文献情報
文献番号
200936103A
報告書区分
総括
研究課題名
エーラスダンロス症候群(主に血管型および新型)の実態把握および診療指針の確立
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-難治・一般-048
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
古庄 知己(国立大学法人 信州大学 医学部附属病院遺伝子診療部)
研究分担者(所属機関)
- 福嶋 義光(国立大学法人 信州大学医学部遺伝医学・予防医学講座)
- 籏持 淳(獨協医科大学皮膚科)
- 渡邉 淳(日本医科大学附属病院遺伝診療科、生化学・分子生物学)
- 松本 直通(横浜市立大学医学部遺伝学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
エーラスダンロス症候群(EDS)は、皮膚、関節、血管など結合組織の脆弱性に基づく遺伝性疾患である。その原因と症状から、6病型に分類されており、全病型を合わせた推定頻度は約1/5000人とされている。本研究の目的は、生命に関わる深刻な合併症を呈し診療上重要な血管型EDSおよび最近我々が疾患概念を確立した新型EDSを中心に、本邦初の診療に関する実態調査と遺伝子解析を行うことにより、EDSの診療実態を把握し、診療指針を構築することである。
研究方法
<血管型>現在日本において本症の確定診断のための生化学分析・遺伝子解析を行っている3施設である獨協医科大学皮膚科、日本医科大学附属病院遺伝診療科、生化学・分子生物学、国立循環器病研究センター研究所分子生物学部がこれまで確定診断した全症例を抽出し、その臨床像を分析した。また、血液由来ゲノムDNAを用いた高解像度融解曲線分析法の有用性を検討した。
<新型>合計10例を発見し、研究協力の承諾を得られた6例の臨床像を分析した。また、両両親血族婚の2家系の検体を用いたhomozygosity mappingにより、原因遺伝子の同定を試みた。
<新型>合計10例を発見し、研究協力の承諾を得られた6例の臨床像を分析した。また、両両親血族婚の2家系の検体を用いたhomozygosity mappingにより、原因遺伝子の同定を試みた。
結果と考察
<血管型>36家系41症例が確認され、男性23例、女性18例、診断時年齢は14-54歳であった。動脈合併症(瘤、解離、破裂)24例、腸管破裂7例、肺合併症(喀血、気胸、出血)20例であった。変異は、ミスセンス変異22例、スプライス変異16例であった。また、高解像度融解曲線分析法の結果、従来型ではmRNA decayにより検出できなかったナンセンス変異の同定に成功した。
<新型>原因遺伝子Aを同定し、機能解析および病理学的検討の結果、遺伝子Aの変異により、コラーゲン線維束の不安定化が生じることが病態の中心であることが明らかになった。
<新型>原因遺伝子Aを同定し、機能解析および病理学的検討の結果、遺伝子Aの変異により、コラーゲン線維束の不安定化が生じることが病態の中心であることが明らかになった。
結論
<血管型>現時点での本症患者の臨床像の概要を把握することができ、肺合併症が多い傾向が示唆された。また、高解像度融解曲線分析法は、本症の診断率向上に寄与することが期待される新たな解析法であることが明らかになった。
<新型>本症候群は、遺伝子Aの変異に基づき、コラーゲン線維束の不安定化を介して、顔貌上の特徴、先天性多発関節拘縮、進行性の皮膚・関節弛緩、および進行性の多系統臓器脆弱性に伴う種々の合併症を呈する疾患である。
<新型>本症候群は、遺伝子Aの変異に基づき、コラーゲン線維束の不安定化を介して、顔貌上の特徴、先天性多発関節拘縮、進行性の皮膚・関節弛緩、および進行性の多系統臓器脆弱性に伴う種々の合併症を呈する疾患である。
公開日・更新日
公開日
2010-05-26
更新日
-