ゲノム編集食品の安全性確保に関する取り組みの周知とさらなる安全性確保に寄与する手法の探求

文献情報

文献番号
202323041A
報告書区分
総括
研究課題名
ゲノム編集食品の安全性確保に関する取り組みの周知とさらなる安全性確保に寄与する手法の探求
研究課題名(英字)
-
課題番号
21KA3003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
田口 千恵(国立医薬品食品衛生研究所 生化学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
2,170,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和2年12月にゲノム編集トマトが日本で初めて厚生労働省に届出受理され、これまでに6品目のゲノム編集食品が届出されているが、ゲノム編集食品を不安視する声が多く、国民に受け入れられているとは言い難い。今後イノベーションを推進していくためにも、新開発食品に対する国民理解と受容を向上させることが重要である。
ゲノム編集食品の届出制度では、事前相談において安全性の確認が行われ、届出に該当するか安全性審査に該当するかの判断がなされるが、その過程の詳細はほとんど知られていない。ゲノム編集食品の開発者がどのような解析を行って申請しているのか、それらの解析結果を示した提出資料をもとに薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会遺伝子組換え食品等調査会(以下、調査会)メンバーはどのような視点で安全性の確認を行っているのか、そして必要であれば開発者に追加の資料を求めるといった安全性確保の実態を正しく周知することは、国民理解を得るうえで必要不可欠である。
また、ゲノム編集食品の安全性はこれまでの育種技術と同等と考えられているが、急速に開発が進む新しい技術であることから、現在の安全性確認手法が今後生み出されるゲノム編集食品においても十分であるかはわからない。今後の技術の進歩をふまえて、現在の安全性確認手法の良い点や改良の余地がある点を検討しておく必要がある。薬学や農学分野などの専門家に現在の安全性確認手法に関する意見を聞き、今後取り入れるべき新たな視点が見出されれば、さらなる安全性の確保につながり得る。
そこで本研究は、1)ゲノム編集食品の安全性確保に関する取り組みの実態を国民に正しく周知することと、2)さらなる安全性確保に寄与する手法を探求することを目的とする。本年度は、作成した安全性確保の取り組みを紹介する情報提供媒体を用いて、一般消費者を対象とした調査研究と、生命科学分野の研究者を対象とした調査研究を行った。
研究方法
① 情報提供媒体の効果の検証
作成した媒体の効果を検証するため、一般消費者の情報提供媒体に対する理解度を調査するとともに、ゲノム編集食品の安全性は確保されていると思うかの調査や、ゲノム編集食品に対する情報提供前後の受容の変化を調査した。
② 生命科学分野の研究者からの意見収集
生命科学分野の研究者(医学、薬学、農学、食品学、栄養学の学会に所属する学会員)から安全性確認手法の具体例に対する意見を収集する調査を実施した。
結果と考察
まず、①情報提供媒体の効果の検証では、一般消費者3022名(20-60歳代、人口構成比割付)を対象として調査を行ったところ、6–7割程度が情報提供媒体の内容を理解できたと回答した。ゲノム編集食品の届出制度において事前相談で安全性の確認が行われていることを知らないと回答したのは71%であった。情報提供媒体で事前相談にて行われている安全性確認に関する情報を得た後、一般消費者の62%は安全性がしっかり/ある程度確保されていると認識し、この群ではゲノム編集食品に対する受容が向上した。一方、安全性が確保されていないと感じた群では受容が低下した。これらのことから、国民のゲノム編集食品に対する受容向上には、安全性が確保されていると認識することが必要不可欠であり、安全性確認が適切に行われていることを周知していく必要があると考えられた。
次に、②生命科学分野の研究者を対象とした調査では、回答が得られた生命科学分野の研究者256名のうち、ゲノム編集食品の届出制度において事前相談で行われている安全性確認について内容まで知っていたのは20%であり、知っている群は知らなかった群に比べてゲノム編集食品に対する受容度が高かった。情報提供媒体を閲覧後、現在の安全性確認手法について68%が必要な解析が行われていると回答した一方、32%は確認が不十分なところがあると回答した。安全性確認手法に関して、良いと感じた点は、複数回にわたり安全性の確認を行っている点や複数の方法で安全の確認を行っている点を評価する意見が多かった。改善すべきと感じた点は、第三者の検証がないことを指摘する意見や、手続きが煩雑なため簡素化/迅速化しこの技術を推進すべきとの意見が挙げられた。
結論
作成した情報提供媒体媒体(動画、補足資料、マンガ)でゲノム編集食品の安全性確保に関する取り組みを知ることによって、一般消費者のゲノム編集食品に対する受容は向上した。ゲノム編集食品に関する国民理解を得るためには、事前相談で行われている安全性確保の取り組みを知ってもらうことが重要であり、動画のような理解しやすい情報提供媒体を用いて発信し、国民に周知していくことが有用であると示唆された。

