経口曝露後のナノリスク解析に資するナノマテリアルの内分泌代謝への影響解析

文献情報

文献番号
202323042A
報告書区分
総括
研究課題名
経口曝露後のナノリスク解析に資するナノマテリアルの内分泌代謝への影響解析
研究課題名(英字)
-
課題番号
21KA3005
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
東阪 和馬(大阪大学 高等共創研究院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
1,753,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、食品用途に使用される種々物性のナノマテリアルについて、その経口曝露後の動態情報を考慮しつつ、(1)内分泌代謝機能に対するハザード解析と共に、(2)エネルギー代謝制御に着目した、生体応答メカニズムの解明を試みる。そのうえで、(3)ナノマテリアルの物性-動態-ハザードの連関解明・閾値追究を図り、統合的に評価することで、ナノマテリアルのリスク解析に資する安全性情報の集積を目指す。
研究方法
既に数多くの食品等に実用化されている非晶質ナノシリカを用い、粒子径の違いを考慮しつつ、非晶質ナノシリカ曝露による内分泌代謝機能におよぼす影響を評価した。
結果と考察
R4年度研究では、粒子径30 nmの非晶質ナノシリカ(nSP30)投与群において、対照群と比較して、経口ブドウ糖負荷試験後の血糖値の低下傾向を示す可能性が示唆された(統計学的な有意差は認めていない)。一方で、非晶質ナノシリカの投与量依存性を評価することで、本結果について精査する必要があると共に、膵臓からのインスリン分泌に対する負の影響を追究する必要性が考えられた。そこでまず、nSP30、あるいは、粒子径100 nmの非晶質ナノシリカ(nSP100)をICRマウスに7日間連日経口投与後(2.5 mg/mouse)、一般毒性学的観点から、曝露局所である小腸と大腸、ならびに、インスリン分泌に働く膵臓での病理解析を実施した。解析の結果、nSP30、あるいは、nSP100投与により、小腸、大腸、膵臓において特筆すべき組織学的変化は認めらなかった。
次に、nSP30の投与量依存性について評価するため、nSP30(0.1、0.5、2.5 mg/mouse)の最終投与後に、16時間の絶食下においてブドウ糖溶液を経口投与し、投与前(0分)、投与後15分、45分、120分における血糖値を測定した。その結果、nSP30投与群における血糖値の時間推移や、試験中の血糖におけるArea Under the Curveに有意な差は認められなかった。さらに、非晶質ナノシリカの経口曝露によるインスリン抵抗性への影響を評価するため、nSP30、および、nSP100を7日間連日経口投与し(2.5 mg/mouse)、最終投与後にインスリン負荷試験を実施した。その結果、いずれの非晶質ナノシリカを投与した際にも、対照群と比較して、血糖の絶対値の推移、ならびに、インスリン負荷前の血糖を100%として算出した相対的な変化に有意な差はなく、インスリン感受性の差は認められなかった。従って、本投与条件下において、非晶質ナノシリカが内分泌代謝機能に影響をおよぼさないことが示された。
結論
本研究の成果は、ナノマテリアル曝露と内分泌代謝機能に関する科学的根拠の収集につながる点で、今後のリスク解析の是非を議論するうえで重要な知見となり得る、ハザード情報の集積、およびその理解に直結するものである。また、本研究の成果ならびに関連する研究の成果については、国内外の論文や学会で発表することで、成果公開や情報発信を積極的に進めており、他の研究者との意見交換を図るなど、当初計画通り進めている。

公開日・更新日

公開日
2024-10-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-10-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202323042B
報告書区分
総合
研究課題名
経口曝露後のナノリスク解析に資するナノマテリアルの内分泌代謝への影響解析
研究課題名(英字)
-
課題番号
21KA3005
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
東阪 和馬(大阪大学 高等共創研究院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、食品用途に使用される種々物性のナノマテリアルについて、その経口曝露後の動態情報を考慮しつつ、(1)内分泌代謝機能に対するハザード解析と共に、(2)エネルギー代謝制御に着目した、生体応答メカニズムの解明を試みる。そのうえで、(3)ナノマテリアルの物性-動態-ハザードの連関解明・閾値追究を図り、統合的に評価することで、ナノマテリアルのリスク解析に資する安全性情報の集積を目指す。
研究方法
既に数多くの食品等に実用化されている非晶質ナノシリカを用い、粒子径の違いを考慮しつつ、非晶質ナノシリカ曝露による内分泌代謝機能におよぼす影響を評価した。
結果と考察
雌性6週齢のICRマウスに粒子径30 nmの非晶質ナノシリカ(nSP30)、あるいは、粒子径100 nmの非晶質ナノシリカ(nSP100)を連日経口投与した際には、対照群であるPBS投与群と比較し、投与開始から1週間での体重の推移、マウス1匹あたりの平均1日摂餌量、最終投与後の臓器(肝臓、腎臓、脾臓)重量に有意な変化は認められなかった。また、曝露局所である小腸と大腸、ならびに、インスリン分泌に働く膵臓での病理解析を実施したが、いずれにおいて特筆すべき組織学的変化は認められなかった。次に、各非晶質ナノシリカを投与したマウスに対し、経口ブドウ糖負荷試験を実施したところ、nSP100投与群では対照群と比較して有意な変動は認められなかったものの、nSP30投与群において、ブドウ糖負荷試験後の血糖値の低下傾向、また、血中インスリン濃度の減少傾向を示す可能性が示された。一方で、nSP30の投与量依存性は示さなかったことを踏まえると、耐糖能への影響は認められないことが示唆された。さらに、非晶質ナノシリカの経口曝露によるインスリン抵抗性への影響を評価するため、インスリン負荷試験を実施したところ、血糖の絶対値の推移、ならびに、インスリン負荷前の血糖を100%として算出した相対的な変化に有意な差はなく、インスリン感受性の差は認められなかった。従って、本投与条件下においては、nSP30ならびにnSP100が内分泌代謝機能に影響をおよぼさないことが示唆された。
今後は、粒径や表面電荷など、異なる物性を有する非晶質シリカによる影響や、長期間曝露時における影響を追究していくことで、リスク評価につながるハザードを呈する物性の同定と、ヒト健康に影響を及ぼし得る閾値の算出という基本的な考え方の提案を通じて、ヒト健康環境の確保と安全かつ有用に使用可能なナノマテリアルの開発指針の策定に貢献していく。
結論
本研究の成果は、ナノマテリアル曝露と内分泌代謝機能に関する科学的根拠の収集につながる点で、今後のリスク解析の是非を議論するうえで重要な知見となり得る、ハザード情報の集積、およびその理解に直結するものである。また、本研究の成果ならびに関連する研究の成果については、国内外の論文や学会で発表することで、成果公開や情報発信を積極的に進めており、他の研究者との意見交換を図るなど、当初計画通り進めている。

公開日・更新日

公開日
2024-10-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-10-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202323042C

収支報告書

文献番号
202323042Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,278,000円
(2)補助金確定額
2,278,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,696,728円
人件費・謝金 0円
旅費 52,120円
その他 4,152円
間接経費 525,000円
合計 2,278,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2025-09-04
更新日
-