薬剤師・薬局における災害時等対応についての調査研究

文献情報

文献番号
202324006A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤師・薬局における災害時等対応についての調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21KC1006
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
江川 孝(福岡大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 渡邉 暁洋(兵庫医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、災害時において適切に対応できる薬剤師の養成に資するよう、近年の災害発生状況のみならず新型コロナウイルス感染症等の新興感染症の流行状況を踏まえながら、薬剤師・薬局として対応すべき取組に焦点を当てて災害対応マニュアルの改訂を行うものである。令和5年度は全国47都道府県の薬剤師会を対象にしたアンケート調査結果をもとに作成した改訂版「薬剤師のための災害対策マニュアル」の目次を基盤にドラフト版を作成し、全国の都道府県薬剤師会および都道府県病院薬剤師会から広くパブリックコメントを募集するとともに地域の災害薬事コーディネーター研修にてクロノロジー共有システムを試験的に運用してその有用性を検証する。
研究方法
2021年度に実施した各都道府県の薬剤師会を対象として災害対応状況についてのアンケート調査結果を元に確定した改訂版「薬剤師のための災害対策マニュアル」の目次を基盤として、公益社団法人日本薬剤師会(高知県薬剤師会常務理事 西森郷子、一般社団法人宮城県薬剤師会会長 山田卓郎、公益社団法人熊本県薬剤師会会長 富永孝治 、公益社団法人日本薬剤師会災害対策委員会委員長 越智哲夫)、一般社団法人日本病院薬剤師会(東京大学医学部附属病院 高山和郎)および医薬品関係団体(株式会社バイタルネット相談役 一條宏)の意見を聴取して研究班にて「薬剤師のための災害対策マニュアル」のドラフト版1.0を策定した。研究班で修正を加えたドラフト版1.1は、日本薬剤師会および日本病院薬剤師会から意見を求め策定されたドラフト版2.0は、令和5年度日本薬剤師会災害対策全国担当者会議にて公開され、全国の都道府県薬剤師会および都道府県病院薬剤師会からパブリックコメントを募集した後に令和6年度能登半島地震での薬剤師の活動を反映させて修正を重ねた。
佐賀県、兵庫県および沖縄県で試験的に開催された災害薬事コーディネーター研修は、①我が国の災害医療提供体制、②災害時の共通言語、③地域の本部での調整活動、④状況把握と資源の再配分、でプログラムが構成される。そこで、災害薬事コーディネーター研修のプログラム③の「地域の本部での調整活動」にて、受講者にスプレッドシートのクロノロジー共有システムを用いた災害時活動記録の演習を行い、研修参加者を対象にクロノロジー共有システムの必要性(有用度)、操作性、将来性、維持管理コスト、情報共有に対する貢献度について満足度調査(CS分析)を行った。
結果と考察
本研究では、全国の都道府県の薬剤師会を対象として実施したアンケート調査結果から、作成した改訂版「薬剤師のための災害対策マニュアル」の目次から、ドラフト版1.0を作成して日本薬剤師会災害対策委員会および日本病院薬剤師会災害対策委員会に意見を求めた。日本薬剤師会災害対策委員会および日本病院薬剤師会災害対策委員会から意見を募集し、追記・修正を加えてドラフト版2.0とした。ドラフト版2.0は、令和5年度日本薬剤師会災害対策全国担当者会議にて公開され、全国の都道府県薬剤師会および都道府県病院薬剤師会からパブリックコメントを募集した後に令和6年度能登半島地震での薬剤師の活動を反映させて修正を重ね、改訂版「薬剤師のための災害対策マニュアル」を完成させた。また、災害時の記録ツールであるクロノロジー共有システムを試験的に災害薬事コーディネーター研修で運用した。
結論
改訂版「薬剤師のための災害対策マニュアル」は、第1章「医療機関の薬剤部門」、第2章「薬局」、第3章「地域薬剤師会(支部薬剤師会)」、第4章「都道府県薬剤師会・都道府県病院薬剤師会」、第5章「日本薬剤師会」、第6章「日本病院薬剤師会」、第7章「災害時の薬剤師の救援活動」、第8章「支援薬剤師の標準的研修」及び「参考資料」の構成で最終稿とした。各章での記載すべき内容は、各章毎に指揮と連携(Command & Control)、安全(Safety)、コミュニケーション(Communication)及び評価(Assessment)の観点で作成され、全国の薬剤師会および病院薬剤師会のパブリックコメントを反映して完成された。

