文献情報
文献番号
200936120A
報告書区分
総括
研究課題名
大脳皮質基底核変性症由来iPS細胞の樹立とタウオパチーの新規治療戦略の確立
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-難治・一般-065
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 則宏(慶應義塾大学医学部 神経内科)
研究分担者(所属機関)
- 山田 正仁(金沢大学医薬保健研究域医学系 脳老化・神経病態学)
- 伊東 大介(慶應義塾大学医学部・神経内科)
- 小堺 有史(慶應義塾大学医学部・神経内科)
- 吉崎 崇仁(慶應義塾大学医学部・神経内科)
- 美原 盤(美原記念病院・神経内科)
- 高尾 昌樹(美原記念病院・神経内科/神経病理)
- 服部 英典(慶應義塾大学医学部・神経内科)
- 村山 繁雄(東京都健康長寿医療センター研究所・神経病理)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
超高齢化社会に直面している我が国にとって、認知症はじめとする神経変性疾患の医療と対策は21世紀の避けられない重大な課題である. 分子医科学の発展により、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)などの病態の解明は進み. 多岐にわたる治療法が実用化、開発段階である。しかし、ADの4分の3の頻度があるタウオパチーに関しては、その病態の解明は立ち遅れ、依然として難治性疾患である. 本研究では、タウオパチーの代表である大脳皮質基底核変性症(Corticobasal degeneration: CBD)の神経疾患の患者から皮膚等の体組織試料を採取し、iPS(人工多能性幹)細胞を樹立、神経細胞に分化誘導し生化学的、細胞生物学的な特性を解析する. この手法により、これまで検体採取困難だった神経疾患の原因・治療研究において、従来にない新しい観点からの疾患研究の発展が予測される. 特に、創薬スクリーニングには強力な手法となりうる. また、iPS細胞由来神経細胞の疾患特異的な現象(例えば、タウ蛋白の蓄積、リン酸化)を指標に、脳生検に変わる画期的な診断法の確立が期待できる.
研究方法
本プロジェクトの初年度、2年度は、CBD患者の臨床、病理所見の収集と、生体試料もしくは剖検検体より、iPS細胞を作成する。3年次以降は、マイクロアレイ、プロテオミクス解析によりmRNA、蛋白質の発現を網羅的に解析し、分子病態の解明を試み、さらに、iPS細胞をもちいた新規診断法の確立、タウ蛋白をターゲットにした治療、創薬スクリーニングの手法の確立を目指すことを目標としている.
結果と考察
初年度である平成21年度は、多くの分担研究者の方々のご協力により、目的としていた主要タウオパチー(CBD、AD、進行性核上性麻痺(PSP)、ピック病)すべての皮膚検体、線維芽細胞を得ることができた. また、全症例で、詳細な臨床所見も収集できることができ、極めて質の高い神経疾患iPS 細胞の樹立が望める。現在、各疾患iPS細胞へのリプログラミングを開始しており、半年以内にすべての疾患のiPS細胞を樹立できるもの確信している.
結論
年内に主要タウオパチー(CBD、AD、進行性核上性麻痺(PSP)、ピック病)のiPS細胞樹立を目指し、創薬スクリーニングに取りかかれるものと考えている.
公開日・更新日
公開日
2010-05-19
更新日
-