文献情報
文献番号
202324028A
報告書区分
総括
研究課題名
課徴金制度の導入等の医薬品等の広告規制の変化を踏まえた実態調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22KC2004
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
渡邊 伸一(帝京平成大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
- 山浦 克典(慶應義塾大学 薬学部)
- 野村 香織(帝京平成大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
2,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
厚生労働省は、平成30年9月、販売情報提供活動において行われる広告又は広告に類する行為を適正化することにより、保健衛生の向上を図ることを目的として、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」を策定し、平成31年4月から適用された。
ガイドラインの施行により、製薬企業等が提供しづらくなった情報、医療関係者が入手しにくくなった情報等を調査し、それらのうち、真に情報提供が必要と考えられる情報について、ガイドライン策定の目的を損なうことなく、円滑に医療関係者に提供される条件を検討するため、患者の薬物治療に必要な情報が医療関係者に提供される環境を整備するための研究を行う。
本研究は3年計画であり、2年目の本年度は、製薬企業を対象に、製薬企業等が提供しづらくなった情報、その理由等を調査し、製薬企業の医療用医薬品の情報提供に対するガイドラインの影響等を把握する。さらに、医療関係者(医師)を対象に、製薬企業からの医療用医薬品の情報入手に対するガイドラインの影響等を把握する。
ガイドラインの施行により、製薬企業等が提供しづらくなった情報、医療関係者が入手しにくくなった情報等を調査し、それらのうち、真に情報提供が必要と考えられる情報について、ガイドライン策定の目的を損なうことなく、円滑に医療関係者に提供される条件を検討するため、患者の薬物治療に必要な情報が医療関係者に提供される環境を整備するための研究を行う。
本研究は3年計画であり、2年目の本年度は、製薬企業を対象に、製薬企業等が提供しづらくなった情報、その理由等を調査し、製薬企業の医療用医薬品の情報提供に対するガイドラインの影響等を把握する。さらに、医療関係者(医師)を対象に、製薬企業からの医療用医薬品の情報入手に対するガイドラインの影響等を把握する。
研究方法
1.製薬企業調査
研究分担者が回答フォーマット付き質問紙の電子ファイルを日本製薬工業協会事務局に送付し、日本製薬工業協会が団体独自のWeb調査システムによる回答画面を作成して、加盟企業が Web により回答する方式で調査を実施し、製薬協事務局が企業名の記載されていない回答データを研究分担者に送付した。
2.医師調査
フォーカス・グループ・インタビューを用いて企業の情報提供の内容や方法に関する病院勤務医師の様々な認識を把握するための質的分析を実施した
研究分担者が回答フォーマット付き質問紙の電子ファイルを日本製薬工業協会事務局に送付し、日本製薬工業協会が団体独自のWeb調査システムによる回答画面を作成して、加盟企業が Web により回答する方式で調査を実施し、製薬協事務局が企業名の記載されていない回答データを研究分担者に送付した。
2.医師調査
フォーカス・グループ・インタビューを用いて企業の情報提供の内容や方法に関する病院勤務医師の様々な認識を把握するための質的分析を実施した
結果と考察
1.製薬企業調査
有効性・安全性の比較情報を「提供しない」方針の企業が約4割存在し、「提供する」方針の企業においても提供できない事例が存在した。その理由として「他社の誹謗中傷にあたる恐れがある」と「科学的・客観的な根拠があるとはいえない」が多く、また販売情報提供GLに関するQ&Aへの記載要望としても「”他社製品との比較”と”他社の誹謗中傷”の線引き」が多かった。未承認適応外情報については、提供できない理由として、「科学的・客観的な根拠があるとはいえない」が多く挙げられた。未承認適応外情報の提供活動を「通常の販売情報提供活動」から切り分ける方法は、MSLの配置が多い企業ほど販売情報提供GL Q&Aで望ましいとされる「MR以外のMSL等による情報提供」の割合が有意に高かった。
2.医師調査
販売情報提供ガイドラインが施行されて以降の企業がスポンサーとなる場では規定された情報しか得られないため、臨床現場で必要な情報(医薬品の比較情報や適用外使用の実例)については、質疑応答で演者から引き出す、企業の担当者から個別に論文等の情報を引き出す、などの対応していたことが確認された。参加した医師はそれぞれ情報の収集/整理を工夫していたため、必要な情報を入手できていた。一方、若手の勤務医あるいは開業医は情報提供ガイドラインの動向を知らない可能性が高い、企業間で講演する医師に対する対応に差がある、との指摘があった。
有効性・安全性の比較情報を「提供しない」方針の企業が約4割存在し、「提供する」方針の企業においても提供できない事例が存在した。その理由として「他社の誹謗中傷にあたる恐れがある」と「科学的・客観的な根拠があるとはいえない」が多く、また販売情報提供GLに関するQ&Aへの記載要望としても「”他社製品との比較”と”他社の誹謗中傷”の線引き」が多かった。未承認適応外情報については、提供できない理由として、「科学的・客観的な根拠があるとはいえない」が多く挙げられた。未承認適応外情報の提供活動を「通常の販売情報提供活動」から切り分ける方法は、MSLの配置が多い企業ほど販売情報提供GL Q&Aで望ましいとされる「MR以外のMSL等による情報提供」の割合が有意に高かった。
2.医師調査
販売情報提供ガイドラインが施行されて以降の企業がスポンサーとなる場では規定された情報しか得られないため、臨床現場で必要な情報(医薬品の比較情報や適用外使用の実例)については、質疑応答で演者から引き出す、企業の担当者から個別に論文等の情報を引き出す、などの対応していたことが確認された。参加した医師はそれぞれ情報の収集/整理を工夫していたため、必要な情報を入手できていた。一方、若手の勤務医あるいは開業医は情報提供ガイドラインの動向を知らない可能性が高い、企業間で講演する医師に対する対応に差がある、との指摘があった。
結論
本研究の1年目及び2年目の研究結果も踏まえ、厚生労働省から、他社との比較情報の提供に関するガイドラインのQ&Aである「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインに関するQ&Aについて(その4)」(令和6年2月21日厚生労働省医薬局監視指導か事務連絡)された。
今後、厚生労働省が発出した他社との比較情報の提供に関するガイドラインのQ&Aの医療用医薬品の情報提供に対する影響等について、調査するなどして、患者の薬物治療に必要な情報が医療関係者に提供される環境の整備について検討することが必要である。
今後、厚生労働省が発出した他社との比較情報の提供に関するガイドラインのQ&Aの医療用医薬品の情報提供に対する影響等について、調査するなどして、患者の薬物治療に必要な情報が医療関係者に提供される環境の整備について検討することが必要である。
公開日・更新日
公開日
2024-07-24
更新日
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