適切な医薬品安全性評価のための国際整合化を考慮した医療情報データベースの品質管理・標準化に関する研究

文献情報

文献番号
202324033A
報告書区分
総括
研究課題名
適切な医薬品安全性評価のための国際整合化を考慮した医療情報データベースの品質管理・標準化に関する研究
課題番号
23KC2001
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
横井 英人(国立大学法人 香川大学 医学部附属病院 医療情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 直樹(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院 医療情報学講座)
  • 武田 理宏(大阪大学大学院医学系研究科 情報統合医学講座 医療情報学)
  • 安西 慶三(国立大学法人佐賀大学医学部肝臓・糖尿病・内分泌内科)
  • 原田 紗世子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構  医療情報活用部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
19,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、医薬品安全性評価に使用する医療情報データベース(診療録等の情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの。以下、「医療情報DB」と略す。)に関する国際整合性を考慮した品質管理および標準化の指針の基盤となる施策を検討し、医薬品の安全性評価に利用する医療情報DBの信頼性保証のための体制の構築と維持を的確に実行するための指針となる提言を行い、医療情報DBの医薬品安全性評価での利活用促進と医薬品安全対策の高度化に資する成果を創出するものである。
研究方法
医薬品の安全性評価に利用実績のある米国のSentinel Initiative、英国のNational Health Service (NHS)の基幹システム・Clinical Practice Research Datalink (CPRD)、および仏国のSystème National des Données de Santé (SNDS)の医療情報DBの品質管理に関する情報収集を下記の手順で実施した。

1) 調査項目の設定
2) 情報収集
① 対象の医療情報DBに関するWeb上の公開情報を収集する。
② Web情報だけでは回答できなかった調査項目については、現地の運営スタッフ等から直接的に電子メールやインタビュー等によって情報収集する。
3) 調査結果のまとめ
4) 研究分担者との研究班会議
結果と考察
下記を調査項目として設定した。(主なもののみ記載)
① 全般的事項
特徴的な事項:利用実績・特徴(Strength)・欠点(limitation)
② 事業者の組織体制
③ 情報源となる医療機関の選定
選定基準
選定手順
選定に関する規定
④ 医療データの授受(収集)の方法
5W1H
手順、頻度
そのほか、データの正しさ・整合性の確認とそのプロセスの保存状態、品質管理の規定など
⑤ 個人情報保護
⑥ データクリーニング
対象となるデータ項目
具体的な内容と方法
実施基準を変更する際の手順や過程 など
⑦ コーディング
対象となるデータ項目
コードリスト等(マスタ)の整備方法(更新頻度及び手段)
実施基準を変更する際の手順や過程 など
⑧ セキュリティ
⑨ データバックアップ
⑩ 解析用データセット作成
⑪ 医療情報DBのQuality Control
⑫ 医療情報DBのQuality Assurance
⑬ 教育訓練
⑭ 記録の保存
⑮ アウトカム定義のバリデーション
⑯ 医療データの真正性、見読性および保存性の担保
⑰ 現状の課題・問題点および今後の対応等
⑱ データメンテナンス

上記に記載したとおりの調査項目を設定し、調査を行った。
1) Sentinel Initiative
長期的に運用されており、様々な規定、ツールなどが整備されている印象であった。
Sentinelでは医療情報DBとして患者データの集積を行っておらず、各データ提供者(DP : Data Partner)に集積してあるデータに対して、FDAがデータを利用するタイミングでクエリを行うことができる。
データをDPから受け取る際、品質管理のプロセスとして、SOCは3つにレベル分類されたデータの品質保証プログラムに従ってデータをチェックしている。

2) NHSの基幹システム/CPRD
CPRDへの参加同意を得たGP(General Practitioner)から毎月特定形式のEHRデータが集積されている。NHS(National Health Service)Englandは患者の NHS番号、生年月日、郵便番号、性別を仮名化し、CPRDに送付し、CPRDでGPからのEHRデータとNHSからのデータが紐づけられている。情報源であるGPの医療データは、GPでICD-10やSNOMED (Systematized Nomenclature of Medicine-Clinical Terms)を利用しコーディングを行い、特定ソフトウェアにてEHRを作成しCPRDに発信する際にQRMシステムや専用ソフトウェア等を利用し独自に品質保証が行われている。

3) SNDS
情報源となる医療機関の医療データは、医療機関がハッシュ関数を用いて患者データの仮名化を行った上で、各国営DBにデータ送信され、その後、各国営DBにて再度、ハッシュ関数を用いた仮名化を行いSNDSにデータを送信されることで集積される。一般的に、SNDSのデータは診療報酬を得るために登録されており、データの局所性が高い。現在では20年分のデータがあり、疫学や特定の研究に利用することもできる。
結論
今回の調査結果から各医療情報DBの全体像とデータ集積フローの概要、品質保証の取り組み、データクリーニング、個人情報保護および特徴について整理した。次年度にはこれに基づく本邦での医療情報DBの品質保証の妥当な方法を検討する。

公開日・更新日

公開日
2024-06-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-06-13
更新日
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研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202324033Z