文献情報
文献番号
202323031A
報告書区分
総括
研究課題名
既存添加物の品質確保に資する分析法開発のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23KA1012
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
杉本 直樹(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
- 天倉 吉章(松山大学 薬学部)
- 永津 明人(金城学院大学 薬学部)
- 井之上 浩一(立命館大学 薬学部)
- 西崎 雄三(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
- 増本 直子(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
- 大槻 崇(日本大学 生物資源科学部)
- 辻 厳一郎(国立医薬品食品衛生研究所 有機化学部)
- 阿部 裕(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
- 渡辺 麻衣子(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
10,825,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
既存添加物357品目の内,第9版食品添加物公定書が告示されたときに成分規格がなかったものは143品目(枝番を含まない場合の品目数) (枝番を含めた場合は151品目)であった.令和6年(2024年)2月に第10版食品添加物公定書が公示され,既存添加物44品目の成分規格が新たに収載された.よって,現時点では,残り99品目の成分規格の設定が急務となっている.しかし,1.流通が確認できない,2.製品実態が曖昧,3.成分組成が不明なものが残されている.1については引き続き調査が,2, 3については,成分分析及び試験法設定が必要とされている.しかし,現在の科学技術では分析不可能である場合も多く,分析法の開発も必要がある.更に,既存添加物には,公的な成分規格が設定されているが,古い分析法が用いられていたり国外の試験法と異なるものが設定されていたりするものもある.従って,国際的に通用する試験法への更新が,輸出入の障害を解消するため必要とされている.特に,流通量が多い,使用頻度が高い,あるいは利用価値が高い既存添加物については,最新技術の導入等により信頼性の高い成分規格への改正が望まれている.本研究では,上述の要求に応えるため,1) 既存添加物の成分規格に関する研究,2) 既存添加物の成分組成に関する研究,3) 分析法及び試験法の開発に関する研究を行う.
研究方法
1) 既存添加物の成分規格に関する研究
既存添加物について,1. 成分規格(自主規格(公定書収載案を含む)及び自社規格等),2. 流通・使用実態,3. 安全性評価状況,の情報を調査し,次改正の食品添加物公定書への成分規格収載のための基礎情報をまとめる.令和5年度は,1について調査する.
2) 既存添加物の成分組成に関する研究
既存添加物の成分規格の試験法設定のため,有効成分や指標成分を同定及び分析法を検討する.成分規格が未設定の品目の他,古い分析法が成分規格の試験法が設定されている品目若しくは試験法の根拠が不確かな品目等,規格試験法の改修が必要である品目を対象とする.
3) 分析法及び試験法の開発に関する研究
分析法及び試験法を開発・実用化する.定量用標品の入手・供給が不可能である品目については,代替標品あるいは校正用標品の全合成ルートを検討する.相対モル感度(RMS)を利用した簡便且つ高精度な分析法を標準化する.また,基原生物の同定精度の向上等のため,生物学的又は分子生物学的手法を開発する.
既存添加物について,1. 成分規格(自主規格(公定書収載案を含む)及び自社規格等),2. 流通・使用実態,3. 安全性評価状況,の情報を調査し,次改正の食品添加物公定書への成分規格収載のための基礎情報をまとめる.令和5年度は,1について調査する.
2) 既存添加物の成分組成に関する研究
既存添加物の成分規格の試験法設定のため,有効成分や指標成分を同定及び分析法を検討する.成分規格が未設定の品目の他,古い分析法が成分規格の試験法が設定されている品目若しくは試験法の根拠が不確かな品目等,規格試験法の改修が必要である品目を対象とする.
3) 分析法及び試験法の開発に関する研究
分析法及び試験法を開発・実用化する.定量用標品の入手・供給が不可能である品目については,代替標品あるいは校正用標品の全合成ルートを検討する.相対モル感度(RMS)を利用した簡便且つ高精度な分析法を標準化する.また,基原生物の同定精度の向上等のため,生物学的又は分子生物学的手法を開発する.