公開日・更新日

公開日
2024-10-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202323041B
報告書区分
総合
研究課題名
ゲノム編集食品の安全性確保に関する取り組みの周知とさらなる安全性確保に寄与する手法の探求
研究課題名(英字)
-
課題番号
21KA3003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
田口 千恵(国立医薬品食品衛生研究所 生化学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和2年12月にゲノム編集トマトが日本で初めて厚生労働省に届出受理され、これまでに6品目のゲノム編集食品が届出されているが、ゲノム編集食品を不安視する声が多く、国民に受け入れられているとは言い難い。今後イノベーションを推進していくためにも、新開発食品に対する国民理解と受容を向上させることが重要である。
ゲノム編集食品の届出制度では、事前相談において安全性の確認が行われ、届出に該当するか安全性審査に該当するかの判断がなされるが、その過程の詳細はほとんど知られていない。ゲノム編集食品の開発者がどのような解析を行って申請しているのか、それらの解析結果を示した提出資料をもとに薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会遺伝子組換え食品等調査会(以下、調査会)メンバーはどのような視点で安全性の確認を行っているのか、そして必要であれば開発者に追加の資料を求めるといった安全性確保の実態を正しく周知することは、国民理解を得るうえで必要不可欠である。
また、ゲノム編集食品の安全性はこれまでの育種技術と同等と考えられているが、急速に開発が進む新しい技術であることから、現在の安全性確認手法が今後生み出されるゲノム編集食品においても十分であるかはわからない。今後の技術の進歩をふまえて、現在の安全性確認手法の良い点や改良の余地がある点を検討しておく必要がある。薬学や農学分野などの専門家に現在の安全性確認手法に関する意見を聞き、今後取り入れるべき新たな視点が見出されれば、さらなる安全性の確保につながり得る。
そこで、ゲノム編集食品の安全性確保に関する取り組みのモデルケースを作成し、1)ゲノム編集食品の安全性確保に関する取り組みの実態を国民に正しく周知することと、2)さらなる安全性確保に寄与する手法を探求することを目的として実施した。
研究方法
①情報提供媒体の作成
厚生労働省が実施しているゲノム編集食品の届出制度の事前相談で行われている安全性確保の取り組みを紹介する架空のモデルケースとして、ソラニンを作らないじゃがいもを選択し、安全性確認方法を紹介する情報提供媒体を3種類(マンガ、動画、補足資料)作成した。
②情報提供媒体を用いた調査研究
一般消費者3022名を対象としたアンケート調査と、生命科学分野の研究者256名を対象としたアンケート調査を実施した。情報提供媒体閲覧前に、関連する基礎知識の有無を、情報提供媒体閲覧後に、情報提供内容の理解度や、事前相談で行われている安全性確認の認知度を質問した。生命科学分野の研究者においては、上記に加え、現在の安全性確認手法の良い点、改善すべき点、取り入れるべき視点の他、ゲノム編集食品のあるべき姿やその他意見を自由記述で収集した。
結果と考察
ゲノム編集食品の届出制度において事前相談で行われている安全性確認について内容まで知っていたのは、一般消費者では4%、生命科学分野の研究者では20%であった。
一般消費者において、62%は安全性がしっかり確保されていると思う/ある程度確保されていると認識した。安全性確保の認識別に受容度の変化を比べると、しっかり確保されていると思うと答えた群とある程度確保されていると思うと答えた群においては受容が増加したのに対し、全く確保されていないと答えた群の受容は減少した。
生命科学分野の研究者において、68%は事前相談で必要な確認が行われていると答え、32%は確認が不十分なところがあると答えた。必要な確認が行われていると答えた群では情報提供で受容が増加したものの、不十分なところがあると答えた群では受容の増加はみられなかった。
事前相談で行われている安全性確認手法について、確認が不十分なところがあると答えた群では、複数回にわたり安全性の確認を行っている点や複数の方法で安全の確認を行っている点を評価する意見が多かったが、手続きが煩雑なため簡素化/迅速化しこの技術を推進すべきとの意見も多かった。確認が不十分なところがあると答えた群では、第三者の検証がないことを指摘する意見が多かった。取り入れるべき新たな視点においては、現在用いられていない新たな解析技術や確認手法に関する意見は寄せられなかった。
結論
ゲノム編集食品の安全性確保に関する取り組みを周知するための情報提供媒体(動画、補足資料、マンガ)を作成した。一般消費者のゲノム編集食品に対する受容はゲノム編集食品の安全性確保に関する取り組みを知ることで向上した。ゲノム編集食品に関する国民理解を得るためには、事前相談で行われている安全性確保の取り組みをわかりやくす発信して国民に周知していくことが重要であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2024-10-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-10-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202323041C

収支報告書

文献番号
202323041Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,170,000円
(2)補助金確定額
1,507,000円
差引額 [(1)-(2)]
663,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 323,807円
人件費・謝金 0円
旅費 1,638円
その他 1,181,860円
間接経費 0円
合計 1,507,305円

備考

備考
自己負担305円

公開日・更新日

公開日
2025-09-04
更新日
-