公開日・更新日

公開日
2025-04-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-06-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202324006B
報告書区分
総合
研究課題名
薬剤師・薬局における災害時等対応についての調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21KC1006
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
江川 孝(福岡大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 渡邉 暁洋(兵庫医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成23年度厚生労働省科学研究「薬局及び薬剤師に関する災害対策マニュアルの策定に関する研究」において、災害時に薬剤師・薬局が行うべき活動や平時の災害への備え等については、「薬剤師のための災害対策マニュアル」として取りまとめられている。しかし、約10年が「薬剤師のための災害対策マニュアル」の策定から経過するなかで、地震や台風、集中豪雨による水害などの大規模災害時における医薬品供給体制の確保や薬剤師の対応等の現状や関係法令の改正状況を鑑み、必要な見直しを行うことは緊迫した課題である。また、近年、都道府県によっては、被災地域に設置される保健医療調整本部において業務主管部局と連携して対応する医薬品等の医療物資の供給に精通する担当者(いわゆる災害薬事コーディネーター)の養成等が進められているが、全国の都道府県に薬事コーディネーターが配置されていない状況である。そこで、本研究は、災害時において適切に対応できる薬剤師の養成に資するよう、近年の災害発生状況のみならず新型コロナウイルス感染症等の新興感染症の流行状況を踏まえながら、薬剤師・薬局として対応すべき取組に焦点を当てて災害対応マニュアルの改訂を行うものである。
研究方法
2021年度は、災害対応マニュアル改定をするための全国の薬剤師会の災害対応状況を把握するために全国47都道府県の薬剤師会に対してアンケート調査を行った。2022年度は2021年度に実施した全国47都道府県の薬剤師会を対象にしたアンケート調査結果を解析し、改訂版災害対応マニュアルの目次を作成するとともに災害時に使用される医薬品の薬効サーベイランスツールである薬剤版J-SPPED のExcel版を地域の災害薬事コーディネーター研修にて有用性を検証した。さらに、2023年度は全国47都道府県の薬剤師会を対象にしたアンケート調査結果をもとに作成した改訂版「薬剤師のための災害対策マニュアル」の目次を基盤にドラフト版を作成し、全国の都道府県薬剤師会および都道府県病院薬剤師会から広くパブリックコメントを募集するとともに地域の災害薬事コーディネーター研修にてクロノロジー共有システムを試験的に運用してその有用性を検証した。
結果と考察
2021年度の本研究では、全国の薬剤師会に災害時の薬剤師の活動や行政機関・卸業との連携、各都道府県(行政)の災害対策マニュアル整備についてアンケート調査を行った。アンケートは、43道府県薬剤師会から回答があり、回収率91.5%(43/47)であった。全国の都道府県の薬剤師会を対象として実施したアンケート調査結果から、作成した改訂版「薬剤師のための災害対策マニュアル」の目次から、ドラフト版1.0を作成して日本薬剤師会災害対策委員会および日本病院薬剤師会災害対策委員会に意見を求めた。日本薬剤師会災害対策委員会および日本病院薬剤師会災害対策委員会から意見を募集し、追記・修正を加えてドラフト版2.0とした。ドラフト版2.0は、令和5年度日本薬剤師会災害対策全国担当者会議にて公開され、全国の都道府県薬剤師会および都道府県病院薬剤師会からパブリックコメントを募集した後に令和6年度能登半島地震での薬剤師の活動を反映させて修正を重ね、改訂版「薬剤師のための災害対策マニュアル」を完成させた。また、災害時に使用される医薬品の薬効アセスメントツールである薬剤版J-SPEEDや災害時の記録ツールであるクロノロジー共有システムを試験的に災害薬事コーディネーター研修で運用した。研修参加者を対象にクロノロジー共有システムの必要性(有用度)、操作性、将来性、維持管理コスト、情報共有に対する貢献度について満足度調査を行った結果、第1象限の重要維持項目には、”情報共有に対する貢献度”の項目が挙げられ、第2象限の維持項目は、”必要性”の項目が挙げられた。また、第3象限の改善項目には、”維持管理コスト”の項目が挙げられ第4象限の重要改善項目には”操作性”の項目が挙げられた。
結論
本研究で取り組んだ「薬剤師のための災害対策マニュアル」は、第1章「医療機関の薬剤部門」、第2章「薬局」、第3章「地域薬剤師会(支部薬剤師会)」、第4章「都道府県薬剤師会・都道府県病院薬剤師会」、第5章「日本薬剤師会」、第6章「日本病院薬剤師会」、第7章「災害時の薬剤師の救援活動」、第8章「支援薬剤師の標準的研修」及び「参考資料」の構成で最終稿とした。各章での記載すべき内容は、各章毎に指揮と連携(Command & Control)、安全(Safety)、コミュニケーション(Communication)及び評価(Assessment)の観点で作成され、全国の薬剤師会および病院薬剤師会のパブリックコメントを反映して改訂された。

