心電図健診による長期にわたる疫学調査：Ｂｒｕｇａｄａ（ブルガダ）症候群の長期予後調査

文献情報

文献番号

200936114A

報告書区分

総括

研究課題名

心電図健診による長期にわたる疫学調査：Ｂｒｕｇａｄａ（ブルガダ）症候群の長期予後調査

研究課題名（英字）

-

課題番号

H21-難治・一般-059

研究年度

平成21(2009)年度

研究代表者(所属機関)

青沼　和隆(国立大学法人筑波大学　大学院人間総合科学研究科疾患制御医学循環器内科)

研究分担者(所属機関)

関口　幸夫(国立大学法人筑波大学　大学院人間総合科学研究科疾患制御医学循環器内科)
村越　伸行(国立大学法人筑波大学　大学院人間総合科学研究科疾患制御医学循環器内科)
夛田　浩(国立大学法人筑波大学　大学院人間総合科学研究科疾患制御医学循環器内科)
入江　ふじこ(茨城県保健福祉部保健予防課健康危機管理対策室（茨城県保健福祉部）)
西連地　利己(獨協医科大学・公衆衛生学講座（獨協医科大学）)
磯　博康(大阪大学大学院　医学系研究科　予防環境医学)
山岸　良匡(筑波大学大学院　社会健康医学)
谷川　武(愛媛大学大学院　公衆衛生・健康医学)
北村　明彦(大阪府立健康科学センター　循環器疾患の疫学)
岡田　武夫(大阪府立健康科学センター　公衆衛生)

研究区分

厚生労働科学研究費補助金疾病・障害対策研究分野難治性疾患克服研究

研究開始年度

平成21(2009)年度

研究終了予定年度

平成21(2009)年度

研究費

20,000,000円

研究者交替、所属機関変更

-

研究報告書（概要版）

研究目的

本研究では、Brugada (ブルガダ)症候群の疫学的実態を評価し、本邦における有病率・新規発症率・臨床背景・長期の自然予後を把握すること、さらに、突然死や重篤な心血管イベントに対するリスク層別化を行うことでBrugada症候群（特に無症候性）に対する治療の適応基準を明確化することを目的とした。

研究方法

1969年から継続しているCirculatory Risk in Communities Study(CIRCS)コホートの4地域の住民約10000名を対象とした。平成21年度は茨城県協和町で昭和58年から63年までの4年間に健診で心電図検査を受診した40?69歳の男女4113名（男性1768名、女性2345名）を解析した。対象者の心電図を非ブルガダ心電図群、典型的Brugada心電図群（Type I及びType II）、非典型的Brugada心電図群（CovedまたはSaddle-back型でJ点が0.1?0.2mV未満もしくはType III（J点が0.2mV以上でST上昇が1mV未満））の3群に分類した。これらの対象者を2004年末まで追跡し、追跡期間内の急性死の発症率を比較した。

結果と考察

Brugada型心電図の有病率は、男性で典型例が2.2%、非典型例で2.8%、女性では典型例0.2％、非典型例0.5%であり、Brugada様心電図全体の85％は男性に認められた。急性死の発症率は、非Brugada心電図群4009例中61例（1.5%）と比較し、典型的Brugada心電図群43例中1例（2.3％）、非典型的Brugada心電図群61例中3例（4.9%）と、非典型例で急性死が多い可能性が示された。これまでの報告では、無症候性Brugada症候群の予後は比較的良好であると報告されており、我々の特発性心室細動研究会（J-IVFS）の調査でも、無症候性Brugada症候群172例の平均44ヶ月のフォローアップ期間中、突然死・心室細動の心事故は2例（1.2%）と低率であった。しかしながら、長期予後に関しては不明であり、今後さらなるデータの解析が必要である。

結論

平成21年度まで解析を終えた約4200例の解析結果から、典型的Brugada心電図に比し、むしろ非典型的Brugada心電図に突然死例が多く存在していることが示唆された。今後、解析対象を拡大し、一般住民におけるBrugada症候群の有病率や長期予後を明らかにする。