文献情報
文献番号
202324023A
報告書区分
総括
研究課題名
新たな形態の医療機器等をより安全かつ有効に使用するための市販後安全対策のあり方に関する研究
課題番号
21KC2007
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
宮島 敦子(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
研究分担者(所属機関)
- 澤田 留美(国立医薬品食品衛生研究所 再生・細胞医療製品部)
- 斎藤 嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
6,660,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年、科学技術の発展に伴い、IoT医療機器を含む製品のほか、他社製品を組合せて使用する可能性のある医療機器等、新しい形態の医療機器が医療現場に導入されつつある。これらの医療機器では、サイバーセキュリティや、他社製品組合せ使用時の留意点等、市販後安全対策に関する新たな課題が存在する。また、再生医療等製品については、品質のばらつきや少ない治験症例数に起因する想定外の不具合の発生等、その特性を踏まえた市販後安全対策を構築する必要がある。
研究方法
本年度は、以下の4課題について研究を行った。
結果と考察
1) 他社製ペースメーカ/リード組合せ使用時のMRI検査に及ぼす影響評価と安全対策
令和5年度は、遺残リードを想定し、生体外で構築したモデルシステムを用いて、ISO、ASTM等に準拠した条件で、MR下における発熱試験を実施した。その結果、ペースメーカにリードを接続した場合に比べて、キャップ有りの遺残リードでは、組織側のリード先端部分において温度上昇が観察された。キャップ無しの遺残リードでは、キャップ有りに比べて温度上昇が小さく、さらに導電性のあるキャップでも温度上昇が抑えられた。実臨床においては体液浸潤による特性変化や感染症の恐れがあることから、導電性のキャップが有用であると思われた。本研究において実施した発熱試験の結果及び文献調査の結果を踏まえて、日本医学放射線学会、日本磁気共鳴医学会、日本不整脈心電学会のワーキンググループにおいて討議を進め、施設基準及び実施条件に関する3学会合同ステートメントの改訂及び運用指針を公表した。
2) 誤接続防止コネクタの国内導入に係る留意点と安全対策
令和5年度は、製造販売業者及び医療機関を対象として、神経麻酔分野のコネクタの切替えの実態等についてのアンケート調査を実施し、その結果を検討班で整理して安全対策に関する課題を抽出した。それらの結果をもとに、切替えに伴う初期リスク情報伝達並びに、製造販売業者、販売業者及び医療機関の間の情報伝達の考え方等について討議し、新規格コネクタへの適切な切替えを確保するために必要な留意点等を整理して提言案として取りまとめた。
3) 再生医療等製品の特性等を踏まえた市販後安全対策及び再生医療等製品の臨床情報に基づく妥当性検証
再生医療等製品RMPについては、令和4年度に作成した再生医療等製品RMP指針(案)のたたき台に対する検討班委員や業界団体(FIRM,製薬協,MTJAPAN)等からのコメントについて取り纏めて改訂し、検討委員会を2回開催して議論した上で、規制当局と協議してさらに改訂を重ね、検討班委員からの意見及び確認を経て、「再生医療等製品リスク管理計画指針(案)」を作成した。一方、新規モダリティ製品が数多く登場する再生医療等製品を安全かつ有効に使用するためには、分かりやすい添付文書の構成が不可欠である。「再生医療等製品の電子化された添付文書の記載要領」等の改訂に向けて、産学官メンバーで構成される検討委員会において、令和4年度作成した素案に対する検討を行った。研究班の案を厚生労働省・医薬安全対策課に提出し、さらに同課において改訂後、令和5年10月6日より1ヶ月間の意見募集が行われた。4件の意見を受領し、概ね意見を反映する形で最終案が作成された。
4)医療機器サイバーセキュリティの市販後安全対策に関する研究