結果と考察
1) 既存添加物の成分規格に関する研究
第10食品添加物公定書に成分規格が未収載の既存添加物について,自主規格の整備状況をまとめた.その結果,30品目について自主規格に基づき第三者検証が実施されていたが,製造実績が確認できないものを除くと20余品目について次改正の公定書への収載が検討可能と考えられた.
2) 既存添加物の成分組成に関する研究
カロブ色素のついては,色素成分の同定を行った.カシアガムについては,不純物であるアントラキノン類の定量法を検討した.香辛料(シナモン,バジル,クローブ)については,1H-qNMRにより分離分析を必要とせず指標成分の含量測定が可能であることが確認できた.スピルリナ色素については,ペプチド・タンパク質に特化した分析法の開発が必要であった.
3) 分析法及び試験法の開発に関する研究
アナトー色素については,主成分がRMSを用いて定量可能であった.スピルリナ色素については,ペプチド・タンパク質に特化した分析法の開発が必要であった.生コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸類)については,発色団の位置に関わらずRMSがほぼ同じであること,数と比例してRMSが大きくなることが確認され,一つの化合物についてRMSを明らかにすれば他の類縁体の含量は予測可能であると考えられた.更に,RMSの適用範囲の拡張のため,PDA検出器の校正物質の開発を検討した.ケイソウ土については,XRFが鉛及びヒ素の定量に適用可能か検討した.酵素(ガラクトシダーゼ,セルラーゼ,ヘミセルラーゼ,プロテアーゼ)については,MALDI-ToF MSによるペプチドフィンガープリント(PMF)法を検討し,MASCOTサーバー上にカスタムデータセットを構築することにより基原の同定精度を向上することが確認できた.
第10食品添加物公定書に成分規格が未収載の既存添加物について,自主規格の整備状況をまとめた.その結果,30品目について自主規格に基づき第三者検証が実施されていたが,製造実績が確認できないものを除くと20余品目について次改正の公定書への収載が検討可能と考えられた.
2) 既存添加物の成分組成に関する研究
カロブ色素のついては,色素成分の同定を行った.カシアガムについては,不純物であるアントラキノン類の定量法を検討した.香辛料(シナモン,バジル,クローブ)については,1H-qNMRにより分離分析を必要とせず指標成分の含量測定が可能であることが確認できた.スピルリナ色素については,ペプチド・タンパク質に特化した分析法の開発が必要であった.
3) 分析法及び試験法の開発に関する研究
アナトー色素については,主成分がRMSを用いて定量可能であった.スピルリナ色素については,ペプチド・タンパク質に特化した分析法の開発が必要であった.生コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸類)については,発色団の位置に関わらずRMSがほぼ同じであること,数と比例してRMSが大きくなることが確認され,一つの化合物についてRMSを明らかにすれば他の類縁体の含量は予測可能であると考えられた.更に,RMSの適用範囲の拡張のため,PDA検出器の校正物質の開発を検討した.ケイソウ土については,XRFが鉛及びヒ素の定量に適用可能か検討した.酵素(ガラクトシダーゼ,セルラーゼ,ヘミセルラーゼ,プロテアーゼ)については,MALDI-ToF MSによるペプチドフィンガープリント(PMF)法を検討し,MASCOTサーバー上にカスタムデータセットを構築することにより基原の同定精度を向上することが確認できた.
結論
既存添加物に関する研究成果は,食品添加物公定書の公的な成分規格の設定の根拠情報として利用されている.本研究では上述の1)〜3)を検討し,得られた情報は第11版食品添加物公定書作成検討会等において基礎データとして活用される.次年度も検討品目を増やし本研究を継続する予定である.また,開発した分析法を公定法の規格試験法に導入するだけでなく,国際標準化を推進しており,国内外,別分野のレギュラトリーサイエンスの発展に貢献している.
公開日・更新日
公開日
2024-09-13
更新日
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