文献情報
文献番号
200936081A
報告書区分
総括
研究課題名
マルファン症候群の日本人に適した診断基準と治療指針の作成
課題番号
H21-難治・一般-026
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
平田 恭信(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 今井靖(東京大学 医学部附属病院)
- 縄田寛(東京大学 医学部附属病院)
- 竹下克志(東京大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
マルファン症候群は約5000名に1人の発症率で、結合織の脆弱性を特徴とする遺伝性疾患である。患者は種々のハンディキャップを背負い、また心血管疾患により若年死を来すことも少なくない。本症では確定診断が難しいこと、生命予後を規定する大動脈瘤に直接関わる遺伝子変異が明らかでないこと、遺伝子変異と表現型との関係も不明なこと、さらに大動脈瘤の進行予防法が確立されていない点が早急に解決されるべきである。
そこで我々は関連する院内8科で横断的に本症患者を診療するマルファン外来を開設し、各科が同時に診療する体制を整えた。
到達目標は日本人の体格に適した診断基準を作成し、予後を左右する心血管合併症の易発症例を同定する診断法を開発することである。
そこで我々は関連する院内8科で横断的に本症患者を診療するマルファン外来を開設し、各科が同時に診療する体制を整えた。
到達目標は日本人の体格に適した診断基準を作成し、予後を左右する心血管合併症の易発症例を同定する診断法を開発することである。
研究方法
1.マルファン症候群の専門外来症例(初診症例数約100名/年)における診断基準項目のデータベース化
2.マルファン症候群における遺伝子解析と臨床像との対比
遺伝子解析による診断法では現在、原因遺伝子としてフィブリリン1(FBN1)とTGFβ受容体の変異が報告されているが、我々はDNAチップを用いたarray解析により効率的な遺伝子診断法を開発した。
3.大動脈瘤を有するマルファン症候群患者の治療薬の効果の後ろ向き解析
2.マルファン症候群における遺伝子解析と臨床像との対比
遺伝子解析による診断法では現在、原因遺伝子としてフィブリリン1(FBN1)とTGFβ受容体の変異が報告されているが、我々はDNAチップを用いたarray解析により効率的な遺伝子診断法を開発した。
3.大動脈瘤を有するマルファン症候群患者の治療薬の効果の後ろ向き解析
結果と考察
1.マルファン専門外来受診者288例の内、Ghentの診断基準の陽性者は98名であった。陽性者の各診断項目の保有率は骨58%、眼51%、心血管80%、肺18%、皮膚24%、硬膜拡張37%、家族歴陽性54%であった。
2.上記の内の58家系70例で遺伝子解析を行った。変異を認めたのはGhent陽性者で76%、ボーダーライン例で50%、陰性例で0%であった。マイクロアレイ法にて58家系のうち38家系にFBN1の遺伝子変異が見つかった。
3.血漿中のTGFβ1値は本症患者において有意に高値を示した。
4.大動脈拡張傾向のある本症患者でARB群では有意に大動脈基部の拡張速度を減少させた。
以上よりマルファン症候群の診断には遺伝子変異の解析が必須であり、今後、簡便な遺伝子診断の普及が重要である。一方、現診断基準で陰性的中率は高かった。
2.上記の内の58家系70例で遺伝子解析を行った。変異を認めたのはGhent陽性者で76%、ボーダーライン例で50%、陰性例で0%であった。マイクロアレイ法にて58家系のうち38家系にFBN1の遺伝子変異が見つかった。
3.血漿中のTGFβ1値は本症患者において有意に高値を示した。
4.大動脈拡張傾向のある本症患者でARB群では有意に大動脈基部の拡張速度を減少させた。
以上よりマルファン症候群の診断には遺伝子変異の解析が必須であり、今後、簡便な遺伝子診断の普及が重要である。一方、現診断基準で陰性的中率は高かった。
結論
我々の開設したマルファン症候群に特化した外来における臨床活動を中心にまとめた。診断には現在、国際的に採用されている基準では必ずしも日本人の患者には有用でなく、遺伝子解析に基づく日本固有の基準の作成が必要と考えられた。
公開日・更新日
公開日
2010-05-26
更新日
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