公開日・更新日

公開日
2025-04-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202324006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究で取り組んだ「薬剤師のための災害対策マニュアル」は、各章毎に指揮と連携(Command & Control)、安全(Safety)、コミュニケーション(Communication)及び評価(Assessment)の観点で作成され、全国の薬剤師会および病院薬剤師会のパブリックコメントを反映して改訂された。その成果は、ホームページで公開され、国内外から大きな反響があった。また、改訂版マニュアルの災害処方箋様式は令和6年度能登半島地震の救護活動で用いられた。
臨床的観点からの成果
特記事項なし
ガイドライン等の開発
「薬剤師のための災害対策マニュアル」を改訂した。本マニュアルは、令和5年度日本薬剤師会災害対策全国担当者会議にて公開され、全国の都道府県薬剤師会および都道府県病院薬剤師会からパブリックコメントを募集した後に令和6年度能登半島地震での薬剤師の活動を反映させて修正を重ねた。来年度から全国の地方自治体に普及され、災害薬事コーディネーター研修で活用されることとなった。
その他行政的観点からの成果
2021年度に実施した各都道府県の薬剤師会を対象として災害対応状況についてのアンケート調査を実施し、災害対策マニュアルの追記・修正項目を明らかにした。この結果は令和5年度日本薬剤師会災害対策全国担当者会議の資料として活用され、薬事コーディネーター育成の効果的な推進に貢献した。
その他のインパクト
薬剤師のための災害対策マニュアルの改訂項目についてPHARMACY NEWSBREAK(2023年3月31日)に掲載された。
災害薬事コーディネーターの標準的研修についてPHARMACY NEWSBREAK(2024年3月19日)に掲載された。
災害処方箋の新しい様式についてPHARMACY NEWSBREAK(2024年3月19日)に掲載された。
研究成果をホームページ「災害薬事プロジェクト」を作成して公開した。

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
33件
学会発表(国際学会等)
5件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
マニュアルの改訂1件
その他成果(普及・啓発活動)
58件
災害対応研修講師・講演36件、ホームページ1件、マスコミ報道21件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2025-04-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
202324006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,500,000円
(2)補助金確定額
4,491,558円
差引額 [(1)-(2)]
8,442円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,088,974円
人件費・謝金 8,908円
旅費 1,381,895円
その他 1,011,781円
間接経費 1,000,000円
合計 4,491,558円

備考

備考
業者選定により研究費の節約ができたため差異が生じた

公開日・更新日

公開日
2025-04-11
更新日
-