食品添加物の試験法の検討及び摂取量に基づく安全性確保に向けた研究

文献情報

文献番号
202323017A
報告書区分
総括
研究課題名
食品添加物の試験法の検討及び摂取量に基づく安全性確保に向けた研究
課題番号
22KA1007
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
多田 敦子(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 久保田 浩樹(国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部)
  • 建部 千絵(佐々木 千絵)(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 西崎 雄三(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 大槻 崇(日本大学 生物資源科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
9,257,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品添加物の安全性確保には、適正な使用が重要であるため、1)生産量統計調査を基にした食品添加物摂取量の推定に関わる研究、2)香料化合物及び天然香料物質の使用量調査研究、3)香料化合物のSPET 法による摂取量調査研究、4)マーケットバスケット(MB)方式による香料の摂取量調査の検討を行った。また、食品添加物公定書(公定書)の規格試験法(一般試験法及び各条規格試験法)の改良のため、5)ICPを用いた規格試験法に関する研究、6)食品添加物の規格試験法の改良に関する調査研究並びに7)卓上NMRを用いた規格試験の開発に関する研究を行った。
研究方法
1)食品添加物製造・輸入業者を対象に、第14回指定添加物生産量調査(令和4年度対象)のアンケート調査を開始した。2)令和3年度にグローバル調査と同時に実施した食品香料使用量調査(令和2年対象)について、他国の結果との天然香料物質使用量の比較を行った。3)Single Portion Exposure Technique(SPET)法による摂取量調査研究では、予備調査結果や食品分類の検討を踏まえて方法を一部改訂し、計10品目の香料化合物について本調査を実施した。4)イソチオシアネート系香料を対象にガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)によりMB試料を分析し、摂取量を求めた。5)誘導結合プラズマ(ICP)を用いた分析法につき、日本産業規格(JIS)等で、溶解のみの前処理でICP分析を適用している品目を対象とし、公定書への導入に向けた課題を検討した。6)アスパルテームの分析法として、米国食品規格集での規定法(FCC法)での課題を検討した。7)卓上NMRの規格試験法導入に向け、ピーク高さ法での解析について検討した。
結果と考察
1)指定添加物の摂取量調査では、初年度の第1次調査で78.2%の回収率を挙げた。調査票の見直しが前回調査時と同様の高回答率維持に反映されたと考えられる。2)日本と海外とのグローバル使用量調査リスト中の天然香料使用量を比較した結果、使用品目数及び使用量は欧米より低い値であった。3)香料化合物10品目を選定し、調査票案を作成してSPET法による摂取量調査を実施した。今回対象とした品目では、概ね年間使用量を元にして求めるMSDI法と同レベルの値となった。4)MB試料中のイソチオシアネート系香料を分析し、20歳以上の人の喫食量データに基づき一日摂取量の推計を行った。ADIに比べて推定摂取量は十分に低いことが示された。5)JIS規格で溶解のみの前処理でICP法による元素分析を適用している品目について、鉛及びヒ素等を対象とし、イットリウムを内標準物質としたICP分析を実施した。適切な測定波長や、内標準物質の最適濃度等を明らかにし、対象元素とマトリックスの組み合わせにより回収率が異なることを明らかにした。6)アスパルテーム分析法について、FCC法で問題があることが判明した移動相や流速等を最適化し、アスパルテームと不純物2種の分離分析条件を確立した。7)卓上NMR に関する研究では、NMRピーク高さ法による解析手法を検討した。ピーク高さ法は、信号が重なることが多い卓上NMRにおいて有用な解析手法と考えられるが留意点もあることが明らかとなった。
結論
生産量統計調査を基にした食品添加物摂取量の推定に関わる研究、香料化合物及び天然香料物質の使用量調査研究、香料化合物のSPET法による摂取量調査研究、MB方式による香料の摂取量調査の検討により、食品添加物の適正な使用に関わる知見が得られ、これらの結果は食品の安全の確保に資すると考えられる。食品添加物公定書の規格試験法(一般試験法及び各条規格試験法)の改良に向けた研究では、ICPを用いた規格試験法に関する研究で、日本産業規格(JIS)等で溶解のみの前処理で適用している品目を対象とし、適切な測定波長や内標準物質の濃度を明らかにし、測定対象元素とマトリックスの組み合わせにより得られる回収率が異なることが明らかとなった。食品添加物の規格試験法の改良に関する調査研究では、国外規格の分析法の改良法を検討し、不純物との分離分析も可能な条件を明らかにした。また、卓上NMRを用いた規格試験の開発に関する研究では、ピーク高さ法での解析を検討し、有用な点と留意すべき点があることを明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2024-09-12
更新日
-

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公開日・更新日

公開日
2024-09-12
更新日
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収支報告書

文献番号
202323017Z