令和5年度は、産官学連携の下に検討班(CSWG)を設立し、医療機器CSの不具合報告事例、海外の規制状況について調査を進めると共に、医療機器CSに関する不具合報告の基本的考え方について検討を行った。本年度は、CSWGにて、海外の規制状況調査を行い、各国でのCSに関連した医療機器の不具合等報告制度、関連団体との情報共有状況、その他情報収集体制についてとりまとめた。医機連CSの不具合報告サブWGと連携して、医療機器CS関連の不具合報告事例として記載すべき内容について検討し、医療機器CSに関する不具合報告の基本的考え方(案)をまとめ、厚生労働省・医薬安全対策課に提出した。当該成果を受けて、令和6年1月15日付で、医薬安全対策課長通知(医薬安発0115 第2号)「医療機器サイバーセキュリティに関する不具合等報告の基本的考え方について」が発出された。
令和5年度は、遺残リードを想定し、生体外で構築したモデルシステムを用いて、ISO、ASTM等に準拠した条件で、MR下における発熱試験を実施した。その結果、ペースメーカにリードを接続した場合に比べて、キャップ有りの遺残リードでは、組織側のリード先端部分において温度上昇が観察された。キャップ無しの遺残リードでは、キャップ有りに比べて温度上昇が小さく、さらに導電性のあるキャップでも温度上昇が抑えられた。実臨床においては体液浸潤による特性変化や感染症の恐れがあることから、導電性のキャップが有用であると思われた。本研究において実施した発熱試験の結果及び文献調査の結果を踏まえて、日本医学放射線学会、日本磁気共鳴医学会、日本不整脈心電学会のワーキンググループにおいて討議を進め、施設基準及び実施条件に関する3学会合同ステートメントの改訂及び運用指針を公表した。
2) 誤接続防止コネクタの国内導入に係る留意点と安全対策
令和5年度は、製造販売業者及び医療機関を対象として、神経麻酔分野のコネクタの切替えの実態等についてのアンケート調査を実施し、その結果を検討班で整理して安全対策に関する課題を抽出した。それらの結果をもとに、切替えに伴う初期リスク情報伝達並びに、製造販売業者、販売業者及び医療機関の間の情報伝達の考え方等について討議し、新規格コネクタへの適切な切替えを確保するために必要な留意点等を整理して提言案として取りまとめた。
3) 再生医療等製品の特性等を踏まえた市販後安全対策及び再生医療等製品の臨床情報に基づく妥当性検証
再生医療等製品RMPについては、令和4年度に作成した再生医療等製品RMP指針(案)のたたき台に対する検討班委員や業界団体(FIRM,製薬協,MTJAPAN)等からのコメントについて取り纏めて改訂し、検討委員会を2回開催して議論した上で、規制当局と協議してさらに改訂を重ね、検討班委員からの意見及び確認を経て、「再生医療等製品リスク管理計画指針(案)」を作成した。一方、新規モダリティ製品が数多く登場する再生医療等製品を安全かつ有効に使用するためには、分かりやすい添付文書の構成が不可欠である。「再生医療等製品の電子化された添付文書の記載要領」等の改訂に向けて、産学官メンバーで構成される検討委員会において、令和4年度作成した素案に対する検討を行った。研究班の案を厚生労働省・医薬安全対策課に提出し、さらに同課において改訂後、令和5年10月6日より1ヶ月間の意見募集が行われた。4件の意見を受領し、概ね意見を反映する形で最終案が作成された。
4)医療機器サイバーセキュリティの市販後安全対策に関する研究
令和5年度は、産官学連携の下に検討班(CSWG)を設立し、医療機器CSの不具合報告事例、海外の規制状況について調査を進めると共に、医療機器CSに関する不具合報告の基本的考え方について検討を行った。本年度は、CSWGにて、海外の規制状況調査を行い、各国でのCSに関連した医療機器の不具合等報告制度、関連団体との情報共有状況、その他情報収集体制についてとりまとめた。医機連CSの不具合報告サブWGと連携して、医療機器CS関連の不具合報告事例として記載すべき内容について検討し、医療機器CSに関する不具合報告の基本的考え方(案)をまとめ、厚生労働省・医薬安全対策課に提出した。当該成果を受けて、令和6年1月15日付で、医薬安全対策課長通知(医薬安発0115 第2号)「医療機器サイバーセキュリティに関する不具合等報告の基本的考え方について」が発出された。
結論
各課題ともに当初の予定通り文書案の作成を行い、「新規格コネクタへの適切な切替え及び安全対策の実施における留意点について(案)」、「再生医療等製品リスク管理計画指針(案)」、「再生医療等製品の電子化された添付文書の記載要領(パブリックコメント用案)」、「医療機器サイバーセキュリティに関する不具合報告の考え方(案)」を厚生労働省に提出した。
公開日・更新日
公開日
2024-06-07
更新日
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