文献情報
文献番号
202324035A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の副作用等報告症例の評価手法の調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23KC2003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 元博(国立大学法人東京大学 医学部附属病院 小児科)
研究分担者(所属機関)
- 廣瀬 誠(明治薬科大学 薬学部)
- 小出 大介(国立大学法人東京大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
5,872,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ワクチンを含む医薬品の市販後安全対策においては、副作用疑い報告の因果関係評価と投与集団における副作用発生率の把握が重要とされる。現在、個々の症例についてはα(否定できない)、β(認められない)、γ(評価不能)の3区分により評価されているが、十分な情報が得られず評価が困難な場合も多い。WHOは、因果関係評価は「確実性のレベルを決定するものであり、因果関係の有無を断定するものではない」としており、評価の精度向上と系統的な評価手法の在り方を明らかにすることが本研究の目的である。
研究方法
本研究は、主に次の3項目からなる実証的検討を行った。
個別症例の因果関係評価の実態把握と課題抽出:国内外の評価基準を考慮し、αβγ分類の妥当性、公開範囲、表現方法などを多職種で議論。
集団的データ解析の手法検討:COVID-19ワクチン等を対象に、年齢・性別・接種時期などの層別解析を実施し、海外事例との比較も行った。
海外の因果関係評価手法の調査:WHO-UMC分類等を参考に、欧米の規制当局の方針や解析方法を整理し、日本との違いと課題を抽出。
個別症例の因果関係評価の実態把握と課題抽出:国内外の評価基準を考慮し、αβγ分類の妥当性、公開範囲、表現方法などを多職種で議論。
集団的データ解析の手法検討:COVID-19ワクチン等を対象に、年齢・性別・接種時期などの層別解析を実施し、海外事例との比較も行った。
海外の因果関係評価手法の調査:WHO-UMC分類等を参考に、欧米の規制当局の方針や解析方法を整理し、日本との違いと課題を抽出。
結果と考察
αβγの各評価基準に関し、現行の用語や運用に一定の課題があることを確認した。各種会議や文献調査を通じて、因果関係評価の目的の明確化と、用語の改善案(例:「医薬品との関連性が合理的に示唆される」など)を提案した。また、個別評価と集団評価の双方における意義や使い分けの必要性を確認した。
副作用報告制度は、安全対策の実施と情報提供を目的とするもので、個別事例評価と集団的評価は相補的である。現在のαβγ分類は説明の明確性に課題があり、特にγに該当する評価不能症例が多いことが問題とされた。また、WHOやFDAのように個別因果関係評価を行わない方針もある中で、日本の評価体制の位置づけと改善点を検討する必要がある。社会への説明の工夫や国際的な整合性も求められる。
副作用報告制度は、安全対策の実施と情報提供を目的とするもので、個別事例評価と集団的評価は相補的である。現在のαβγ分類は説明の明確性に課題があり、特にγに該当する評価不能症例が多いことが問題とされた。また、WHOやFDAのように個別因果関係評価を行わない方針もある中で、日本の評価体制の位置づけと改善点を検討する必要がある。社会への説明の工夫や国際的な整合性も求められる。
結論
副作用報告は医薬品投与における安全対策措 置の必要性を議論する資料とすることが目的 である。 個別事例の評価対象は、単独もしくは少数の 報告のみで添付文書の改訂や事務連絡の発出 などによる注意喚起の必要性や、その根拠と しての妥当性を評価する対象となるもの(≒ 現状のα)であり、集団解析の対象は、因果 関係がないと判断されるものを除き、集団と して解析することで添付文書の改訂や事務連 絡の発出などによる注意喚起の必要性や、そ の根拠としての妥当性を評価する対象となるもの(≒現状のα+β)である。
αβγの表現としては、
α:安全対策措置を検討する根拠のひとつとして医薬品との関連性が合理的に示唆される もの
β:医薬品と事象との関連性が認められない もの
γ:医薬品以外の要因や不足する情報等により、医薬品と事象との関連性が不明確なもの が候補として提案された。
αβγの表現としては、
α:安全対策措置を検討する根拠のひとつとして医薬品との関連性が合理的に示唆される もの
β:医薬品と事象との関連性が認められない もの
γ:医薬品以外の要因や不足する情報等により、医薬品と事象との関連性が不明確なもの が候補として提案された。
公開日・更新日
公開日
2025-06-24
更新日
-