廃棄物製品化に係る品質安全基準作成のための研究

文献情報

文献番号
199700683A
報告書区分
総括
研究課題名
廃棄物製品化に係る品質安全基準作成のための研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
山村 勝美(財)廃棄物研究財団)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 健康地球研究計画推進研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
平成11(1999)年度
研究費
18,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では、廃棄物の増加に伴い、処理施設整備の増大や処分場不足等が問題になっており、減量化や有効利用の観点から、廃棄物の再生原料化、製品化への取組が進められている。しかし、これらについては、品質や安全性についてのチェックは不十分であり、需要拡大が困難な状況にある。
よって、本調査では再生品及び再生原料についての品質チェック項目や方法などに関し、調査を行い、品質安全基準の在り方についての提案を行うことを目的とする。
研究方法
本研究は平成8年度から平成10年度にわたる研究であり、9年度は再生品の原料となる廃棄物種と再生処理施設についてアンケートや現地ヒヤリング調査を実施し、原料の受入れ時から再生工程における品質管理システムと課題点を抽出した。
さらに、再生品の品質に関する既存データの収集整理や分析試験の実施を行い、品質安全基準作成の基礎資料を作成した。
結果と考察
原料となる廃棄物の発生状況とその需要となる再生利用について整理した。対象再生品は以下のとおりである。
?堆肥(コンポスト) ?PETフレーク・ペレット
?固形燃料(RDF) ?ガラスカレット
?油化生成油 ?再生廃木材
原料受入れ時の規格・基準の要旨は下記のとおりである。
ア.堆 肥
ごみカレンダー等による分別基準、排出容器の指定、水切りの徹底等
イ.RDF
ごみカレンダー等による分別基準、金属除去、サイズ、水切り・乾燥の指示等
ウ.PETフレーク・ペレット
分別収集基準・引取り基準ガイドライン((財)日本容器包装リサイクル協会)、PETボトル自主設計ガイドライン(PETボトルリサイクル推進協議会)
エ.ガラスカレット
分別収集基準・引取り基準ガイドライン((財)日本容器包装リサイクル協会)、あきびん(ソースカレット)の検査方法(ガラスびんリサイクル促進協議会)
オ.再生廃木材
原料種(型枠、パレット、解体材(枕木・電柱は不可)、樹種)の限定
また、高品位確保のための自主基準は下記のとおりである。
ア.堆 肥
水分 40%、pH=7~9、窒素=3%、燐=1%、カリウム=1%、C/N比=15~20
イ.RDF
成分(水分、灰分、可燃分)、元素組成(C,H2,N2,Cl2,S,O2) 、発熱量
ウ.PETフレーク・ペレット
クリヤーフレーク製品(サイズ、水分率、極限粘度、金属等異物、PVC、ラベル類、外観等の16項目)、クリヤーペレット製品(サイズ、水分率、異物等の6項目)、PETボトルリサイクル協会とユーザー側の用途に応じた基準
エ.ガラスカレット
金属類、陶磁器、石類、異質ガラス、有機物の6区分にわたる異物(日本ガラスびん協会)とユーザー毎の自主基準
オ.再生廃木材
ユーザー毎の受入れ自主基準(例:木質以外の異物、金属片、水分等)
さらに、生活環境保全の観点からの基準は次のとおりである。
ア.堆 肥
特殊肥料の有害物の規制値
全量試験:砒素、カドミウム、水銀
溶出試験:有害産廃に係る判定基準24項目
イ.RDF
重金属含有量、腐敗性試験(一般細菌数、大腸菌数)
ウ.PETフレーク・ペレット
食品衛生法、ポジティブリストによる協会自主基準(ポリオレフィン等衛生協議会)
エ.ガラスカレット
日本ガラスびん協会におけるクリスタルガラス等の許容値(鉛り含有量の規制)はあるが、びん製造については、高温処理のため付着物は問題視されない。
オ.再生廃木材
結論
規格・基準はないが、原材料を厳選(防腐材、防蟻剤の付着したものは排除)
純正品等の規格基準に準じた成分や性状として、現時点で満たすべき品質を整理した。
ア.堆 肥
特殊肥料のバーグ堆肥(特級品)と相当の品質が得られている。
イ.RDF
成分、元素組成、性質において石炭(木質亜炭、炭質亜炭、褐炭)や薪との類似性の品質を得ている。
ウ.PETフレーク・ペレット
現在の品質管理から純製品に近い品質が確保されているが、今後は低グレード品(着色品)の用途開発が課題である。
エ.ガラスカレット
従来よりガラスびんに再生利用されており、技術的には100%再生カレット使用びんも商品化されている。アンケートでは、さらに低減すべき不純物として、アルミニウム、鉛、その他非鉄金属、結晶化ガラス、陶磁器があげられている。
オ.再生廃木材
アンケートでは、除去すべき異物として、断熱材由来の石綿、アルミ箔、土類、防腐・防食剤があげられている。
以上の再生品の有害成分の状況については、ヒヤリングを行った堆肥、RDFの施設では重金属、揮発性有機物質等の試験が実施されているが、設定されている基準値・規制値を下回っていた。また、試料のサンプリングを行い、有害物質を主とする分析試験(含有試験、溶出試験、その他成分試験等)を実施した。
今後は、環境基準等を踏まえ、コンポストやRDF等について利用用途に応じた品質安全基準を検討することとした。
< 例 > 道路・公園等の肥料用コンポスト
農園肥料用コンポスト
家庭園芸用コンポスト
工場ボイラー用RDF
熱発電用RDF
セメント焼成用RDF

また、生ごみについては、モデル都市を設定し、生分解性プラスチック袋による収集方式等の検討を行い、設定した品質安全基準の有効性を確認することとした。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)