造企業者等を対象としたワークショップの開催等によって、これら研究成果の周知することで、業界への普及も図る。
結果と考察
・テーマ1 製造業者等の問題検知力及び問題解決力の向上に関する検討
 製造所の問題検知及び問題解決の課題、方法論等について考え方を整理し、適切に課題を抽出、分析するためのアンケートを設計した。また、他業界での取り組みを参考にすべくトヨタ製造所の活動に関する講演会を開催した。さらに不正や不都合のトリガーとなった行動や判断基準を行動経済学的特性に基づいて分類、整理した。
 また本年度は奈良県にて、問題発見をテーマにワークショップを開催し、参加者同士の課題や問題解決に関する方法論の共有化等、好評を得た。
・テーマ2 官民の品質リスク情報コミュニケーションの在り方に関する検討
 海外規制当局では米国、欧州、カナダ、台湾、韓国等がGMP調査での指摘内容を公開していた。特に米国では、指摘事項への対応が不十分な場合にWarning Letterの発行により注意喚起され、外国製造所には輸入停止措置を行う例も認められた。
 また必要な情報を効率的かつ正確に抽出・情報発信を可能とすることを目的として、新情報公開システムの設計を開始した。 一方、官民の品質リスク情報の共有に関して、製造販売業者と製造業者に意見を求めるためアンケート調査票を作成した。
・テーマ3 企業間の業務委受託に関する検討
 欧米における販売承認保有者(MAH)による委託先製造所の管理の方法について調査研究した結果を踏まえ、薬機法の管理下にはない事業者を介したL字型契約の場合の製造所管理に関する考え方をまとめ、「製造業者以外の業者を介したL字型契約における製造販売業者の適切な製造業者等の管理に関する提言」を作成した。
 また事業環境の変化を考慮しGQPを適切に運用するための課題の把握するため、アンケート調査票を作成した。
・テーマ4 医薬品製造業者等の実態調査及びそれを踏まえた対応策の検討
 製薬企業や製造所における責任体制や組織運営の課題を抽出するためアンケート調査を実施した。アンケート結果のうち、今年度は製造管理者に関する回答について先行して解析した結果、医薬品製造所での薬剤師の確保は困難となりつつあること、製造管理者の半数以上は課長以下であり、製造管理者には「品質管理」などの実務経験に基づく管理能力が、「薬剤師の観点からの管理能力」を大きく上回ることが確認された。
 更に欧州のQP制度に関する調査の結果、QPシステムは品質保証を実現するため合理的な制度と思われた。
一方、医療機器分野でのSaMD製造販売業者の品責に関する実態調査の結果も踏まえ、クラスⅡのSaMDの製造販売のみを行う小規模企業者を対象とし、研修受講と外部アドバイザーの措置を課すことを条件として、品質管理業務の従事経験にソフトウェアに関する業務経験等も含める代替措置を提案することとした。
・テーマ5 デジタルを活用した効率的かつ効果的な品質管理方法の検討
 品質管理業務等のデジタル化のレベルに関する定義を行った上で「デジタルプラント成熟度モデル」を活用して、システムの複雑さと製造所のデジタル化技術の成熟度のマトリクスに基づいて製造所等におけるデジタル化事例を収集し、「医薬品製造業におけるデジタル技術活用事例集(2023年度版)」として取りまとめた。事例集では、業務プロセスにおける課題感や理想状態を提示するとともに、品質保証、品質向上、生産性向上等のメリットを提示した。
結論
製造販売業者における適切な委託先管理のあり方、SaMD製造販売業者の品責の要件について検討し提言を作成し、更に医薬品製造管理者の要件を薬剤師とすることの課題を明らかにした。また製造、製販におけるデジタル化事例を収集し、「医薬品製造業におけるデジタル技術活用事例集(2023年度版)」として取りまとめた。

公開日・更新日

公開日
2024-08-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-08-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202324040Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,000,000円
(2)補助金確定額
1,923,638円
差引額 [(1)-(2)]
76,362円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 90,117円
人件費・謝金 144,781円
旅費 515,023円
その他 953,717円
間接経費 220,000円
合計 1,923,638円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2024-08-29
更新日
-