食肉中のカンピロバクターの殺菌法と生菌数の新規定量法の構築

文献情報

文献番号
202323054A
報告書区分
総括
研究課題名
食肉中のカンピロバクターの殺菌法と生菌数の新規定量法の構築
研究課題名(英字)
-
課題番号
23KA3003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
畑中 律敏(大阪公立大学 大学院獣医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 山崎 伸二(大阪公立大学大学院 獣医学研究科 獣医学専攻 感染症制御学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
2,084,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の細菌性食中毒の中でカンピロバクター食中毒は、事件数・患者数とも常に上位に位置し問題となっている。カンピロバクター食中毒の多くは、本菌で汚染された食肉を加熱不十分な状態で喫食することが原因と考えられている。また、我が国には「鳥刺し」や「たたき」といった半生の状態で喫食する食文化もあり、食中毒の発生リスクが高まる。そのため、カンピロバクター食中毒を減らすためには食肉の汚染をいかに減らすかが重要であり、そのためには迅速に生菌を検出・定量し消毒薬等で殺菌および評価する方法を確立することが重要である。しかしながら、消毒薬の評価は多くの場合、試験管内で対象菌と薬剤を混和した後に生菌数を計測することで行われ、食品中や食肉処理現場での評価は十分とはいえない。その背景には生菌と死菌を区別するためには培養法に依存せざるを得なく、迅速性や感度の問題もある。そこで本研究では、鶏肉のカンピロバクター汚染に焦点をあて、食鳥処理場や調理現場にも応用できる方法を提案するための基盤データの収集を目的に、培養法では定量できない微量の生菌のみを迅速に定量するDroplet Digital PCR (ddPCR)法の構築を行うとともにカンピロバクターを汚染させた鶏肉を塩素系消毒薬で処理し、殺菌効果の検討を行う。
研究方法
本年度(令和5年度)の目標としてCampylobacter jejuni, C. coliを特異的に検出・定量するためのddPCR系の構築を試みた。ddPCR構築にあたって、C. jejuni, C. coliに普遍的に存在し、かつ1菌体当たり1コピーしか存在しない細胞膨化致死毒素(cdt)遺伝子をターゲットにPrimer/Probeを設計した。ddPCRの系を構築し特異性を検証した。さらに、死菌が検出されなくなるようにPMA処理のプロトコールの構築を試みた。
結果と考察
構築したddPCRについては、C. jejuni, C. coli各20菌株ずつ(臨床分離株、ニワトリ、ウシ由来株)他のCampylobacter属菌5菌種、および近縁種3菌種計20菌株、および他の腸内細菌科菌群12菌種40菌株を用い感度・特異度を検証した。構築したddPCRの感度・特異度は共に100%であった。さらに、同一のテンプレートを用いreal-time PCRとddPCRで結果を比較すると、ddPCRの方がより感度よく多量のCampylobacterを検出できることが分かった。さらに、PMAを用い生菌のみを感度よく検出・定量できるddPCR(PMA-ddPCR)の条件を見出しており、次年度に向けて様々な由来の菌株を用い評価を行っている
結論
当初の研究計画通り、研究はおおむね順調に進んでおりC. jejuni, C. coliを特異的に検出かつ絶対定量をすることができるddPCRを構築した。さらに、死菌のDNAを失活させることができるPMAを用いて生菌のみを検出できるPMA-ddPCRの系を構築した。さらに、消毒薬等にて処理した菌体に対しても本PMA-ddPCR法が適用できるか現在検証中である。

公開日・更新日

公開日
2024-12-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-12-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202323054Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,500,000円
(2)補助金確定額
2,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,084,000円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 416,000円
合計 2,500,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-12-23
更新日
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