次期制度改正を見据えた医薬品市販後安全対策の再構築に関する研究

文献情報

文献番号
202324022A
報告書区分
総括
研究課題名
次期制度改正を見据えた医薬品市販後安全対策の再構築に関する研究
課題番号
21KC2006
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
成川 衛(学校法人北里研究所 北里大学 薬学部臨床医学(医薬開発学))
研究分担者(所属機関)
  • 下川 昌文(山陽小野田市立山口東京理科大学 薬学部薬学科)
  • 前田 英紀(明治薬科大学 レギュラトリーサイエンス研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
4,108,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、医薬品の市販後安全対策について、欧米等の規制や運用の具体的な状況、我が国における市販後安全対策の現状と問題点を網羅的に調査し、新たな市販後安全対策手法を提案することを目的とした。
研究方法
開始後2年度にわたる研究において、製薬企業を対象としたアンケート調査及びヒアリング調査等を実施し、企業側から見た医薬品市販後安全対策の現状と課題を網羅的に収集・分析した。並行して、米国及び欧州における市販後安全対策の関連規制と運用の状況を調査し、日本の規制との比較検討を行った。これらに基づき、研究最終年度は、規制当局関係者及び業界関係者とも意見交換を行いながら、我が国の今後の医薬品市販後安全対策のあり方について制度及び運用の両面から検討を行い、その再構築に向けた提案を、医薬品リスク管理計画、副作用症例等の報告を中心に取りまとめた。
結果と考察
我が国の医薬品市販後安全対策に係る現状を把握し、欧米との比較を交えつつ、問題事項の抽出と課題の整理を行った。その上で、規制当局関係者及び業界関係者とも意見交換を行いながら、今後のあり方について制度及び運用の両面から検討を行い、⑴医薬品リスク管理計画(RMP)
に基づいた市販後安全対策の仕組みの構築、⑵副作用症例等の報告制度の合理化を中心として、次期制度改正を見据えた医薬品の市販後安全対策の再構築に向けた提言を取りまとめた。
1 RMPについては、その再審査制度との関係、並びにGVP及びGPSP省令等との関係について整理する必要が生じており、RMPの策定・改訂及びそれに基づくリスク管理の実施に関する規定を法律本体に設け、RMPに基づいた医薬品の市販後安全対策の仕組みを構築することがその対応策として考えられる。RMPは、市販後に集積されていく情報を分析・評価しながら適時に更新されていくべきものであり、運用面の改善を図りながら、市販後安全対策のサイクルをより機動的に回し、その効果を高めていく必要がある。
⑵市販後の副作用症例等の報告については、未知・重篤の外国副作用症例情報について、複数企業からの重複した報告の回避などの視点から合理化のための提案を行った。また、感染症定期報告の課題に対して、報告の適時性、製薬企業及び行政双方にとっての業務の合理化の観点から改善策をまとめた。未知・非重篤又は既知・重篤の国内副作用症例情報の報告については、本研究で把握された課題を念頭に置きながら、特に上市から一定期間を経過した品目
における報告の必要性について継続的な検討が必要と考える。
結論
医薬品の安全対策を取り巻く環境が大きく変化していく中で、それらの特徴を捉えながら既存の制度と運用について必要な見直しを行い、各ステークホルダーにおいて安全対策に注がれるリソースの再配分を行うことにより、従来の効果を損なうことなく、市販後安全対策の全体としての底上げ・強化を図っていくことが重要である。

公開日・更新日

公開日
2024-07-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-07-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202324022B
報告書区分
総合
研究課題名
次期制度改正を見据えた医薬品市販後安全対策の再構築に関する研究
課題番号
21KC2006
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
成川 衛(学校法人北里研究所 北里大学 薬学部臨床医学(医薬開発学))
研究分担者(所属機関)
  • 下川 昌文(山陽小野田市立山口東京理科大学 薬学部薬学科)
  • 前田 英紀(明治薬科大学 レギュラトリーサイエンス研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品の安全対策を取り巻く環境が大きく変化していく中で、欧米等の規制や運用の具体的な状況、我が国の市販後安全対策の現状と問題点を網羅的に調査し、次期制度改正を見据えた新たな市販後安全対策手法を提案することを目的とした。

