文献情報
文献番号
200936084A
報告書区分
総括
研究課題名
ダウン症候群でみられる一過性骨髄異常増殖症の重症度分類のための診断基準と治療指針の作成に関する研究
課題番号
H21-難治・一般-029
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
林 泰秀(群馬県立小児医療センター 血液腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
- 伊藤 悦朗(弘前大学医学部 小児科)
- 滝 智彦(京都府立医科大学大学院医学研究科・分子病態検査医学・遺伝子診療部)
- 大喜多 肇(国立成育医療センター研究所)
- 小川 誠司(東京大学医学部附属病院 Cancer Board)
- 菊地 陽(東京大学大学院医学系研究科 生殖・発達・加齢医学専攻 小児医学講座)
- 塚本 桂子(国立成育医療センター 周産期診療部 新生児科)
- 田村 正徳(埼玉医科大学総合医療センター 小児科、総合周産期母子医療センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ダウン症候群でみられる一過性骨髄異常増殖症(transient abnormal myelopoiesis, TAM)の登録システムを立ち上げて全数把握を試みる。また、網羅的遺伝子解析等を含めた研究により重症例の診断基準を確立する。さらに、詳細な二次調査を通じて標準的治療の確立を目指した観察研究を行い、TAM患者の予後の改善と生存の質を向上させる。
研究方法
1)疾患登録システムの確立
日本小児血液学会の疾患登録システムの中でTAMの登録システムを立ち上げ、これを用いて新生児科医師も小児血液学会員を通してオンラインによる登録ができるようにする。この研究は日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)のTAM委員会が実施主体となる。この疾患登録のみでは把握できない症例に対しては日本未熟児新生児学会の稀有疾患サーベイランスで症例を把握できるようにし、同時にサーベイランス非参加施設のアンケート調査を行う。
2) 重症例の抽出と病態解析
重症例の抽出のために臨床所見以外に遺伝子解析や網羅的ゲノム解析を行い、精度の高い診断と病態解明を行う。このために重症のTAMでみられる高サイトカイン血症や肝線維症の有無とこれらの解析結果との関係を明らかにする。また将来のさらなる研究のために細胞保存を行う。
日本小児血液学会の疾患登録システムの中でTAMの登録システムを立ち上げ、これを用いて新生児科医師も小児血液学会員を通してオンラインによる登録ができるようにする。この研究は日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)のTAM委員会が実施主体となる。この疾患登録のみでは把握できない症例に対しては日本未熟児新生児学会の稀有疾患サーベイランスで症例を把握できるようにし、同時にサーベイランス非参加施設のアンケート調査を行う。
2) 重症例の抽出と病態解析
重症例の抽出のために臨床所見以外に遺伝子解析や網羅的ゲノム解析を行い、精度の高い診断と病態解明を行う。このために重症のTAMでみられる高サイトカイン血症や肝線維症の有無とこれらの解析結果との関係を明らかにする。また将来のさらなる研究のために細胞保存を行う。
結果と考察
1) 疾患登録システムの確立
昨年度は4回のTAM委員会と3回の班会議を開催して討議をし、登録システムを立ち上げ、過去のTAM例を解析した。白血球数10万以上かつ在胎週数37週未満の症例は生存率が20%程度と他の群と比較して著しく予後不良であり、この2指標が重症度分類で最も重要であることが明らかになった。また稀有サーベイランスを開始し、非参加施設に対するアンケート調査を実施した。今後は、シタラビン少量療法などを推奨治療として呈示して各施設判断で治療を行い、観察研究を行う。
2) 重症例の抽出と病態解析
GATA1遺伝子の解析では変異は78例中72例に検出され、TAMの白血化と変異について有意な結果を得た。TAM細胞の網羅的ゲノム解析では過剰であった21番染色体はuniparental disomyに由来することが多いと推定された。今後発症機序の解明も目指す。
昨年度は4回のTAM委員会と3回の班会議を開催して討議をし、登録システムを立ち上げ、過去のTAM例を解析した。白血球数10万以上かつ在胎週数37週未満の症例は生存率が20%程度と他の群と比較して著しく予後不良であり、この2指標が重症度分類で最も重要であることが明らかになった。また稀有サーベイランスを開始し、非参加施設に対するアンケート調査を実施した。今後は、シタラビン少量療法などを推奨治療として呈示して各施設判断で治療を行い、観察研究を行う。
2) 重症例の抽出と病態解析
GATA1遺伝子の解析では変異は78例中72例に検出され、TAMの白血化と変異について有意な結果を得た。TAM細胞の網羅的ゲノム解析では過剰であった21番染色体はuniparental disomyに由来することが多いと推定された。今後発症機序の解明も目指す。
結論
登録システムが一本化され、これによりTAMの全体像の把握が可能となりTAMの診断と治療が統一されることになった。今後は重症例の病態解明の解析と観察研究を行う。
公開日・更新日
公開日
2010-05-25
更新日
-