文献情報
文献番号
202324024A
報告書区分
総括
研究課題名
オンライン服薬指導の実施事例の調査と適正な実施に資する薬剤師の資質向上のための方策についての調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21KC2010
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
亀井 美和子(帝京平成大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
- 渡邊 大記(公益社団法人 日本薬剤師会)
- 恩田 光子(大阪薬科大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
4,069,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
薬剤師がオンライン服薬指導をはじめ、ICTを利活用して社会のニーズに応えていくとともに、医療の質の向上につなげることが求められることから、実際にオンライン服薬指導を行った事例、及び、消費者の観点から、オンライン服薬指導をより適切に実施する方策を検討する。
研究方法
令和3年度「医薬品医療機器等法に基づくオンライン服薬指導及び新型コロナウイルス感染症を受けた時限的・特例的措置としての電話等服薬指導の実施事例の収集」でヒアリング調査の対象とした薬局を対象としてヒアリング調査を実施した。また、対面・オンライン双方での服薬指導を経験した生活者を対象に半構造化インタビューを行い、質的研究法により、実体験に基づく、生活者の観点から望ましいオンライン服薬指導を実現するための課題を整理した。
結果と考察
オンライン服薬指導の活用に向けて改善すべきこととして、「オンライン服薬指導を利用するメリットと利用方法を服薬指導を受ける患者及び服薬指導を行う薬剤師に周知・啓発する」、「オンライン服薬指導が有用な対象者の明確にする」、「利用者に使いやすい方法になるよう工夫する」、「オンライン服薬指導の活用事例を共有する」、「薬局での運用方法の事例を共有する」、「提供側の負担を軽減する」が考えられた。また、生活者にとって望ましいオンライン服薬指導を実現するためには、「かかりつけ薬局」の機能、薬局の運営体制、薬剤師の働き方、オンライン診療との連携、通信トラブル時のサポートなどを含め、遠隔医療サービスの提供体制を包括的に見直すことが肝要と考えられた。
結論
オンライン服薬指導は、居住地や心身の状況等による来局困難者の医療へのアクセス向上や、対面での服薬指導を補完することによる薬学的管理の質の改善につながることが期待できる。患者が日頃から利用する薬局を変えることなく、薬学的ケアを享受するためには、より多くの薬局がオンライン服薬指導を活用することが望まれ、本研究が、薬局・薬剤師がオンライン服薬指導を導入・活用するための一助となることを願う。
なお、オンライン服薬指導は患者に適切な医療を提供する目的を達成する上で活用すべき有効な手段であり、オンラインで会話すること自体が目的ではないことへの留意が必要である。服薬指導等の方法を議論するとき、しばしば利便性のみがクローズアップされるが、その一面だけでは医療の本来の目的を見失いかねない。薬剤師は対面にしてもオンラインにしても、患者とのやりとりの中で医薬品の適正な使用のため必要な情報を患者から得て、必要な情報を患者に提供することが責務であり、オンライン服薬指導の活用も、省力化のためではなく、薬剤師が効果的・効率的に責務を果たすための取組として進められることが重要である。
なお、オンライン服薬指導は患者に適切な医療を提供する目的を達成する上で活用すべき有効な手段であり、オンラインで会話すること自体が目的ではないことへの留意が必要である。服薬指導等の方法を議論するとき、しばしば利便性のみがクローズアップされるが、その一面だけでは医療の本来の目的を見失いかねない。薬剤師は対面にしてもオンラインにしても、患者とのやりとりの中で医薬品の適正な使用のため必要な情報を患者から得て、必要な情報を患者に提供することが責務であり、オンライン服薬指導の活用も、省力化のためではなく、薬剤師が効果的・効率的に責務を果たすための取組として進められることが重要である。
公開日・更新日
公開日
2025-04-11
更新日
-