研究方法
3年間の研究期間の中で、製薬企業を対象としたアンケート調査及びヒアリング調査等を通した医薬品市販後安全対策の現状と課題の網羅的な把握と分析、並行して、米国及び欧州における市販後安全対策の関連規制と運用の状況を調査し、日本の規制との比較検討を行った。これらに基づき、規制当局関係者及び業界関係者とも意見交換を行いながら、我が国の今後の医薬品市販後安全対策のあり方について制度及び運用の両面から検討を行い、その再構築に向けた提案を、医薬品リスク管理計画、副作用症例等の報告を中心に取りまとめた。
結果と考察
我が国の医薬品市販後安全対策に関する改善策を整理し、提案した。その柱は、①RMP(医薬品リスク管理計画)に基づいた医薬品の市販後安全対策の仕組みの構築、②副作用症例等の報告制度の合理化である。
RMPについては、その再審査制度との関係、並びにGVP及びGPSP省令等との関係について整理する必要が生じており、RMPの策定・改訂及びそれに基づくリスク管理の実施に関する規定を法律本体に設け、RMPに基づいた医薬品の市販後安全対策の仕組みを構築することがその対応策として考えられる。RMPは、市販後に集積されていく情報を分析・評価しながら適時に更新されていくべきものであり、運用面の改善を図りながら、市販後安全対策のサイクルをより機動的に回し、その効果を高めていく必要がある。
市販後の副作用症例等の報告については、未知・重篤の外国副作用症例情報について、複数企業からの重複した報告の回避などの視点から合理化のための提案を行った。また、感染症定期報告の課題に対して、報告の適時性、製薬企業及び行政双方にとっての業務の合理化の観点から改善策をまとめた。未知・非重篤又は既知・重篤の国内副作用症例情報の報告については、本研究で把握された課題を念頭に置きながら、特に上市から一定期間を経過した品目における報告の必要性について継続的な検討が必要と考える。
結論
3年間の研究において、我が国の医薬品市販後安全対策に係る現状を把握し、欧米との比較を交えつつ、問題事項の抽出と課題の整理を行った。その上で、規制当局関係者及び業界関係者とも意見交換を行いながら、今後のあり方について制度及び運用の両面から検討を行い、医薬品リスク  管理計画(RMP)に基づいた市販後安全対策の仕組みの構築、副作用症例等の報告制度の合理化を中心として、次期制度改正を見据えた医薬品の市販後安全対策の再構築に向けた提言を取りまとめた。医薬品の安全対策を取り巻く環境が大きく変化していく中で、それらの特徴を捉えながら既存の制度と運用について必要な見直しを行い、各ステークホルダーにおいて安全対策に注がれるリソースの再配分を行うことにより、従来の効果を損なうことなく、市販後安全対策の全体としての底上げ・強化を図っていくことが重要である。                       先般の医薬品医療機器等法の改正では、改正法施行後5年を目途とした見直し条項が設けられている。本研究で得られた成果は、今後の制度改正の議論における基礎資料として活用されることが期待される。本研究では、データベース等の新たな市販後安全対策ツールの活用も視野に、欧米を中心とした海外における事例・動向の調査、現行の我が国の安全対策制度の分析を行い、それらに基づいてより進化した安全対策手法の検討・提案を行うことを目的としており、本研究の成果として提案された手法が今後の制度に組み込まれていくことによって、多様な情報を最適に処理できる次世代の市販後安全対策制度の構築が期待される。

公開日・更新日

公開日
2024-07-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202324022C

収支報告書

文献番号
202324022Z