文献情報
文献番号
200936121A
報告書区分
総括
研究課題名
全身性エリテマトーデスにおける修飾自己抗原を用いた自己反応性B細胞を標的とする病勢モニタリングと特異的細胞機能抑制治療の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-難治・一般-066
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
川畑 仁人(東京大学医学部附属病院 アレルギー・リウマチ内科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
自己抗体は、全身性エリテマトーデスにおける抗DNA抗体、関節リウマチにおける抗CCP抗体、重症筋無力症における抗AchR抗体、特発性血小板減少性紫斑病における抗GPⅡb/Ⅲa抗体のように病態形成に大きく関与しているが、これらの自己抗体を産生するB細胞を直接標的としたモニタリングや治療はこれまでなされていなかった。本研究は、修飾自己抗原を用いて自己反応性B細胞を直接標識することで初めて可能になる、病勢モニタリングおよび特異的治療への応用を目的とし行われた。
研究方法
抗DNA抗体もしくは抗CCP抗体が認識するエピトープ情報からこれらの自己抗体に対する自己抗原ペプチドを合成した。これを用いて、従来からある手法であるELISPOT法で、ループスモデルマウスやコラーゲン誘発関節炎マウスの種々の組織から採取した細胞における、自己抗体産生細胞の存在を検討するとともに、蛍光標識した自己抗原ペプチドテトラマーを作成し、これに結合するB細胞の存在をFACS解析し比較した。
結果と考察
コラーゲン誘発関節炎マウスでは、抗CCP抗体産生細胞はELISPOT法では関節局所に存在していることが明らかになった。一方、蛍光標識した自己抗原ペプチドテトラマーを用いたFACSでは、主に脾細胞で自己反応性B細胞をFACSで可視化でき、ELISPOT法で検出した細胞と異なる発達段階の自己反応性B細胞の解析が可能となった。この手法が成功したことより、本法は、修飾自己抗原ペプチドテトラマーに抑制性抗体や毒素を結合させ、生体に投与することで、自己反応性B細胞を標的とした特異的治療への応用や、自己抗原ペプチドを変更することで、本研究で対象としたSLEや関節リウマチ以外の多くの自己免疫疾患に応用が可能な、汎用性の高い手法と考えられた。
結論
修飾自己抗原ペプチドテトラマーを用いて、従来の方法と異なる自己反応性B細胞の同定や解析が可能となった。従って、本法は、病勢モニタリングや自己反応性B細胞特異的治療において、種々の自己免疫疾患で応用できる汎用性の高い手法と考えられた。
公開日・更新日
公開日
2010-05-31
更新日
-