体外診断用医薬品に係る安全対策のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
202324025A
報告書区分
総括
研究課題名
体外診断用医薬品に係る安全対策のあり方に関する研究
課題番号
22KC2001
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
矢冨 裕(国際医療福祉大学 大学院)
研究分担者(所属機関)
  • 大西 宏明(杏林大学 医学部臨床検査医学教室)
  • 古川 泰司(帝京大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
3,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
体外診断用医薬品(体診)の安全対策に係る規制(副作用報告及び添付文書の記載要領)の問題点を明らかにし、改善案を提案することを目的としている本研究に関して、令和4年度の成果を元に、検討を継続した。
研究方法
研究目的達成のために,全委員が密に連携を取り、全体会議をハイブリッド形式で、年度内に計8回(4月25日、5月24日、7月13日、9月14日、11月9日、1月18日、2月14日、3月14日)開催した。さらには、これとは別に、研究代表者・分担者と研究協力者がテーマを絞った形で集まり、意見交換を行った。また,適宜,メールによる議論も展開した。
また、今後、臨床検査の関係者・関係団体への意見聴取が必要になることより、日本臨床検査振興協議会との連携が必要になると考えられた。同協議会は、国民、行政および医療機関等に、広く臨床検査の重要性の理解を求め、その適正な活用を促進し、国民の健康に寄与することを目的とする団体であり、日本臨床検査薬協会、日本衛生検査所協会、日本臨床検査医学会、日本臨床衛生検査技師会、日本臨床検査専門医会から構成されている。同協議会との連携をとることも重要であり,これに努めた。
 その上で、令和5年度は、以下の分担研究を設定し、各委員が、現在の立場・専門性を踏まえ、独自の調査・解析を実施した。
I.総括研究報告
「体外診断用医薬品に係る安全対策のあり方に関する研究」(矢冨 裕 他)
II.分担研究報告
1.「体外診断用医薬品の不具合報告体制の確立~報告手順、報告様式の検討~」(大西 宏明 他)
2.「体外診断用医薬品の添付文書記載要領の記載内容の検討について」(古川 泰司 他)
 さらには、適宜、体診の安全対策に関わる具体的事例を取り上げ、より良い対応としてあるべき形を議論した。これに関しては、総括研究報告書においてまとめることとした。
結果と考察
1.体診の安全対策関連報告体制について
 前年度の本研究における検討結果により、体診の安全対策に関わる報告体制においては、医薬品の副作用報告の枠組みではなく、医療機器同様、不具合報告として、体診の安全性に関わる情報を蓄積・分析し、体診の安全性向上に活用すべきと考えられたが、本年度は、業界や医療関係者への意見聴取を行い、あるべき姿について検討し、法改正を念頭においた提言とりまとめの骨子を作成した。
 体診の不具合報告制度において、報告手順や報告様式は、軽微な修正のみで医療機器の不具合報告制度が応用可能であることが明らかとなり、我が国においても諸外国同様に、体診の特性への一定の配慮のもとで、医療機器の不具合報告制度に準用することが可能であると考えられた。
2.体診の添付文書の記載要領について
 前年度の本研究においては、体診の製造販売業者(臨薬協加盟企業)に対しアンケート調査及びPMDAへの意見聴取を実施し、医薬品、医療機器の添付文書記載要領と対比する形で要点をまとめた資料を作成したが、本年度は、業界や医療関係者への意見聴取を行い、見直し案を作成し、最終年度において、広く意見を聴取するための改定案の準備を進めた。
 これまでの研究結果(課題抽出)に基づき、添付文書に関する考え方等、研究班において大枠を合意した後、記載要領の各項目に対して段階的な検討を進めた。論点として、全体に係る事項、警告の取扱い、禁忌・禁止の取扱い、全般的な注意の取扱い、形状・構造等(キットの構成)の取扱い、使用目的の取扱い、臨床的意義の取扱い、の7つについて必要な対応を提案した。なお、現行の添付文書における課題として、「行政が確認した事項」と「企業が自己責任で記載した事項」が混在しており、使用者からは判断出来ない問題について、内容の類型整理を行い、明確な記載ができる基盤整備を行った。
結論
令和5年度の本研究班の活動により、「体外診断用医薬品の不具合報告体制の確立」、「体外診断用医薬品の添付文書記載要領の記載内容の検討」とも、着実に進展した。令和6年度においては、前者に関しては、複数症例や複数項目等の報告手順、医療機関側からの不具合報告のあるべき姿などの検討が必要である。後者に関しては、現場の使用者(臨床検査技師、臨床検査医など)に対するアンケート調査を実施する必要があると考えられる。最終的には、次期薬機法改正を含めた体診に係る制度改正の議論における基礎資料として活用されることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2024-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-06-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202324025Z