小児交互性片麻痺の疫学と病因および治療法開発の研究疾病の実態把握のための奨励研究

文献情報

文献番号
200936108A
報告書区分
総括
研究課題名
小児交互性片麻痺の疫学と病因および治療法開発の研究疾病の実態把握のための奨励研究
課題番号
H21-難治・一般-053
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
佐々木 征行(国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科)
研究分担者(所属機関)
  • 斎藤 義朗(国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
A.研究目的
小児交互性片麻痺(AHC)は、非常に稀な疾患である.その病因も確定していないし、治療法も確立されていない. 本研究では、以下を目指す. (1)我が国での患者発生状況を調査.(2)病因・病態を解明.(3)治療法開発

研究方法
B.研究方法
(1)疫学的研究
非常に稀な疾患であるために、全国の一般病院を対象にしたアンケート調査は行わなかった.(根拠:非常に特殊な疾患であり、小児神経専門医が診療していることが予想されたから) 行ったのは、以下の①?③である. ①小児交互性片麻痺患者会(AHCの会)へのアンケート調査.②小児神経学会評議員(220名)への患者調査.③小児神経症例検討会(蔵王セミナー)メーリングリスト(小児神経医500名以上が参加)による患者調査
(2)病因・病態研究
AHCの病因は未確定である。現在のところ、多くの仮説がある。1)イオンチャンネル説、2)片頭痛説、3)ミトコンドリア異常説、4)血管内皮異常説、などが主である。
今回我々が検討したのは、 以下の通りである。①てんかん発作と発達予後との関連.②皮内微小動脈の微細構造研究 (血管内皮異常説の検証).③血中神経ペプチドと炎症性物質の検討(片頭痛との共通点の有無についての検討).④イオンチャンネル遺伝子変異の検討(Na、Caチャンネルなどの異常についての検討)
結果と考察
1.この調査より合計38名の患者が確認できた。3歳より40歳まで広く分布していた。同年齢は0から2名であった。年間の発症数は、これを大きく超えることはないだろうと推測される。
2.皮内微小動脈の微細構造研究
 保護者から承諾の得られた典型的AHC患者6例が参加した。検討した6例全例で、微小血管壁の電子顕微鏡による観察を行った.その結果、(1)内皮細胞と平滑筋細胞に空胞なし.(2)平滑筋細胞の接着に緩みは認めず.(3)アポトーシスした核(オスミウム好性沈着物:granular osmiophilic materials)も認めず. 以上から、明らかな異常を示す所見はまったく得られなかった.既報の研究報告結果を追認することはできなかった.
結論
我が国での発症数は年間数例と非常に稀な疾患である。現時点では病因は分からない。今後神経ペプチドとチャンネル遺伝子を中心に検討する。

公開日・更新日

公開日
2010-05-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-04-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200936108C