文献情報
文献番号
200936101A
報告書区分
総括
研究課題名
自発性低血糖症の実態把握のための全国調査
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-難治・一般-046
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
内潟 安子(東京女子医科大学(医学部) 糖尿病センター第三内科)
研究分担者(所属機関)
- 岩本 安彦(東京女子医科大学(医学部) 糖尿病センター第三内科 )
- 田嶼 尚子(東京慈恵会医科大学糖尿病代謝内科)
- 西村 理明(東京慈恵会医科大学糖尿病代謝内科)
- 吉岡 成人(北海道大学医学部病態内科学講座第二内科)
- 伊藤 光泰(藤田保健衛生大学医学部内分泌代謝内科)
- 花房 俊昭(大阪医科大学医学部第1内科)
- 荒木 栄一(熊本大学医学部内分泌代謝内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,490,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
目的は、現在の日本における自発性低血糖症の実態調査をおこない、20年前の調査と比較し、対策を講ずることにある。
研究方法
対象の自発性低血糖症の選択基準は、血糖値が低いこと(70mg/dl以下)、中枢神経および自律神経症状からなる低血糖症が存在すること、糖質摂取でこの症状がなくなることを中心に、紛らわしいものは主治医の判断とし、明らかな血糖降下薬やインスリン注射による低血糖患者は除外した。過去の同様の調査と同じく、過去3年間の該当患者を対象とした。東京女子医科大学糖尿病センター倫理委員会の承認を受けた後、200床以上の病院内科部長あて、および大学病院内科および小児科教授あてに、調査依頼状を送付した。
結果と考察
2009年8月から2010年1月31日までに、80施設310症例の調査用紙依頼を受け、207症例が登録できた。最も多いのはインスリノーマ(54/207、全体の26.0%)であった。これまでの2回の調査の結果と同じである。第2位は、インスリン自己免疫症候群であり(38/207、全体の18.4%)、これまでの調査では第3位であったのが、第2位に上がったことがわかった。第3、4、5位は汎下垂体性機能低下症をはじめとするインスリン拮抗ホルモン低下症(20/207、全体の9.6%)反応性低血糖症(18/207、全体の8.7%)、アルコール性低血糖症(9/207、全体の4.3%)、膵外腫瘍による低血糖症(NICTH)は8例であり(全体の3.8%)、順位は6位であった。
関連する薬物やサプリメントとして、α-リポ酸、ブシラミン、コハク酸シベゾリン、男根増進薬、アルコール、ベシル酸アムロジピン、バルサルタン、カルベジロールが登録された。α-リポ酸(17例)とブシラミン(1例)はSH基を持ち、インスリン自己免疫症候群を発症していた。バルサルタン、カルベジロール以外の薬物は薬物自体の薬効による説明でき、男根増進薬にはSU薬が包含しているといわれる。
関連する薬物やサプリメントとして、α-リポ酸、ブシラミン、コハク酸シベゾリン、男根増進薬、アルコール、ベシル酸アムロジピン、バルサルタン、カルベジロールが登録された。α-リポ酸(17例)とブシラミン(1例)はSH基を持ち、インスリン自己免疫症候群を発症していた。バルサルタン、カルベジロール以外の薬物は薬物自体の薬効による説明でき、男根増進薬にはSU薬が包含しているといわれる。
結論
インスリノーマは20年前の同様の全国調査でも原因疾患の第1位であったが、今回も同様であった。注目すべき点は、インスリン自己免疫症候群患者数が増加したことである。その誘因物質の種類に20年前と比べて変化が見られたことである。以前はバセドウ病治療薬のチアマゾールが誘因物質としてもっとも多かったが、今回はサプリメントであるα―リポ酸が誘因の患者数がもっとも多かった。
公開日・更新日
公開日
2010-06-14
更新日
-