わが国における多発性内分泌腫瘍症の診療実態把握とエビデンスに基づく診療指針の作成

文献情報

文献番号
200936092A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国における多発性内分泌腫瘍症の診療実態把握とエビデンスに基づく診療指針の作成
課題番号
H21-難治・一般-037
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
櫻井 晃洋(信州大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 眞一(福島県立医科大学 )
  • 内野眞也(野口病院 )
  • 小杉 眞司(京都大学大学院医学研究科 )
  • 岡本 高宏(東京女子医科大学)
  • 今井 常夫(名古屋大学 医学部)
  • 河本 泉(大阪府済生会野江病院)
  • 花崎 和弘(高知大学 医学部 )
  • 清水 一雄(日本医科大学 )
  • 山田 正信(群馬大学 医学部附属病院)
  • 梶 博史(神戸大学 医学部附属病院)
  • 三浦 大周(虎の門病院 )
  • 福嶋 義光(信州大学 医学部 )
  • 今村 正之(大阪府済生会野江病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
12,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
多発性内分泌腫瘍症は若年期に発症し,生涯にわたって多数の臓器に新たな病変が出現するが,特徴的な病変がなく診断にいたっていない例が多い.本研究は日本人の本症患者の臨床的特徴を明らかにし,わが国の実情に即した診療指針の策定を目指すものである.
研究方法
・単なる時間断面での診療情報ではなく,今後長期にわたって追跡調査が行なえるよう,収集する患者情報の内容を検討した.
・本症のような稀少疾患では可能な限り多くの症例情報を集積することが重要であり,関連学会員に登録を依頼するパンフレットを作成し,学会を通じて会員に送付した.
・研究班員が担当を分担し,登録された症例情報をもとに日本人患者の臨床的特徴を解析した.
・本疾患の患者・家族が現在どのような支援を必要としているかを明らかにするため,患者とその配偶者を対象としたアンケート調査を行なった.
結果と考察
・臨床情報入力フォーマットを改訂することにより,診断の経緯,内科・外科治療の詳細,病理診断,術後治療,経過,遺伝子情報等を網羅し,診療実態の解析と長期にわたる症例追跡および海外データとの直接比較が行なえる形が整った.
・関連学会の協力のもとに症例調査を行い,平成22年3月時点で,MEN1 396例,MEN2 244例の報告を得るとともに,うちMEN1 313例,MEN2 217例について詳細な臨床情報の登録を完了した.
・研究分担者が項目ごとに登録情報の担当部分を解析し,日本人患者の臨床的特徴を明らかにした.
・医療者の認識を高め,患者情報登録を促進する目的で,3回のシンポジウムを開催するとともに,医療者と患者・家族への情報提供のためのホームページを公開した.
・本症患者および家族を対象とするアンケート調査により,患者・家族が求める支援の内容を明らかにした.

今年度の本研究班の活動により,わが国の本症患者の臨床情報を集積・解析し,長期追跡できる体制を構築した.また医療者および市民への啓発活動を展開し,多くの成果を得た.今後データベースのさらなる充実や海外のデータとの比較などを通じ,日本の医療体制と日本人患者の臨床的特徴を加味した,診療指針を作成する予定である.
結論
多発性内分泌腫瘍症の診療実態把握を目的とした患者情報登録システムの構築,患者情報入力フォーマットの改良,啓発目的のシンポジウムなど,いずれも順調に推進できた.関連学会の支援を受け,より大規模に症例調査などの活動を継続する体制が整備できた.

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200936092C

成果

専門的・学術的観点からの成果
多発性内分泌腫瘍症の自然史,治療経過等を把握するためには時間断面における情報のみならず,経時的に患者の健康状態を追跡できる体制が必要である.本研究班では全国からの症例登録と,それを追跡するためのフォーマットを構築し,運用を開始した.今後長期にわたってこのシステムを利用することで,国内の本症診療の信頼性の高い実態把握が可能となった.
臨床的観点からの成果
関連学会員への協力依頼等を通じて国内の患者情報の登録を進め,MEN1,MEN2それぞれについて,約400例,300例の報告が得られた.二次調査による詳細な臨床情報が得られた分についての解析では,海外での報告にくらべ膵インスリノーマや胸腺腫瘍の頻度が高いなど,日本人患者の特徴が散見されている.また症状発現から診断確定までに長期間を要している例が多く,本症の認知度を改善することによって早期発見が実現する可能性が示されている.
ガイドライン等の開発
日本内分泌学会,日本内分泌外科学会,日本甲状腺外科学会,日本家族性腫瘍学会の後援を得て診療指針作成のためのワーキンググループを結成した.実際の作成活動は平成22年度以降に展開する予定である.
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
一般市民および医療者を対象としたシンポジウムを以下の日程で開催した.
平成21年11月14日 東京
平成21年11月28日 高松
平成22年1月23日 仙台
研究班の活動内容を発信する目的でホームページ http://men-net.org を開設した.

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
17件
その他論文(英文等)
4件
学会発表(国内学会)
7件
学会発表(国際学会等)
6件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-